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狐耳と行く異世界ツアーズ  作者: モミアゲ雪達磨
第五章 三つの世界 編
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第078話 草原での衝突

 翌日になり、俺達は草原地帯へと入り気持ちの良い秋風を受けながら道無き道を進む。

 草原とは言ってもこの辺りはサバンナに近い景観を呈しており、地肌の見える箇所を中心として旅人達が踏み固めたのであろうか、比較的移動面での負担は少なかった。


三界(こっち)に来ると決まった時はリヤカーを持って来るか悩んだもんだが、やっぱ平原地帯を移動するにはこいつぁ役立つモンだな」

「ふむ。この大きさになるとそれなりに力が要りそうだけれども、見たところ着脱もお手軽そうだし腰に連結して牽くのは有りかもしれないね。少人数でも大荷物を運べるというのはかなりの利点だし、わたしも向こうに帰ったら購入を考えてみようかな?」

「ファンの子達がそんな姿を見たら卒倒するからやめておきなさい……」


 そよ風の吹く中、釣鬼が上機嫌にリヤカーを牽きながらアデル&サリナコンビと話を咲かせていた。

 釣鬼達の住む世界に於ける所謂「冒険者」には、大きく分けてフィールド探索や依頼の解決を主とする冒険者(アドヴェンチャーズ)業、そして迷宮探索による金銀財宝の獲得を生業とする探検家(エクスプローラーズ)業の二つがある。

 俺達が属するのは前者に当たると思われるが、冒険者(アドヴェンチャーズ)探検家(エクスプローラーズ)とは違い、その性質上帰りに荷物が増える状況を考える必要があまり無い。よって確かに牽き役が居ればパーティ内に荷物持ち(ポーター)が専属で付く必要も無くなるし、相当なアドバンテージにはなると思うが――実際あの大戦槌を軽々と振り回すアデルさんならこのカートも楽に牽けそうだもんな。やはりアデルさんも冒険者をしている以上、こういった実用性の有る物には惹かれてしまうのだろうか。


「でも、アデルさんの場合アイテムボックス……じゃなかった、時空ポケットがあるじゃない?」

「あれはまだ期間限定のお試し品でね。一部の監査官にレンタルされているだけだから、冬前辺りには返却しないといけなくてさぁ」

「そうなんだ、それは残念ですね」


 扶祢の疑問にそう答えるアデルさん。そうか、実用化の目途が立ったとは言ってもまだモニタリングの段階なんだな。それでも十分現実的だとは思うけれども。


「まだまだ量産には時間がかかるということですわ。ですが来年の祝年祭で魔族の大陸の研究者との共同研究成果として正式に発表をされる予定ですから、早ければそれと同時にAランク以上の冒険者の一部には宣伝を兼ねて販売が解禁されるかもしれませんわね」

「「おぉ~」」

「釣鬼、後1ランク頑張ってネ!」

「軽く言ってくれんなぁ。まぁそんなメリットがあるんなら狙いたくもなるがよ」


 そういえば釣鬼もまだランクアップ試験を受けてはいなかったが、次はB級になるんだったか。サリナさんの補足を聞いた俺達の中には期待感が湧き起こり、妄想に胸を膨らませ少しの間内輪で盛り上がってしまう。


「ところで魔族、ってどんなのなんです?釣鬼に聞いた話だと、向こうの大陸とはあまり交流は出来ていないんじゃなかったっけ?」

「そうだね、つい百年程前までは魔族達の起源は悪魔だという御伽話が本気で信じられていた程だからさ。まともな交流が始まったのはつい数十年前の話と言われているよ」

「当時より一部の魔族の方が時折(わたくし)達の大陸へきては面白おかしい騒動を起こしたりしていましたし、逆にこちらの冒険者達があちらの大陸へ渡って似たような事をしていたとも聞きますわね」


 成程ね、それにしても面白おかしいって。きっと土足で畳に上がる西洋人達の如く、それはもう突っ込み所満載な事をやってくれたのだろう。文化の違い、斯くあるべしだな。


「へぇ~、じゃあ公式にはつい最近まで縁も無かったってだけで、特に人類と敵対してるとかいう訳じゃないのね」

「そうだね。確かに角や翼が生えていたり肌の色が違ったりはするけれども、特に危険そうって感じでは無かったかな。実際、前の祝年祭で見た魔族の代表団の印象は何と言うか……研究者の極み?」

「あの時は代表の方の熱弁が過ぎて一般の人々は付いていけず、皆飽きて他の祭りに行ってしまいましたもの。(わたくし)も話の半分は理解出来ませんでしたわね」

「良かったなピノ。魔族の大陸にはお仲間が沢山いるみてぇだぞ」

「それ、ボクの事マッドって言ってル……?」


 それを聞いた釣鬼がピノを揶揄い始め、そんな事を言われたピノはジト目で不満気に返していたりもしたが。しかしマッドな自覚はあるらしく、いつもの様な強気の返しとはいかなかった様子。

 それにしても魔族って言うから人類と全面戦争をしていたり、はたまた魔王様とかが居て勇者と戦ってるのかと思っていたが、聞いた印象ではただの異民族って感じだな。思った通りの感想をそのままアデルさん達へ零してみたら、


「魔王と呼ばれる存在は居るらしいよ?」


 との答えが帰ってきた、まじか。

 その言葉に、扶祢が微かに反応をした、様に見え―――


「とは言っても英雄譚の類で語られるモノと違い、代々引き継がれた魔国の王といった立ち位置だけれども」


 あぁ、なんだ称号魔王か。世界に唯一無二な絶対者としての魔王、ではなくその種族を代表する王といったところかな。


「という事は勇者とかいった存在も?」

「少なくともわたし達の世界では聞いたことは無いなぁ。どこそこの勇者、といった比喩的表現をされる人物の話はそこそこ聞くけれども」


 アデルさんのその言葉にちらと扶祢の側を横目で見れば、あからさまにほっとした様子を見せていた。さっきからずっと落ち着かない様子だったもんな、アレの関係で内心穏やかでは無かったのだろう。

 まぁ、唯一無二の存在やら最強なんてものは勇者とか魔王様の居る舞台に任せておけば良いのさ。俺達は俺達らしく今在る世界を満喫するのみだ。


「皆さんのお話を聞いていると、まるでピクニックか何かに出かけている気分になってしまいますわね」


 そこに、それまで黙したまま歩き続けていたシェリーさんがそんな感想を漏らしていた。

 言われてみれば、三界(こちら)の人類に仇なすと言われているアデルさんとの対峙が目的の旅の道中としては確かに緩いかも……と思いもしたが、恐る恐るシェリーさんの表情を窺うと最初に会った頃と比べれば随分柔らかく、心なし楽し気な様子にも見える。


「旅路とは長いものだからね。どうせなら道中も満喫して楽しんだ方がお得だろう?」

「――確かに、その通りですね。ふふっ」


 お、これは……。


「シェリーさんのそんな笑い顔、初めて見たかも」

「え……そ、そうでしょうか?」

「だな。サリナ嬢とは違って素直な良い笑顔だ」

「ちょっと!?それじゃあまるで(わたくし)が普段から悪い笑みばかりしているみたいじゃないですか!」

「エ……?」

「くっ。ピノさんにまでそんな顔をされるとは、不覚ですわ……」


 割と酷い扱いに悔し気な顔で震えながらも、随分と楽しそうな様子。サリナさんも何だかんだで久々の旅にテンション上がってるみたいダネ。






 その後も俺達は、午前中のぽかぽか陽気が続く中サカミの砦町へと向かうべく草原を歩き続けた。

 突如として訪問者が現れたのは陽が真南へと昇りきった正午前、そろそろ休憩がてら昼食にしようかといったタイミングであった。


「……ん?なんだありゃ?」


 腰に繋いでいたベルトを外し、ストレッチを始めた釣鬼が空を見上げて呟いた。その言葉に何人かがのんびりと同じく空を仰ぎ見る中、真っ先に反応したシェリーさんが釣鬼の指し示す方向を睨み付け、戦慄の表情を形作る―――


「――天響族ッ!」

「何っ!?」


 その言葉に残る面子も慌てて空へと視線を廻らす。「それ」は猛スピードで此方へ飛び来ると、俺達のほぼ真上、空中20m程で急制動をかけ、ゆっくりとホバリングをし始めた。

 姿は人族とそこまで変わらないが、若干サイバーパンクな印象を受ける衣装から除く手足の至る所に幾何学的な紋様が刻まれ、聞いていた通り天使を連想させる巨大な二対の白き翼、そしてそいつの頭上にはこれまた天使の輪の如き天冠が浮かんでいる。そいつはバイザーで覆われた目線の見えない顔を此方へと向け……。


「……何だぁ?天響族(おれたち)との勢力圏境界付近を怪しい人間達が移動してるって言うからわざわざ見に来てみれば……人類至上主義領域の英雄サマが一体この先に何の用だ?えぇ盲目の殺戮者サリナさんよぉ」

「「……え」」


 今、何と?

 俺の耳の機能がおかしくなったんじゃなければ、この天響族?はサリナさん――この場合はシェリーさんの事か、彼女を人類領域の英雄と言ったように聞こえたぞ。その言葉にサリナさん、そしてアデルさんも思わずシェリーさんを見つめてしまっていたが……当のシェリーさんはフードを目深に被り、俯き加減で無言のままだった。


「うん?アンタ何時の間に目を治したんだ?人類領域に居る神の僕の類は遥か昔に殲滅した筈だったよな」

「……」

「おいおい、いつもはいきなり極大魔法をブッ放してきやがる癖に今日はどしたぁ?随分大人しいじゃねぇか……って、何時までも他所見してんじゃねぇ!」


 どうやらこいつとシェリーさんは過去にも何度か遭遇してドンパチやらかしているらしいな、随分と戦いスキーな匂いがするが。

 痺れを切らしたらしき天響族がいきなりシェリーさん……を訝し気に見るサリナさんへと怒鳴りつけると共に、挨拶代わりとばかりにバスケットボール大の光球を幾つも作り出し一気に撃ち降ろす。


「へ?……(わたくし)ですかっ!?」

「サリナさんっ!」


 ―――(コウ)ッ!


 閃光、そして爆音。やがて光が収まり煙が晴れたその場には―――


「――うおぁぁああっ!?俺っちのリヤカーがぁあっ!」


 サリナさんが瞬時に展開した光壁に跳ね返された光弾全てがまるで悪意を持ったかの様に直撃し、見事に大破したリヤカーの姿があった。


「うわ……」

「やっべ、皆ちょっと釣鬼から離れようか」

「怖イ怖イ」


 天響族だか何だか知らないが、こいつは何て恐ろしい事をしやがるんだ……唐突に始まったらしきシリアス場面であるにも関わらず、俺達は身近に潜む現実的な巻き添えの危険を恐れそそくさと後方へ退避する。


「何ごちゃごちゃ言ってやがる?今日のアンタ、本当にどうし……何故アデルがこの場に居る?」

「どうやら、わたし達は完全に誰かさん達と勘違いされている様だね。あはは」

「暢気に笑っている場合じゃないでしょうが。どうするのよあの荷台の惨状、非常食の半分以上持ってかれたわよ?」

「――奴は天響族の中でも直接戦闘を好む武闘派の隊長格の一人です……(わたくし)が不意を打って時間を稼ぎますので、どうか皆さんはその間に出来るだけサカミ砦の方へ」


 そんな最中ようやくシェリーさんが口を開いたものの、その口調は重々しい。しかしアデルさんとサリナさんの反応と言えば淡白なもので。


「と言われてもね。相手は一人だ、ここで仕留めれば良いだけじゃあないかな?」

「ですわね。先程のは小手調べなのでしょうが、あの程度でしたらどれ程数撃とうと(わたくし)の結界を抜く事はありませんわ。周りを気にせずに済むこの場でしたら、討ち漏らす事は無いのではありません?」

「……確かに正面からぶつかり合えば討つ事もあるいは可能かもしれませんが。奴は生き残る事にかけては天才的で、過去に幾度も衝突をしましたが常に後一歩と言う所で取り逃してしまうのです……侮れはしませんよ」


 やはりあの天響族とは過去に相当なぶつかり合いをしたのだろう。それを睨み付ける表情からは焦燥感が浮かび、こうして話している今もシェリーさんは天響族の一挙一動をつぶさに警戒し続けていた。


「戦上手と言う事か。まぁ気を付けておくよ」

「いってらっしゃい。皆の護りは任されましたわ」

「元よりそれについては心配などしていないさ」


 一方ASコンビのやり取りを見れば、正に阿吽の呼吸とでも言うべきか。この短い二人のやり取りだけで、互いに今も全幅の信頼を寄せているという事が理解出来てしまう。


「二人とも、恰好良いよねぇ」

「だなぁ、俺達もあんな風になりたいもんだ」

「その内、ネ」


 そしてアデルさんがゆっくりと天響族の前に歩いていく。


「お前……何者だ?あのアデルが今のサリナと仲良く歩いたりする訳が無ぇ」

「うーん、それを言われると事情を聞いた身としては言葉に詰まるのだけれどもね。そうだな、取りあえずそのアデルの偽物って事にしておこうか?」

「ハッ、自分で自分を偽物と言うたぁ人類領域も面白い人造人間(レプリカント)を作りだしたモンだな。自我もはっきりしているしよ?」

「――ふぅ、どうやらこちらの世界は想像以上に複雑な事情を抱えてしまっている様だね。これは一月で彼方へ戻るのは難しくなってきたかな?」


 言いながらアデルさんが大戦槌を斜に構え、それを見た天響族も悦しそうに顔を歪めながら、同じく空中にて射撃姿勢を取り始める。


「面白ぇ。何を企んでるかは知らねぇが、少し付き合って貰おうか?洗いざらい吐かせてやるよ」


 天響族のその言葉と同時に両者に緊張感が走り、正に一触即発とも言おうその時だった。


「……手前ぇ、その迂闊な行いを後悔する覚悟は出来てんだろぉな?」


 怒れる鬼が再起動を果たし、血の涙を流しながら殺意の波動とも言えそうなオーラを噴き出しアデルさん達の前に立ち塞がる。


「あん?何かと思えば魔法も碌に使えん地鬼かよ。オーガなんぞじゃこの高さまで届かんだろが。いいから雑魚は下がっとけ」

「……よし、もう容赦しねぇ。地に這いつくばらせて泣かせてやる」

「お、おい釣鬼――仕方が無いな、では早い者勝ちという事で」


 そんな様子の釣鬼に対し溜息をつきながらアデルさんが言うと同時に、二人の姿がその場から消え去る。


「なっ……ゲブァッ!?」


 次の瞬間、上空20mという自然にヒトが到達出来る筈もない高みより大戦槌とハンマーナックルの二重殴打を受けた天響族が錐揉みしながら地面へと突き刺さり、衝撃音と共に直径3m程のクレーターが出来上がってしまう。


「「うわぁ……」」

「コレ、死んでるんジャネ?」

「そんな、まさかあのジャミラがたった一撃で戦闘不能に……?」

「アデルと釣鬼さんという、うちのギルド切っての怪力コンビのダブルインパクトですし。それにしてもアデルったら、三年前に見た時よりも更に攻撃力が上がったのではないかしらね?」


 その暴の体現を目の当たりにして唖然とする俺達に対し、一人サリナさんのみが落ち着いた様子で状況の分析などをしていた。一方の俺達はと言えばそう簡単にその現実離れした状況に納得が出来る筈も無く、神秘力感知に長けたピノによる解説を受けることに。

 そのピノの解説によれば、アデルさんは地の精霊によるカタパルト効果、そして風の精霊でのブースト効果を併用してあんな空高くまで飛び上がったというから驚きだ。ただそれについては確かに凄いとは思うし、ファンタジー極まりない理屈ではあったが納得は出来た。問題は釣鬼の奴だ……謎って言われた、何だそりゃ?


「ぷぅーっ」


 釣鬼も次いで落下してきて、20mの高さから難なく着地をした後に深呼吸をし漸く落ち着いた様だ。俺達は早速その疑問を釣鬼へと投げかける。


「あぁ、前に吸血鬼になってから血液操作ってのを使えるようになっただろ?俺っちも地球に居た時はすっかり忘れてたんだがな、この前シズカに腕を破裂させられてその血止めをしてた時に思い出したんだ。それからちょくちょくイメージトレーニングはしてたんだけどよ、予想以上に使えるなコレ」

「パンプアップってやつダネ」

「へぇぇ。良いなーそれ」


 パンプアップ――筋トレなどで筋肉に乳酸が溜まり、その濃度を下げる為に周囲の水分を吸収する事により筋肉が膨れ上がる現象だったか。ボディビルダーが大会に出場する直前に過度な運動をし、それにより膨れ上がった筋肉を見せ付けて美しさを競う場面があるが、あれもパンプアップ現象を利用しているんだよな。

 正確には釣鬼が今やってみせたコレは一般的に言われるパンプアップそのものではないのだが、血流を操作する事により筋肉を膨れ上がらせ、一時的に筋力をブーストさせたような状態にすると考えて貰えれば分かり易いだろうか。正に身体への負担を度外視出来る吸血鬼ならではの固有能力ではあるが……大鬼族(オーガ)の肉体と合わさると本気でとんでもねぇなぁ。


「流石だね釣鬼。まさか魔法や精霊の加護も無しにあの高さまで跳べるとは思ってもみなかったよ」

「ンな事よりも俺っちのリヤカーが……」


 こちらはこちらであんなド派手なアクションをしたにも関わらず、釣鬼を慰めながらあははっと気楽に笑う耳長族(エルフ)っぽい見た目だが間違いなく中身は別物であろう何かが居た。世の中解明出来ない不思議は多いものだ。

 こうして一段落も付き、皆の緊張感が薄らいだその時だ。


「皆さんっ!ジャミラが逃げますっ!」

「……なっ!?」

「っち、まさかあの高度にまで跳び上がってくるとはな……油断したぜ。あばよっ!」


 あの二人の渾身の一撃を受けてまだ動ける余力があったのか!?あっさりとやられてしまった様に見えたから大した事のない奴だと高を括っていたが、その耐久力(タフネス)は馬鹿げていやがる。

 そう言ったジャミラは既に再び宙へと舞っており、翼を広げてこの場から離脱する体勢に入っていた。だがそこに待ったをかけたのは予想外の人物、そしてその手段も予想外に過ぎるものだった。


「たまには私もっ。薄野(すすきの)流捕縛霊術『恐怖嵐檻(キョウフランカン)』!!」


 何故か待ってましたとばかりに発動準備を終えていた扶祢が放った霊術により、ピノの力学精霊魔法ばりのとんでもない空気爆発が起きる。その嵐が収まった後には白目を剥いて地面へ落下し、痙攣する天響族が横たわるのみ。

 何なんだ今の災害現象は……問い詰めてみたら、いつだか話していたパクリ霊術の改造版とかで、新たに呪力を込めた事により恐怖効果も付与をするとか言う拷問術であった。


「一応これも捕縛術なんだよっ、凄いでしょ?」


 とは扶祢の言。

 捕縛術って普通あれだろ、警官の使う逮捕術とかそういうイメージじゃないかな。それにノックアウトしちゃってる時点で捕縛要素、要らなくね……?

 シリアス場面台無し。

 そして多分扶祢の初の霊術お披露目。元からコスパの悪かった放出型の霊術に色々付加効果を付け加えた結果、全霊力の1/3程を消費するというコスパ最悪な術です。

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