表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
狐耳と行く異世界ツアーズ  作者: モミアゲ雪達磨
第九章 無貌の女神編
240/439

第200話 そして、共闘へ―――

 第200話記念!

 ワキツ皇国外交特使団の長である出雲第三皇女、そして帝国外務省を率いるアトフ外務相による初の会談より一晩が明けた後。来賓用の宿泊区画に訪れた文官により、再び帝国側からの会談の旨が申し出されていた。


「一両日程度は間を開けるものとばかり考えておったが、まさか昨日の今日で、しかもこんな朝早くにとはな……何か有利へ傾く要素でも揃ったか?」

「お頭、如何致しますかな?急で不躾な申し出ではありますし、一度は断るのも手ではありましょうが」

「――いや、配下の者共よりの新たな報告は無いのだろ?それをしたところで現状ではただの時間稼ぎにしかならんし、いざという時に同じ手が使えなくなる。未確定な情報を仕入れる意味でもまずは応じてみるとするか!」


 その様なやり取りがあったのが二時間ほど前のこと。こうして会談に応じる意向を示した出雲の決定により、一同は再び会談の場へと臨む事となる。


「出雲ちゃん、もう私が姫様役をする必要は無いんじゃないのかな?」

「何を言っておるんだ。先日のやり取りからすれば、奴は余が影を立てている事を対外的には同じく利用しようとしていた節があるのだぞ?であれば伴も含め、到底それを周囲に話しておるとは思えんな」

「って事はあの舞踏会とかの面倒なやり取り、まだ続けなきゃいけないのね……はぁぁ~」


 会見の時間に先んじて会議室へと入った扶祢達は二度目という事もあり、緊張感も少なくそんな雑談を交わしながらもアトフ外務相が到着するまでの時を過ごしていた。


「お前ぇ、帝国の王子に明らかに色目を使われてたもんな。上手くいけば玉の輿も夢じゃねぇんじゃねえか?」

「勘弁してよ。まさか御伽噺みたいなやり取りをされるのがあんなに精神的にきついものだったなんて……裕香ちゃん辺りだったら喜んで浸るんだろうけどさ。ううっ、思い出すだけでさぶいぼが……」

「わははっ。王侯貴族の夜会なんぞ実のところ、ドロドロとした派閥争いと公には言えぬ情報交換のやり取りが主だからなっ。昨夜の如き馬鹿王子なんぞは、そのどさくさでつまみ食いをする事しか考えない典型というものだぞっ」


 昨夜の夜会で両手を握られ迫られた余韻を思い出してしまったのか、居心地が悪そうに両腕で自らの身体をさすりながら愚痴を零す扶祢に出雲が笑いながらそう返す。

 初の会談では半ば喧嘩別れの両成敗となったアトフ外務相と直接話す事こそなかったものの、昨夜はワキツ皇国よりの外交特使であり皇族でもある出雲への歓迎の意味を込め、帝国側からも第二王子が参加した夜会が開かれていた。

 扶祢はそこでも出雲姫役として振舞う事となり、並び立つ高級官僚達を紹介され歯の浮く様なお世辞を受け続けたりと、ひたすらに辟易とする時間を過ごす羽目に陥ってしまったのだ。出雲の総補佐役でもあるトビが傍らに付いていなければ幾度襤褸を出していた事だろう、それを思い返すだけでも胃が軋むというもので、扶祢は改めて身震いをしてしまうのであった。


「壁ドンって実際にされると、あそこまでイラッとさせられるものだとは思いもしなかったのだわ……」

「お前ぇ、反射で膝蹴りかましかけてたもんな。俺っちが止めなきゃあの王子、危なかったんじゃねぇか」

「ふん、あんな下半身思考男などそのまま蹴り潰してやれば良かったんだ。余の身体を嘗め回す様に見た上で鼻で笑いおって、余はまだ成長途上なだけぞっ!」

「ですが扶祢殿が身代わりとして尊い犠牲を払ってくださったお蔭で、お頭は存分に官僚達よりの噂話を仕入れる事が出来ましたでしょう。その意味では実りある夜会でしたな」


 そんな昨夜のちょっとしたロマンス崩れな思い出の傍らでは、思春期真っ盛りな狐耳が妙な方向で荒ぶっていたらしい。それを受けた他の一同は揃って曖昧な笑顔を浮かべるものの、直後全員の顔が引き締まり扉の側へと視線を向ける。


「どうやら、おいでなすったみてぇだな」

「うむっ……何だ?随分と伴の者が少ない様だな?」


 その特徴的な耳をそばだて訝しる出雲の言葉に、扶祢自身も意識して聞き耳を立ててみる。確かに聞こえてくる足音としては僅かな伴の数のみで構成され、大国の大臣がこれから他国の使者と会い見えようものとは到底感じられない。

 これはどういう事なのか、そんな疑問を覚えながらも続くノックの音に返答を返すトビの声で現実へと引き戻され、気を引き締めて姫としての顔を作るよう心掛ける。


「お待たせした。それでは早速昨日の続きといきましょう」

「その前に。伴すら付けずにこの場へ臨むとは何としたおつもりでしょうか?それに、分かり易くも扉の前に配置をしている数名程もで――」

「――先の場で茶番は不要と言ったはずだが?」


 近習を演じながらも真意を問い質さんとする出雲に被せ、語気も強く道破する。そのアトフ外務相の言葉に僅かな間を無言のまま口を閉ざしていた出雲だが、徐に備え付けのソファへどっかと仰け反った上でこれ見よがしに片足を組み、白けた風に口を開いた。


「はン、前置きの余興を楽しむ余裕すら無いとはな。それとも余を攻略すべく用意した札に、余程自信があるという訳か?差し詰めあの扉の陰に配した者共が、場の趨勢を握ってでもいるという事なのだろうがなっ」

「あぁ、その通りだ。と言ったらどうする?」

「……何?」


 先の会見ではまだ表向き敬意を払い接していたアトフ外務相だが、ここにきて先日とは違い明らかに強気な態度を押し出してくる。最早交渉ですらなくまるで恫喝とも言えようその物言いに、出雲でさえも物心付いてより数える程しか見た事のない厳しい顔を晒したトビが外務相へと口を挟む。


「外務相殿、殿下は外交特使の立場とはいえど我が御国の皇女にあらせられるお方。その殿下へ向け脅迫の如き真似をしようというのであればその命、ここで散らそう覚悟はお在りでしょうな?」

「元はお前達から仕掛けてきた挑発に応じてやっただけだ。七面倒な儀礼を貴ぶというのであれば、端から影を立てるなどという不埒はするなという事だ」


 だが仕込みの気配をちらつかせたトビに対してすらも、自信に満ちたその物言いは変わらない。それを見て取った出雲はトビを手で制した後、打って変わって興が乗った面持ちで身を乗り出し、愉しげに貌を歪ませる。


「ふん、そこまで言えるのは逆に面白いなっ。ならばその不敵の根拠足り得る手札とやら、見せて貰おうか?」

「くっく……やはり証言通り御前はこういった挑発じみた対応を殊更好む、難儀なお方なのだな」

「証言、だと?」


 その口より出た意外なる言葉に、出雲の眉根が僅かに寄せられる。今現在この帝都内に於いて出雲個人としての人格を知る者など、配下のシノビ達を除けば片手で数えられる程しかいない。頭の片隅ではまさかまさかと消息不明となっていた者達の姿を思い出しつつも、目の前に泰然と座る外務相の眼をあらん限りの眼力を込め睨め付ける。

 対する外務相の様子はと言えば、交渉事としては決裂寸前とも言えようこの状況に陥って尚、あくまで交渉の盤上で決着を付けんとばかりに不遜な表情を崩す事はなく。一頻り肩を震わせた後に扉へ向けて頭を巡らし、大声で言い放つ。


「そら、入って来いお前達!早速昨日の借しを返して貰うとしようか」


 その呼び声に、躊躇う様な若干の間を開けた後に室内へと入ってくる影が三つ程。心持ち肩身が狭そうな様子で入ってくるその姿を確認した事で、出雲を含めた特使の一同は驚愕と安堵、そして呆れの感情が綯交ぜとなった、複雑な表情でそれを見返す事となる。


「……あの。もうちょっと意外性のある驚きとか、盛り上がりといったものがあって然るべきじゃあないかな、なんて思う訳ですけれども」

「外務相殿が借しを返せなどと言っておる時点で、大方察してしまえたのだぞ……」

「だよねー……」


 訪問者の一人である若い男の遣る瀬無さげなその呟きに、どこか諦観漂う脱力した様子で応える出雲とそれに頷く他一同。暫しの間、場には何とも緩んだ空気が漂い続けてしまうのであった。








 Scene:side 頼太


「――で、契約破りの制裁を受ける覚悟は出来てんだろぉな?お前ぇ等」

「ちょまっ……言い訳位はさせてくれても良くね!?」

「元はと言えば、出雲が大事な事をボク達に知らせなかったのが原因じゃない?しかもピコまで巻き込んでくれちゃってさ!」


 ミーアさんと遭遇してからアトフさんに借りを作ってしまうまでの事のあらましを説明し終え、質問タイムへと入った後のこと。当初の予想通り、釣鬼先生が絶賛お冠中なこの現状。まずはこの命の危機的状況をどうやって回避するかが当面の問題かな!

 とはいえピノによる非難の言葉通り、せめて最初に帝都民のゴルディループスに対する偏見の目がある事だけでも知らせておいて貰えれば、その後の軍部のなりすまし案件に対してももう少しばかり落ち着いた無難な対応を取れた事だろう。俺達にのみ非がある事ではないのは確かだと思うし、アトフさんもそこについてはフォローを入れてくれた。

 扶祢は自身も割とやらかした感のある似た経験を幾度もしている為か、それを聞いた時点で同情やるなしといった様子で納得をしてくれたものの……やはり目下の問題となるのは目の前で静かな怒りを湛えている釣鬼先生、そしてアトフさんに完全にやり込められた形となり収まりのつかない様子な出雲の二者だった。


「せっ……かく!余がなるたけ我等に有利な条件を引き出そうと、配下の者共にもあの手この手を指示し交渉に臨んでいたというのに、それを全て台無しにしてくれおって!どうしてくれるのだっ!」

「結果的にはアトフさんとの協力体制が築けるんだし良いだろがよ!ンな机上の空論で人の心を操れるなんて考えるのがそもそもの間違いだっつーの!」

「そーだそーだ!情報提供者を得るっていう目的を達成したのに何が気に喰わないんだよ!?」

「余の自尊心の問題だっ!結果としては概ね狙い通りであっても、余がやり込められてしまっては面白くないではないかっ!」


 うわ、思い通りにならないから腹立たしいって言い切りやがったぞ、こいつ。お蔭でこっちはどれだけの苦労を背負い込んだと思ってんだ!出雲の悪戯心が原因で振り回されたここ二日を思い返し、俺達の憤りが再燃しかけたその時、横合いより静止の声が入る。


「そこまでだ。誤解の無きよう補足をさせて貰うが、この二人は御前の帝都来訪目的や外見情報その他、諸々についての情報言及など一切していない。それだけは義に反するからと言って、愚かしい程にまで頑なにな。まぁ、最後の駄目押しに役立つ助言のみは頂いたがな。そこについてはせめて、今後の互いの協力を円滑に進める為にも酌んで頂きたいものだ」

「……ふん。こいつ等の人となりは貴殿に言われずとも、これまでの旅路で嫌という程に分かっておるっ。聞けば偶然の引き合わせもあった様子ではあるし、貴殿も独自の情報網を張っていたという事なのだろ」


 最後の駄目押しという言葉の部分で自らの嗜好を逆手に取られた事を思い出したのだろう。一瞬悔しげな顔を見せていた出雲の横では、アトフさんのその提言により無事に誤解も解けたらしい釣鬼の姿があった。未だ無言のままこめかみを揉み解しながらも、どうにか落ち着いてくれたみたいだな。ふぅ、アトフさんより早朝に呼び出され事情を説明された時はどうやって釣鬼を宥めるかで気が気ではなかったけれど、これで最難関は越えられたか。

 人の心は移ろい易く、まつろわぬもの。頭では分かっていても、つい感情が昂ぶり争ってしまうのが人間だ。一先ずは起こってしまったかもしれない悲劇を回避する事が出来て、何よりというものだな。


「ご理解頂けて幸いだ。それで、こちらとしてはこの二人に対する処理も含め、限りなく譲歩をしたつもりだが。御前の返答は如何に?」

「――ふんっ。利害のみの提示ならば余が有利に立つまで引くつもりはなかったがなっ、情に絡めて恩まで売られてしまっては不本意だが是非もあるまい。上に立つ者として元領民の不遇を想うその気概に免じ、今回に限り余が折れてくれようぞっ!」

「何、立つ場は違えど同じく国を治める側として為すべき事をしたまでだ。では、互いの矜持を認め誇りを以てここに協定を結ぶという事で相違無いな?」


 そう言ったアトフさんが自らの手を差し出し、返答を待つ。それに面する出雲は不機嫌そうな顔ながらも幾許の躊躇もなくその手を握り返し、ここに出雲率いる皇国特使団と帝国外務省との共闘体制が成る流れとなったのだ。


「ふへぇ……ここんとこ緊張の連続で疲れたよぉ、頼太ぁ~ピノちゃ~ん」

「俺も、聞いてくれよー。昨日の夜なんてこんな事があってさぁ」

「もうボクも、あの時は終わったかと思ったよぉ……」

「……お前ぇ等、まだ会談の途中だぞ。しゃんとしろいっ」


 稀に見る緊張感漂う場面がようやく終わりを迎えたのを見て取って、俺達は三者三様の言葉を漏らし、情けなくも揃ってへたり込んでしまった。そこへ釣鬼先生の活と共にお馴染みの鉄拳が落とされるのもまた、いつもの光景であったのだ。


 ・

 ・

 ・

 ・


 表向きの会談は無事に終了をしたという事で、次は裏なる話をすべくアトフさんの大臣執務室へと向かう。

 扶祢などは完全に気が抜けてしまい、姫様然とした衣装を慣れた様子で着こなしながらも何気に七尾が解けていた。だが今は特に周りの目がある訳でもないし仕方がないか。執務室までの道中で軽く聞いた話では、舞踏会とやらでとんだ目に遭ったらしいからな。こっちはこっちで色々あったという事なのだろう。

 その後執務室へと到着した俺達は部屋に待機していたミーアさんに引き合わされ、この帝国付近にまつわる伝承等を絡めながらそれなりの情報提供を受けると共に、アトフさんより一つの依頼を受ける事となる。


「これは……成程なっ。それならば確かに、他でもない余等へと援けを請うたのも頷けるというものだ。しかし一歩踏み外せば国賊まっしぐらだというのに、よくもまぁこんな情報を余等に流せたものだなっ!」

「何とでも言え、いざという時には俺が責任を取るつもりだ。分かり易く紙に纏めはしたが、書かれた内容はここで頭に叩き込んでおけよ。そんな物が物証として残ってしまえばこの帝国だけではなく、御前の国にも被害が及びかねんのだからな」


 正直な所を言わせて貰えば、こんな内容を見てあっけらかんと、むしろ嬉々とした様子で物を言える出雲に少しばかり空恐ろしさを感じてしまう。アトフさんにしてもそうだ。責任を取ると言いながらもその態度に些かのブレすら感じる事は無く、淡々と事実を語り続る。

 一度人の上に立てば多かれ少なかれ相応の責任というものが付き纏い、そして時には覚悟を以てそれを果たさねばならないと聞く。言葉の上では分かっていたつもりだったが、こうしてまざまざと上に立つ者の生き様を見せ付けられてしまえばこう断言するしかない。物理的な命のやり取りをする最前線の者達とはまた別に、互いの尊厳を賭けながらも剣を交えぬ戦場というものもまた、存在し得るという事を。

 やがて主格となる出雲のみならず、俺達全員がそれを読み終えたのを確認した後にそれを受け取ったアトフさんが短杖を構え、長き詠唱の後にその紙を完全に消去する。


「『風化分解(ディスインテグレイト)』そんなのを……うん、でもこの内容じゃ使うよね……」


 その詠唱を聞いたピノが目を瞠り、食い入る様に見つめながらそんな言葉を零してしまう。

 『風化分解(ディスインテグレイト)』と言えば、時空属性の上位に位置する魔導系魔法じゃあないか。あの魔法脳なサリナさんですら、術式の構築が面倒に過ぎて消費の観点から見ても非効率極まりないマニア向けの魔法と言って憚らなかった、難度の高い上級時空魔法をこんな場所でお目にかかれるとは。

 だが、念には念を入れよの表れなのだろう。ピノやサリナさんが好んで使用するブラスト系の発破魔法は威力こそ高くコスパにも優れた術だが、復元魔法やそれに類する技術といった、稀有な才能持ちの修復師にかかれば破壊した対象を復元する事も可能とは聞くからな。その点無機物の対象に限り、また詠唱の短縮や構築の簡略化すら不可能という癖の強い術ではあるものの、まるで対象の周りに流れる時間を加速させることにより劣化消滅させるかの効果を齎すこの『風化分解(ディスインテグレイト)』であれば、前述した稀有な復元技術を持つ修復師でもどうにもならないという。

 事実、術式を完成させたアトフさんはふらつきながら来賓用に備え付けられていたソファへと力無く横たわってしまう。その額からは滝の様に汗が滴り落ち、目を開けているのもきつそうな様子。だが、それだけ重大な情報を見せてくれたという事なのだろう。アトフさんがこの協定を敢えて文書せず、その上で出雲だけではなく俺達にまで先の重大な情報を提示したその覚悟の大きさに、文書を介した契約よりも重く圧し掛かってくる何かを感じてしまうな……。


「はぁーはっはっは!面白いっ。そこまでの覚悟であれを見せられては、協定を別としても興が乗ってくるというものだ!貴殿のその覚悟、余がしかと受け止めようではないか!」

「あぁ、後はミーアに聞いてくれ。俺は、少し休ませてもら…う……」


 本来ならば『風化分解(ディスインテグレイト)』を使用した時点で魔力を使い切り昏睡してしまってもおかしくはなかったのだろう、アトフさんはそう言うなり力尽き意識を手放してしまった。精霊使いとしては高い素養を持つとされるゴブリン・ロードではあるが、畑違いの魔導系魔法、しかも相当な難度を誇る『風化分解(ディスインテグレイト)』の行使により多大な負荷がかかってしまったのは明白だ。本人は生来の情報収集嗜好を拗らせた結果、今の立場に立っただけなどと嘯いていたが、中々どうして国の未来を思いやる凄い人じゃあないか。


「お見事です、兄さんっ!それでは、取り急ぎお願いしたい内容をお話しますね」


 一方のミーアさんはそんな実の兄の状態を気にした風もなく、爛々と輝く目をこちらへと向けながら詳細を話し始める。話の概要については先の書類で理解が出来たが、まずはどんな依頼内容となるのだろうかね。

 ともあれ、形式は些か異なるとはいえこの帝国へ訪れてよりの初の依頼となる訳だ。昨日の謝罪と手続きにより一応帝都支部への出入りも許可された事だ、本格的にお仕事に入るとしますか!

 ようやく帝国という舞台での足がかりを手に入れた頼太達。さてさてお次のお仕事とは―――

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ