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キミをこの剣で…~新選組~  作者: 三日月
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四十四章 恋

後一話です。

やっと『一応完結』です。

前回の話で陰陽師は智香の何かを

感じ取りました。今回は”大切に”と

いう言葉が。



そして…

あたしは彼を柱に身体を

寄りかからせる。


して、また陰陽師氏と目が合った。

その瞳はやはりあたしの正体を

見破って居るような…。






『貴方だったのですね…』

『え?』


『”小さな救世主”は…』

『…あ…』





危ないっ!

今普通に”あたし”って言葉を

使うところだった!けど、あたしが

新選組の救世主…。




『貴方、先程強く何かを思って居ませんでしたか?

正直、そのおかげで日高を成仏させることに成功し…封印出来たのです。有り難う御座います』


『そんな…あ…確かにさっき…』


『それと、貴方には一つ秘密が有るようよですね』


『…っ!』


『ふぅ…心配しないで下さい。その秘密は私には判りません。…ただ…貴方なら………』






そうなら…嬉しい。そんな勿体無い言葉…。あたしが本当に彼等の救いになるのならこの身がどうなろうと…。


勝手な考えかも知れないけれど

本当にそう思ってる。





『本当に有り難う御座いました』





土方さんが陰陽師に頭を下げる。

また、陰陽師は…あたしと土方さんを

見ると彼もあたし達へ頭を下げた。




『この新選組は恵まれています…。その、小さな救世主が居る限り』


『…あんたの謂う小さな救世主って…こいつの事なのか…?』






土方さんはあたし見ながら

陰陽師氏へ訊く。

勿論彼は”はい”と応えた。そして一言。





『大切にして下さい』

『…あの…』

『おい…引き止めたら悪いだろう…』

『けど…最後に一言…お願いします!』

『はぁ…すまん。少しだけ時間をくれ』

『構いませんよ』


『あの…色々と有り難う御座いました。…えと…』


『…無理に正体を明かす必要など有りません。ただ貴方は貴方なりの生き方をすれば、それで良いですから。此かもずっと…』


『…有り難う御座います…』





こうして陰陽師氏は屯所を去って行った。

日高の件は此で本当に終わったんだ。

良かった。後は近藤さんと土方さんに

歴史の全てを話すだけだ。





『……』

『…そうか…』

『全て真実です。土方さん…』

『…なんだ…?』


『絶対北海道へ渡らないで下さい。近藤さんは一人で背負わないで下さい。お願いしますっ!でないと…安心して江戸へ行けませんっ!』


『智香…』

『判った。約束しよう。そしてこの屯所で君達を待とう!』

『近藤さん…』


『なぁに。心配する事はない。智香君の話をトシも訊いていたろう?絶対に此処で帰りを待つ。良いな?局長命令だ』


『はぁ…判ったよ』


『有り難う御座いますっ!』

『…本当に、今日行くのかい?』

『はい。本当なら土方さんの関係者から薬を頂くのですが…ごめんなさい…』


『智香…気にするこたぁねぇ。お前のやりたいようにやればいい』


『有り難う御座います…』


『たまには文をよこせ』


『はい』

『美味い団子があったら教えてくれるかい?』


『はい』


『智香』


『…はい…』

『…いや、やめておこう…』




土方さんはまたあの

寂しそうな顔をした。切なそうな寂しそうな…。近藤さんは立ち上がると振り向かず広間をでた。


足音だけが耳に届く。





『…よく話してくれた。俺達の、この新選組の”未来”を…。近藤さんは涙もろい人だから広間を出ちまった…だけど感謝してる。

本来お前はこの事を話してはいけなかった。…そうだろう?…が…全て話してくれた。それ程の覚悟がお前にあった』


『はい…沖田さんだけじゃなく

皆さんを護りたくて…あたしのわがままかも知れませんけど…』


『智香』

『はい?』

『お前が未来から着てくれたお陰で毎日が楽しかった。総司も良く笑う様になった』


『土方さん…?』


『此かも俺の”妹”でいてくれるか?』

『あたしで良ければ。此からも…』


『なら必ず文を出せ』

『はい』






太陽がまた傾き出した。

今日は宿を探す事になるだろう。

荷物を持ち、門で待つ沖田さんを見つける。すると平助君があたしを止めた。


沖田さんは気づいているのかいないのか…。




『此、お前にやる』

『え?』





渡されたのは匂い袋だった。

彼方(あちら)では香水の様な物。

此を渡すのにわざわざ…。

そう思うと嬉しくてたまらなかった。





『有り難う。平助君』

『あ、い、いや…。なぁ、戻って来るんだよな?』

『うん』

『絶対?』

『絶対』

『そっか。その日まで…俺今以上にいい男になってお前を待っててやるよっ!』


『そうだね。今以上身長伸びてることを願うよ。ふふ』


『うわぁーぐさり…』






平助君は自分の胸に手をやりながら

少し前屈みになる。

沖田さんは聞こえていたのか口に手を当て

小刻みに震えている。


笑ってるのだろう。




『あいつ絶対笑ってる』

『ん?』



『あ…』

『どうしたの?平助君…?あ…』





『本当に来たんだ?』

『悪いか…?』

『別に、此処へ来るのも構わないけど

僕と智香ちゃんは暫く江戸へ行くことになったから』


『江戸へ?』





平助君とお喋りをしていたら

樋口さんが来てくれていた。

確かに約束通りだ。





『樋口さん!』




あたし達は門の前に居る

沖田さんと樋口さん二人に駆け寄る。





『智香…久し振りだな』

『お久しぶりです!あ…あの…あたし達…』

『江戸へ行くそうだな?』

『はい』

『…えっとぉ…樋口…さん?』

『ん?ああ…確かお前は藤堂…何だ?』


『土方さんがあんたにお願い事があるんだ。多分…広間に居ると思うから案内するよ』

『広間か…』





樋口さんは呟きながら

あたしの頭を撫でた。




『江戸は雪が少ない。しかし気をつけろ

あそこは盗っ人が多い』


『はい』


『…初めて会った時が…敵同士でなければ良かったな…』


『あ…』


『あぁっ!』




『何っ?!平助…急に大声出して…』





沖田さんも樋口さんも突然の

大声に驚いた。本当、どうしたんだろう…。





『抜き打ち訪問どーするんだよ!毎年来てるんだぜ?!』


『ああ…姉さんか…適当にあしらってよ』


『出来るわけねぇーだろ!あんな

おっかねー女性(ひと)

行くなっ!今行くなっ!土方さんと近藤さんと話をしてきてからにしてくれっ!

大体”総ちゃんに何かあったら…”って

必ず謂うんだからなっ!その時の目が

半端なくこえーんだよっ!』




樋口さんは二人の話を訊き

あたしにボソリと訊いてきた。




『そんなに恐ろしいのか?沖田の姉とは…?』

『らしいですよ』





沖田さんは平助君に手をひかれ

広間へと向かう事となった。

何故か樋口さんは取り残された…と言うより沖田さんのお姉さんの恐さが平助君を

支配したのだろう。

二人は中へ消えていった。




『智香…』

『はい…わっ!』





樋口さんと壁に挟まれた!

って顔が近いっ!そういえば沖田さんも

よく近かったなぁ…。


ただ…そんなに真っ直ぐ見られますと

恥ずかしい…。






『お前が好きだ』


『…っ!』




直後柔らかい唇が重なった。

何で…そうなったのか…全然判らない。

何の取り柄のないあたしなのに…。

全然…。



ゆっくり樋口さんが顔を離す。





『自分の者にならぬなら…お前は沖田に夢中らしいからな。今のは最初で最後』


『樋口さん…』


『何、俺を気にすることなど無い。諦められぬ様なら奪うまでだ』


『そんな…さらりと…』


『冗談だ…』

『広間へ行きましょう』





あたしは樋口さんを広間へと

連れていくことにした。






今回も有り難う御座います。

感謝感激です。


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