過去編 39、ハジマル
そこでロッタはある異変に気がついた。
穏やかだったゼネの瞳が今は憎しみを帯びている。
―何かあったのか?
「私の・・・部下の一人がサザーネファミリーの奴らに殺されたんです。何も、何もしてないのに・・・」
殺された・・・
俺の妹のように?
無意識に拳に力が入る。
「サザーネファミリーの奴らは、より支配しやすくするためにこの街からファミリーの邪魔となる存在を消し始めたんです」
「・・・」
「貴方に忠告しておきたくて」
丁寧な口調であるものの、ゼネは怒りを隠しきれていない。
仲間が殺された・・・相当の怒りだろう。
携帯の着信メロディーが流れた。
ゼネはスーツのポケットから携帯を取り出した。
「はい。ゼネです・・・・・・え!?あ、わかった・・・」
ピッ
携帯を切る。
「どうした?ゼネ」
ゼネが珍しく青ざめている。
「我々のアジトの一つ・・・港にある倉庫にサザーネファミリーが乗り込んで来たらしいんです」
ゼネが言い終わると同時にロッタは血相変えて家を飛び出していった。
「あれ!?ロッターどこいくのー!」
ハヤトの声も耳に入らない。全力疾走で走った。
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ロッタの後を追い、数分後に倉庫に着いたゼネは目の前に広がる光景に何も言えなかった。
「あ、ゼネさん!あの人が助けてくれたんです!」
部下の一人が駆け寄ってきた。
指さす先には・・・ロッタがいた。
倉庫には連絡では数十人いたというサザーネファミリーの連中は一人も居なかった。
「これは・・・どういう?」
困惑するゼネに部下が報告してくれた。
倉庫にいきなりサザーネファミリーが乗り込んで来て、自分達の仲間を一人殺された。
そこで人間離れした力の少年が入ってきてから形勢逆転。
一気にサザーネファミリーを撃退したという。
ゼネはロッタの元に近より、話し掛けた。
「助けてくれて、ありがとうございます」
「・・・」
「いきなりですが・・・私をロッタ君の下につかせてくれませんか!」
「・・・は?」
ゼネによるいきなりの爆弾発言にさすがのロッタも戸惑う。
ゼネが下につく、ということはゼネのチームを継ぐということになる。
―いや、そもそもチームの奴らが反対するだろ・・・
「いいっすね!それ!」
「俺からもお願いしますよ!」
「ゼネさんも歳だしな〜」
・・・乗り気かよ
「お願いします。サザーネの奴らに対抗するにはチームを立て直すしか・・・」
「わかったよ」
おお!と倉庫から歓声があがった。
これが、α誕生のきっかけとなった
受験も終わり更新再開です!