第011話 ギルドにて
集合貸宿クレイドル。ホテルにも似た宿の食堂内は朝の喧騒に包まれていた。
昨夜にも感じた事ではあるが、俺達の暮らしていたそことは別世界にあたるとはいっても人が暮らす街中だ。こういった日常的情景はそう変わるものではないらしい。
「まずは冒険者ギルドへ登録に行って、それから必要雑貨類の確保と商店関係の下調べといくかぃ」
「イエッサ」
「了解!」
そんな食堂内の一角を陣取った俺達は朝食を食べながら、今日の予定を相談していた。釣鬼の一言で終わってるじゃないかなんて無粋な事は言わないで欲しい。実際には細かい部分は色々話してたんだからね!
「ごちそうさまでした。それじゃあ早速行っとく?」
「オーライ」
「やめとけ。今の時間は混み過ぎてやってられねぇからよ」
心なしか逸る気持ちを押し出す俺達ではあったが、対する先生、渋い顔。
なんでも朝一のギルドロビーは本日の更新された仕事が張り出されるからか、冒険者の群れが掲示板と受付へ殺到して修羅場と化すらしい。成程と納得をしたところで朝一組とは少し時間をずらし、ピークが過ぎた辺りにギルドへと入る事にする。
それでもやはりどんなものかは見てみないと分からない。今後の参考とするべく通りの向かいのベンチを陣取りそこからギルドの様子を見ていたが……強いて言えば昼休み時の混雑した学食そのまんまといった印象。あるいは通勤時間帯の電車内とでも言うべきか。
「あれに毎日は混ざりたくないわね……」
「全くですな」
「新規の依頼の中でも緊急性の低いモンは、大抵次の日の朝に貼り付けられるからな。緊急性が低いイコール危険度も比較的低めっつぅ事で、その中からより割の良い仕事を取り合う競争も起きるってな訳だ」
その後も慌ただしそうなギルド内様子を見ながら本日の講義を聞き続ける。これはこれで見ものではあるが、何というかつくづくぱっとしない現実感。俺の求めていたファンタジィは何処や~。
そんな心の哀愁を詩にして謡い、二人にやや引かれながらも道往く観客達より幾許かの拍手を頂いた辺りで朝の依頼受注ラッシュが落ち着いてきたのを確認する。そろそろ俺達も中に入るとしよう。
「冒険者ギルドヘイホー支部へようこそ。本日はどのようなご用向きでしょう?」
総合受付のカウンターへ行くと一人の受付嬢のお姉さんがにこやかに出迎えてくれた。流石受付嬢をするだけはあって綺麗な人だな。
栗色のショートカットと知的さを感じさせつつも落ち着いた同色の目、扶祢とはまた違う柔らかさを前面に出した美人さんだ。うーんファンタジィ!
あ、別に現代日本の受付嬢に明確な不満があるとかそういう意味じゃありませんからね?
「冒険者登録を頼みてぇ。俺と後ろの二人のな」
「はい、新規登録ですね。それでは別室までご案内致します」
その受付嬢の応対に釣鬼が代表して答え、俺達は別室へと案内される事になった。
これは前もって決めておいた事なのだが、このパーティのリーダーは年齢も経験も一番高い釣鬼が務めることになっていた。俺と扶祢はこの世界ではまだ、あの森でのサバイバル位しか経験してないからな。
そして登録の旨と一通りの理由などを伝えると、何とこの受付嬢さん本人が案内をしてくれる事となった。
「てっきり対応したカウンターへ回されるのかと思ってましたが」
「えぇ、一時期はそのような対応だったこともあるのですよね。ですがお役所仕事みたいで感じが悪いと現役冒険者の方々には不評でして。今では依頼者の方々へのイメージアップも兼ねて、何事も初めに受け付けた者が可能な限りは最後までサポートをすることになっているのですよ」
つい素直な感想を漏らした俺に対し、気分を害した様子も無く柔らかさを感じるにこやかな笑顔で答えてくれる受付嬢さん。成程ね、お役所仕事云々って言葉が出る辺り、こっちでもその辺りのマニュアル対応は不評だという事なのだろう。
「あ、私サリナと申します。ご登録ということですと恐らく私がお三方の担当となると思います。以後、宜しくお願いしますね」
「こ、これは結構な笑顔で……サリナさんってさぞかし固定客が多いんでしょうねぇ」
「フフフ、これも今までのノウハウの賜物ですわ」
今も阿呆なことを聞く駄狐にちょっと黒い笑顔を形作り、サリナさんはこれまた付き合いの良さそうな雰囲気で答えてくれる。やばい、好印象しか持てないぜ。受付嬢としてのプロの誇りを感じるな。
そして別室へ案内されてから待たされること数分程。審査担当の人でも来るのかと思っていたんだが、サリナさんが幾つかの道具と書類を持って戻ってきた。さっきの話の通り、本当に可能な限りは全て担当してくれるんだなぁ。
「ではこちらの誓約書の内容を説明しながら審査と登録を進めさせて頂きますね。まず初めに―――」
と綺麗な声で長文を読み上げていく。内容の詳細については長いのでここでの説明は割愛させて貰うとしよう。
「それでは審査、とは言え事情の方は既にお聞きしましたし、ヘイホーへの入門許可証も確認が取れておりますね。この場合釣鬼様が異邦人であるお二人の一応の身元保証人という事で宜しいでしょうか?」
「ああ、それで良いぜ。後どうせ今後も付き合うなら様付けは要らねぇよ」
「私も、呼び捨てでもいいよん」
「俺も」
「では釣鬼さん、扶祢さん、頼太さん、でお呼びしますね。呼び捨てはもう少し親しくなった時に改めてでお願いしますわ」
サリナさんによる一通りの説明がなされた後に改めて俺達の現状や登録の動機等を質問され、それに応える事十数分。
その後サリナさんは銀色に光る薄い板を三枚と、水晶製の大きなプレートを三枚ずつテーブルへ置き始めた。
「これは――ギルドカード?と水晶のは何だろ?」
「こちらは大まかな検査具となりますね。ある程度の技能への相性や、稀に本人も認識出来ていない固有スキル等も検出することが可能でして。使い切りなのでこの使用料としてお値段はかかりますが、こちらは任意ですので使用せずとも構いませんわ」
「へぇ~ステータスを調べるアレってことね」
ふむふむとそれを興味深げに見る俺と扶祢。これって最近のファンタジーモノじゃ定番のステータス鑑定をするやつかな?
「まぁお願いするだろなぁ」
「よね、醍醐味だし」
「いや、醍醐味とかじゃなくて情報は大事……」
「醍醐味よね?」
「……ソウデスネ」
「うふふ、異邦人の方は大抵皆そう言って殆ど水晶鑑定をしますわね。それでは使用料は5000イェンになります」
「これも異邦人のお約束ってやつなのかね」
そんな二通りの笑いを受けながらいそいそと準備をする俺等二人。仕方が無いじゃないか、扶祢にはああ言ったものの俺だってちょっとワクワクしてしまってるんですよ。
「では説明しますね。魔力の籠め方――はまだ慣れていませんよね。ではまずは手前の窪みに血を少し垂らして下さいな、量は水晶の表面に滲ませる程度で構いません」
テーブルに用意されていたナイフはこれ用か。見れば扶祢は手慣れた様子で薬指の腹部分を僅かに切っていた。ならば俺はよく漫画とかにあるようなワイルドなやり方で親指を噛み切るぜっ!
―――ガチッ。
「痛ぇ……」
「それ、よっぽど上手くやらないと無駄に傷が増えるだけなのよね~」
予想外の痛み、そして内出血しただけで実際には傷が開いてないという有様をニヤニヤとした表情で眺めながら言う扶祢。その物言い、お前これ体験済だったな?
「くすくす。そろそろ宜しいですか?」
あ、スンマセン。仕方無く扶祢と同じくナイフで浅く指の腹を切り血を滲ませる。
「次に両手で脇の取手を握り、最後に額を水晶の真ん中へ向ける姿勢に……」
ふむふむ……こんな感じか。
「そのままご自分のお名前と今までの人生を振り返るつもりで一分間念じます。もし隠したい事柄等がございましたら、それも意識をすると任意で隠匿は可能となりますので試してみて下さいな」
もやんもやん。ちょっと水晶板が熱くなってきた気がする。この心地良い暖かみに意識を向け続け―――
「――はい、一分です。もう離してもらって結構ですよ」
そして一分が経過して、水晶板を手放す俺達。早速それを見てみると……。
「お、なんか書かれてるな!」
「ステータスとスキルきた!」
「どれどれ」
三者三様だけど、皆高揚しているのはお分かりにいただけるだろうか。
水晶の表面に擦り込んだ血が黒く変色し、何やら文字が浮かんでいた。
それまずはパーティリーダー、釣鬼のステータス鑑定結果から紹介していくとしよう。
名前:釣鬼
種族:オーガ(ノーブル)
年齢:54
筋力:A- 敏捷:B
耐久:A 器用:C
精神:B+ 神秘力:D[魔]
スキル:体術S 棒術B 投擲B 探索B 追跡B 罠感知C 釣りS 料理D
(隠密B) (暗器術A)
固有スキル:体力回復速度上昇C
治癒速度上昇D
剛力A
[筋力値1ランクアップ]
食いしばりC
[痛覚によるマイナス補正の軽減、気絶耐性に強ボーナス]
「うん、ステータス画面だね!」
「釣鬼はオーガなだけあってやっぱりフィジカル系が高いんだな」
「流石、元デンス大森林の管理者ですわね、サバイバル技能も高水準ですわ」
これが鑑定結果ってやつか。各種ステータスのランクに汎用スキル欄、そして固有スキル欄と簡潔ではあるけど色々載ってるな。どうやらHPとかMPといった数値的な表記はされないようだが、サリナさんもあくまで今後の行動の指針を立てる上での参考程度と言っていたからな。これが絶対的な基準という訳でもないのだろう。
「精神も高いね。これがノーブル補正ってやつなのかな?」
「多分な。この()内が隠匿されるやつか、ここでは表示されるんだな」
「絶対に見せたくない、と念じればここでも隠匿はされますが、そこまで強く想っていない場合はこうなりますね。勿論ギルドカードへは表記されない内容になりますし、先の誓約書に記載されている通りギルド職員には守秘義務がありますのでご安心下さい。一部の特異的事情だけはギルドマスターと担当支部がある地域の領主へ報告することもございますが」
見せたくないものに関しては任意で隠匿出来るってのは良いな。何でもかんでも鑑定されてたんじゃ個人情報ダダ漏れも良い所だし、その辺りもしっかりと配慮されてるじゃあないか。
「特異的事情、って言うのは?」
「重犯罪の履歴や国家単位に影響を及ぼす類の致命的な事情になりますね。判断のさじ加減は担当者によってまちまちですが――大抵の場合は該当する方はまずそういったスキルについては隠しますし、実際には該当することは無いと思って頂いて結構ですわね」
「隠します…ってそれで良いの?」
「はい、別に強制的な登録ではありませんし。冒険者ギルドで登録管理をしている形になる為、責任問題に発展するとややこしいのでそう策定されている、と認識して頂ければ」
「なるなる」
さっきも言ったが、ステータス鑑定というのはある意味プライバシーの侵害だからな。誓約書にもあった通りあくまで俺達の同意の下で執り行われるものではあるが、基本的には人の秘密というものになる訳だし、その辺りはギルドも深く関わって互いに痛い思いをする事もないという姿勢の現れなのだろう。
「どこの世界でも責任問題は関わりたくないフレーズ上位に入るって事か」
「全くですわねぇ。そうそう、この神秘力と表示されている部分に関しては、魔力をはじめとする神秘の力の種別の差になりますね」
そう言ってサリナさんは釣鬼の鑑定結果のある部分を指しながら説明を始める。釣鬼の場合は魔のDとなっているな。
「魔力は主に魔術師が使うマナ/オドと呼ばれる類を操る神秘、生活魔法もそれに当たりますね。マナは大気中に普遍的に存在する神秘。オドは生物が内に発生させる根源の神秘。この二つは内外の違いはありますがそれ以外の性質は魔力としての運用上は特に差が無いのでまとめて魔力、と呼ばれることが多いですね」
これは一般的にイメージされやすい魔法使いのそれに当たるものだな。専門家達の間ではマナとオドも別物として分類されるらしいけど、現場で実際に使う者としての扱い方は殆ど変わらないのだそうだ。
「お次は神力。信仰力とも呼ばれることもありますが、言葉通り神々への信仰を基にした奇跡という名の神秘を扱う力になります。注意点は、これがイコール信仰そのものではないということですね。あくまで神の奇跡とされている神秘を扱う為の技能というか総合力をステータスとして分かりやすく表記させただけのもの、となります」
こっちも僧侶とか司祭系の使う、白魔法だとか神聖魔法だとか言われるものに近いのかね?サリナさんの言い方ではそれすらも純然たる技術という事になるらしいが。
「これ、水晶鑑定が発表された当時は神職の間で大騒ぎになって、一部宗教裁判にまで発展するケースもあったのですよねぇ……」
なんて零してたし、やっぱり時の権力者達の一方的な都合で技術の発展が阻害されてしまう歴史というものはどの世界でも変わらないんだなぁ、と漠然とした感想を抱いてしまう。
「最後に、精霊力。長耳族、小人族に代表される、自然の権化に近しいと言われる者達が得意とする神秘力、とされています、人族にもそれなりに持っている方はいますが。獣人族の使う身体強化も、祖先とされる動物霊からの力を借りる形の魔法の一つという説がありますね。扶祢さんは獣人族の中でも特に精霊力の扱いに長けた狐人族とお見受けしますので、適性は高そうですわね」
ふーむ、神秘力にも色々あるんだな。
そういえば森に居た頃に時々扶祢が怪しげな圧力みたいなのを噴き出していた気がするな。あの時は気のせいかと思っていたが、あれが神秘力ってやつだったのかな?
「……あ」
さてお次は、俺こと陽傘頼太。隣でやっちまった的な小さい悲鳴を上げている子は後回しにしよう。
名前:陽傘 頼太
種族:人族(異世界人:地球)
年齢:18
筋力:C 敏捷:B
耐久:B- 器用:C
精神:C 神秘力:D[魔]
スキル:体術B+ 探索D 罠感知E 調教術C 神秘力感知D
固有スキル:悪足掻きD
[危機に陥った時の精神判定にボーナス、生命の危機に関する
物理判定全般に弱ボーナス]
忠犬の忠誠A
[加護の一種、生前の愛犬の忠誠が死後も飼い主を護り続け、
犬科の生物へのコミュニケーション判定にボーナス。
ただし知能の高い対象に対してはこの限りではない]
「……ミチルぅぅううっ!」
「うぉっ!?なんだどした?」
「ふぇっ!え、何々?」
いきなり大声を上げてしまった俺に隣の釣鬼と扶祢が驚いてしまったようだが、残念ながら今の俺に周りへ気を使う余裕は残ってはいなかった。
お前、天寿を全うしてまで……。
「――忠犬の忠誠、でしょうか?」
「……あー」
「昨日話してたあの犬の事かぃ」
サリナさんが水晶版を読み取り、説明に頷く二人。
「ふぐっ、悪い……子供の頃を思い出しちゃってな」
「余程可愛がってたんだねぇ、よしよし」
「傷心の癒し促進として是非その発育の良い胸で包み込んで下さい……」
「……サリナさん、この馬鹿のギルドカードに固有スキルの追記って出来ますか?」
「セクハラ:C 辺りで記載しておきますわ」
「大変失礼致しました、何卒執行猶予を!?」
「その内獣人族どころか人類の半分は敵に回しそうだな……」
ちょっとばかり照れ隠しでいったつもりの発言が思いっきりセクハラに抵触していたらしく、有罪判決を喰らいそうになってしまい慌てて平静を取り戻す。
「ふぅ、落ち着いた。ごめんなホント」
「まぁ、分かる。可愛がってたペットとの初めての別れってな、辛いモンだ」
「飼われていた犬さんも、頼太さんにここまで愛されて幸せですわね」
「それじゃこんなスキルを持ってたのも何かの縁ってことで調教師目指しちゃえば良いんじゃないかな?」
そんな事を言う扶祢に曖昧に返事を返しながら自身の鑑定結果を見直す俺。ふむ……テイマーか。
「調教術ってのはあれかな。ミチル――犬を飼ってた時に色々仕込んだから獲得したってことかな」
「そうなるだろうな」
「Cとなると街中で強制力無く放しても従魔が自発的に主に追従するレベルですわね。相当高度な技術ですわよ」
そんな難しいことしたかなあ。あいつは一度言えば大体理解して勝手に動いてくれてただけだったんだけどな。
「もしかしたら地球でミチルが命令を聞いていたって事実がこの世界に来て改変されてスキルとして身に付いたのかもね?」
「……有り得るな」
「オイオイ、お前が言うんかよ」
「だって本当に可愛がってただけだぜ。確かに色々教え込んだけどさ、教えただけで俺としては苦労した覚えがないんだよな」
「異邦人の不思議というやつですわね」
他には悪足掻きなんてユニークスキルもあったが、まぁ便利そうなスキルだし特に問題は無いか。基礎ステは至って平凡ではあるけれど、サリナさんの説明じゃ成長や加齢で変化するので特に気にすることはないそうだし。神秘力に関しては魔力があったのが嬉しいな、あまり高くないけどこれなら生活魔法もイケルぜっ!
ちなみにステータスの後ろの+-はB以上にのみつくことがあるらしい。震度5強や6弱みたいなものか。
「ところでこの神秘力感知、って何だろうね?」
「先程お話しした神秘に関わる気配に対する感覚の鋭さとなりますわね。『嫌な予感がする』とか『ここは進んではいけない』等の虫の知らせ、といったものを感じたことはありません?」
「霊感かー、確かに時々いやーな気配を感じたりしたことはあったかもしれない」
「あー、だから頼太にもあの穴が見えたのね。どうしてかなーってちょっと気にはなってたんだよ」
「そういえば俺と扶祢以外には見えてなかったみたいだったしな、あれ」
成程ね。霊感のお蔭で新たな世界を見付ける事が出来たのであるならば、素直にこれには感謝だな。
大体聞きたい事も聞いて一息を吐く俺達。最後に何か分からない事でもないかなと見返しているとまたまた扶祢がサリナさんへと質問をし始める。
「そういえばサリナさん。ペットのことを従魔って言ってたけど、犬だと獣ですよね?」
「魔物も調教術で言う[ペット]にすることが可能なので、広義では調教術でのペットは全て従魔、と呼ばれていますわ。どちらかというと強力な魔物をペットにする方が多いですし」
「ふむふむ」
それじゃあ、これで俺の鑑定結果についてはほぼ終わりかな。
「さて、最後は扶祢の番か」
「えっと。ちょっと色々と大目に見て欲しい……んだけどね?」
「?」
そして残るは扶祢の鑑定結果だけとなり、皆の視線が扶祢へと集まる。さっきからどうにも扶祢の様子がおかしかったんだよな。
その理由は扶祢の鑑定結果を見る事で嫌でも納得させられてしまった訳だが……。
まさか、この後サリナさんがあんな凶行に及ぶとは―――
固有スキルによる基礎ステータス補正は込みの数値が表示されています(例:釣鬼の場合元の『筋力B-』に剛力補正による+1ランクでA-、ランク右側の+-分はスキル補正の影響を受けない)