過去編 42、ずれ始めた平穏
「なっドコ行くんだよっ!?」
いきなりのロッタの行動に混乱しているユラ。
「アジト、戻るぞ」
「えっ!?そんな事したらアンタ達まで殺されるよ?相手はあのサザーネだぞ!」
必死に抵抗するがロッタの人間離れした力には抗えず、結局αのアジトまで連れ戻された。
「あれ?ユラさん忘れ物ですか?」
「今日からこいつもαだ。二階の部屋に連れていってやれ」
「あ!?え!?αって!」
ユラはまたもや混乱する。
「……?わかりました。ユラさん!こっちです」
ルーシェもいまいち理解してないようだが、ユラを案内する
言われるがままユラは二階の一番奥の部屋に連れていかれる。
ずっと混乱していたが、ルーシェの
「これからは沢山会えますね!」
と言う言葉が傷つき過ぎた心によく染みた。
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これがユラとロッタの出会い。
その後ユラはαのロッタの下チームの一員として居る事に決め、名前をユラからセラと改めαに全力をそそいで尽くした。
ユラが入った三日後にサザーネファミリーはαの手により壊滅させられる。
これによりユラは殺されるような心配は無くなり、街も平和に。αはより知名度を上げる事となる。
だが、サザーネファミリーの生き残り達がまたサザーネファミリーの復興を試み、ゆるやかに、だが確実に力を取り戻してくるのはもう少し先の話になる。
ともかく暫くは平穏が続いていた。
そう、運命を狂わす事になるあの日までは。
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2007年7月30日
αが立ち上げられ、もうすぐで三年目に突入するまでに月日が立った。
規模は当初より遥かに大規模になり、あちこちのマフィアから喧嘩をふっかけられては返り討ちにし、と着実に力をつけていった。
ハヤトはもう小学6年生になり、今では軽い仕事ならしている程だ。
ガリガリのもう三十路過ぎの男が言う。
「ロッタぁ〜飲みにいきましょうよ!飲みに!」
髪を金髪にそめたいかにもな不良が言う。
「馬鹿、ロッタさんはまだ未成年だろ?」
セクシーなドレスに身を包んだ女性が言う。
「え?そうかしらぁ?私には大人に見えるわ……」
メガネで小柄な男が言う。「何歳かわからないけど重みのあるオーラを放ってますからね」
でっぷりと太った男が言う。
「うっせーメガネ!」
筋肉で身体中引き締まった大男が言う。
「今はそんな事言ってるんじゃねーんだよっ」
中背中肉の落ち着いた雰囲気の男が言う。
「メガネは最もな事を言ってるんだが……」
いつも通り賑やか過ぎるぐらい賑やかなαアジト。
そこの中心のソファーにずっしりと座るロッタ。
いつも通りの風景、
ルーシェが作る絶品料理の味も。
無駄なまでに結束力のあるメンバーも。
アジトの風景も。
ロッタも。
何もかもいつも通りのハズだったのに。
バンッ!!
壊れそうなぐらいの勢いで開かれたドア。
ドアの向こうには見回りから帰ってきたセラとハヤト。
何故か二人とも顔が深刻でアジトの中に緊迫した空気が流れる。
「大変だよっロッタ!」
「街がどっかのファミリーに襲撃を受けてるぞ!」
その知らせを聞いて直ぐにロッタより出撃命令が下った。
α総出で街に向かう。
今回のマフィアはイタリアでも有名はカチーノファミリーらしい。
マフィア界でもNo.1の実力を持つファミリーで相当危険だ。
αは今でにない程苦戦する事になる。