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チャネルカ・ブース編 14、兄妹

ちょっと晃君の過去に入ります〜

笑い系はお休み★

長いけどじっくり読んでくださいな

―――時をさかのぼる 日本  笠紀神社


まだ小学校4年生にあがったばかり、名を笠紀めぐみと言う。

癖のある黒髪、パッチリ二重でクリクリしてる目、色白の顔。

普通の女の子だ。

ただ、ある部分(・・・・)を除けば。


角、だ。

鬼などに見られる角がちょこっと少女の頭から生えているのだ。


笠紀家には、代々50人に一人の確率で『鬼』が生まれる。

鬼といってもちょっと角があるだけで人間と変わりはない。


だが――……




 ある日の夕方


掃除を終えた兄妹は縁側に座り

ちょっとした池と木がある裏庭をみながら兄妹は話していた。



「お兄ちゃん!私ね、大きくなったらここの神社を継ぐの!」


ここの笠紀神社は男女関係なく後継ぎになれたはずだ。


「助かった!!僕、野球選手になりたいからめぐみに神社、任せられるね!」


心のそこからニッコリと微笑んだ。

妹とは反対のストレートな髪が風になびく。

小学5年生の晃の夢は野球選手なのだ。

いっつもテレビの前に座ってかじりつくように野球を見ている。



「うん!だってめぐみは神社、大好きなんだもん!」


少女は満面の笑みだった。



何も知らなかった。

今思うと知りたくもなかった。




それから一週間後、晃はドタドタとぴかぴかに磨き上げられた廊下を

走っていた。

あまりにもうるさいのでよく、母親からドタドタ走ってはいけない、と言われたものだ。



晃は突然父から呼び出された。


廊下の一番奥のふすまをあけて中に入った


「何?お父さん」


ちゃぶ台にお茶を置き

そこには座布団の上で座っている父の姿があった。


所々に生えている白髪と言い鼻の下の髭といい目力といい、いつも父は

威厳に満ちていた。



「跡継ぎの話をしようと思ってな」



低く響く父の声。


「それなら、めぐみが……」


「知っておる。とても嬉しい事だ」


「なら……!」



「だが……な」


口を開いた所でさえぎられた。


重々しい口から衝撃の事実が出てくる。


嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ!!!



そう叫んで廊下に出た。

自分が鬼という事もあってか、めぐみは遠慮がちな子供だった

自分から望みを言う事も全くなかった。


そんなみぐみが初めて……初めて口にした望み。

どれくらいの覚悟を持って僕に夢を打ち明けたのだろう……?

僕には想像できないぐらい大きくて強い覚悟だったろう


だから……その夢だけは叶えてやろうと思ったのに……


なのに……



顔が涙でぐしょぐしょになっていく。


視界がかすんで前も見えない。


なんで……

なんで……


悲痛な叫びは心の中でのみ響くだけだった。



==

===

====


めぐみは相変わらずずっと神社のために、後を継ぐために

頑張っていた。


めぐみが高校2年の春、めぐみが整頓していた大きな倉庫から

一つの巻物が出てきた。


そこにはこう記されていた


『鬼は、後を継げない』


ショックだった。

だがめぐみは泣きもせず、暗い顔さえもせず兄の所に行き、こういったのだ


「私、後継げないんだってね。言ってくれればよかったのにっ。

どうしよっかな?アイスクリーム屋にでもなろうかっ」


と笑って言って見せた。

笑っていたがあの時とは違った。あの、晃に夢を語った時とは。



それから晃は父とめぐみが後を継げるよう言いにいったが、

父は晃の訴えをほとんど

「しきたりだ」

の一言で片つけた。



晃は荷物をまとめ、家をでた。

こういう時がくると思って事実を知ったあの日からお金をためていた。



俺さえいなくなれば……めぐみが後を継ぐしかなくなるはず。


そんなの子供の発想だってわかってる

だけど……


そう思い急きょ外国に飛び立った。

外国ならなかなか見つからない……。


アメリカに行こうと思ったが英語が嫌いなためイタリアへ行った。

……がイタリアにつき、船乗り場で妹を発見する。



……なんで!!?


はっと鞄をみる。そこには発信機が付いていた

ピッピッと可愛い音とともに。


そこでやっとゴミ箱へ発信機を捨て、船にのった。

チャネルカ・ブースに。


俺なら、安い船に乗ると思うだろう。その裏をかいて

一番高い船に乗ってやろう。




==

===

====

~現在 イタリア 船内~



再び目の前にいる妹を見つめる。


俺の事を分かっててくれたのはうれしい。よく見つけられたな。

俺は、世界中あちこちで自由に暮らすから……

後を継ぐとか柄じゃないんだよ


だから……な?

お前は好きなことやれよ。


もう一度・・俺にあの満面の笑みを見せてくれ。

あの、兄妹で笑い合った夕方の時のように……。



次からは船内に戻ります!


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