四十三章 決着
どれくらいの時間が過ぎたのか
…太陽が少し傾いてきた。
『まだ…やっているみたいですね…』
『時間がかかりすぎているな…』
あたしと土方さんは互いの目を合わせると
陰陽師氏の居る場所へ急いだ。
何だろう…嫌な予感がする…。
外へ飛び出すと近藤さんと斉藤さんも
あの灯籠のある庭へ向かって走っていた。
『近藤さん!斉藤さん!』
『智香…副長…』
斉藤さんと近藤さんは一度立ち止まると
あたし達と合流した。
土方さんが何を急いでいるのかと
訊くと、やはり陰陽師氏の事が気になっての事だった。
彼の元へ着くとそこに居合わせた全員が
目を疑った。
『あら…皆さんお揃いで…』
”お揃いで”?後ろを見ると
沖田さん、原田さん、平助君、永倉さんも
今着いたばかりなのだろう。息をきらせている。
『そんな…お前は確かに…』
平助君が信じられないとばかりだ。
勿論、日高の打ち首を土方さんと確認している。
しかし日高は…刀を陰陽師氏に向け
実体化している。
『そう。私は確かにあの日
打ち首にされました…けれどこうして
実体化しています…此は私しか知らない呪いの一つ…』
『お前…化け物だな…』
土方さんは無理矢理自分を納得させる。
あたしはまだ…この現実を受け入れられないでいる。
命を落とした人間が再生するなんて…
有り得ない。
『その刀、下げて貰えないかな?』
沖田さんがあたしの肩に手を置きながら
冷たい目させ、日高に言葉を発した。
カチャ…
『実体化してるなら僕でもあんたを斬れるって事だよね?』
沖田さんは刀を抜くと走り出し
日高へ斬りかかる。
また、皆も刀を抜く。
山南さんは新選組のつかいのため
今此処には居ない。戦力は少し落ちているけれど陰陽師氏もいる。
『あらあら、せっかちはいけませんわっ!』
キイィィィィィンッ!!
『僕にやられるか彼にやられるか…どっちだろうね?』
『やられる訳にはいかないのよ。私は!』
沖田さんは陰陽師氏を見る。
何かの合図だ。陰陽師氏は頷くとまた
唱え始める。日高は苦しそうに胸に手を添える。
あたしは陰陽師氏を支える事しか出来ない。土方さんは大丈夫だろうか?
彼の背中をさする。
この新選組を彼女の思い通りにさせてたまるものですかっ!
彼等の未来はあたしが絶対に変えてやるんだからっ!あたし達の居る未来も変わってしまうかも知れないけれど
彼等を助けたい。
武士や剣士、隊士でなく人として
人生を全うして貰いたい。
恋をしたり、愛する人と結婚したり…
彼等に…!
絶対絶対…新選組の歴史を、人生を変えるんだからっ!
『……』
陰陽師氏は唱えながら
あたしを見た。
何だろう??
首を傾げていると陰陽師氏は仕上げに
入った。日高の動きが止まり、平助君の剣が彼女を貫いた。
『…ぐ…がはっ!』
日高は血のような物を吐き出し
膝から崩れる…。すると彼女の身体は
透けだした。
『何で…?』
その現象にあたしは声を漏らす。
質問に応えるように陰陽師氏は謂う。
『彼女の身体は怨みにより実体化しただけ…私と彼等の攻撃で体力を消耗した上
藤堂さんが留めを刺した為の現象です。
日高はこれ以上の戦いは無理との判断も
あったのでしょう』
『それじゃ…』
『新選組の勝利です』
今回も有り難う御座います(*^-^*)
如何でしたしょうか?
もう少しで終わりですっ!
最終話ゎどんな終わりにしようか
練り練ってます!
bat? or happy?




