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キミをこの剣で…~新選組~  作者: 三日月
38/45

三十八章 子供と土方さん

今回の『キミをこの剣で…~新選組~』は

沖田が原田と二人で

松本先生を呼びに行く事になってしまい


新太郎を代わりに土方と智香に

沖田が戻るまでの間の

お話になっております。



近藤さん達に隆夫とチビの事故を

伝えた沖田さんは外出の許可を

貰い、原田さんと二人で松本先生を

呼びに出掛ける。


屯所を出る時、沖田さんは

あたしに一言謂う。





『あーそうだ。君に一言謂っておかないと』

『なんですか?』


『僕の小さな友達が此処へ遊びに

来る事になってるんだ。


そんなに時間は

かからないと思うんだけど、土方さんと

二人で遊んであげて貰っていいかな?』


『良いですよ』

『有り難う。もう少しで来ると思うから

宜しくね』


『はい』




そう謂うと沖田さんと原田さんは

松本先生の所へ向かった。

あたしは門の前の枯れ葉を箒で集める。






『今日も冷えるな?』


『土方さん。そうですね』

『総司の奴、すぐ戻ると謂っていたが

それなりの時間がかかる事忘れてるよな』


『仕方ないですよ。平助と永倉さんは

外出してますし、斉藤さんは隊士の方と

刀の練習ですし、近藤さんと山南さん…本当に隆夫とチビを診て貰って良いんですか?』


『大丈夫だ智香が居ない時も

結構あったしな。お?来たな?』


『あの子ですか?』


『そうだ。お前は初めてだったな?』

『ん〜?何処かで見たような…』





母親と一緒に来たんだ。

可愛い小さな男の子た。…丁髷(ちょんまげ)

が可愛い…めちゃくちゃ似合ってる!




『今日和。いつも申し訳有りません』


『いいえ、巡察が終われば暫く時間が

有りますから、気にしないで下さい』

『総司兄ちゃんは?』


『あいつは今松本先生を呼びに出掛けたんだ。だから総司が戻って来るまで

俺達が一緒に遊ぶんだ』


『判った!あれ?この人会った事あるかな?』

『へ?』

『篠山の事か?』

『…あ、確かに私も何処かで…

お会いした様な…』

『あっ!母ちゃん!僕思い出したっ!

総司兄ちゃんに連れて行かれた人!』

『え…?』






まさか…この子とお母さん…。

あの時…。



あたしは沖田さんと初めて会った日の事を

思い出してみる。……思い出せない…。

気づいたら幕末な訳だし…あの時は

初めての沖田さんに怯えてたし…。






『あぁ!変な着物を着ていた…けど…

…男性…ですよね?』

『…………』

『…………』






あたしは土方さんを横目で見た。

困ってるっ!土方さんが困ってるっ!

なので…。




『当たり前じゃないですか…此処は女人

禁止ですよ、はは…似てるだけですよ!』

『………………』

『そうですよね?ふふ

すみません、おかしな事を言い出してしまいまして。では、後でお迎えに来ます』






母親はゆっくり歩き出し

屯所を後にした。


セーフっ!やるじゃんあたしっ!

女優…いや、宝塚に入れたりして。

箒を持ちながら土方さんを見ると


ドン引きした土方さんが居た。

しかもあたしから…すごーく離れてる。

沖田さんの小さな友達とすごーく離れてるっ!






『…紹介がまだ…だったな…

こいつは新太郎だ』


『…なんで離れて紹介するんですかっ!』

『お前が変だからだ』

『…ひーじーがーたーさーんーッッ!』

『逃げるぞっ!』

『わぁいっ!鬼ごっこーっ!変な人が

鬼ぃーっ!わぁーいっ!』



『変な人とはなんですかぁぁっ!』

『きゃはははっ!』






土方さんは新太郎君を担ぐと

猛ダッシュで箒を振り回すあたしから

逃げる。土方さん足速っ!


負けませんよっ!

これでも元陸上選手っ!足には

自信がありますっ!





その頃、隆夫とチビは

近藤さん、山南さんと居た。





『変な人って…ぷっ!』

『子供とは発言が面白いなぁ?』


『智香さんの男の真似…お上手でしたが

土方君の反応がまた良いですね』


『痛いの忘れられますよ…クク…』

『そうだな?しかしトシの奴

あんなに足が速かったなんてなぁ?』


『そうですね。私も初めて知りました』





『はぁ…はぁ…土方さん…いつまで

逃げるんですかっ!』

『きゃーっ!あはは!楽しいーっ!』

『お前が追ってくるからだろう!』





あー…箒が邪魔になってきたぁ…

土方さんはあたしが追うからって

謂ってるけど…逃げるから

追ってるんですっ!




『速いはやーいっ!』





中庭へ逃げ込む土方さんは角を曲がる。

あたしはひたすら追いかける。

角を曲がると、何故か土方さんと新太郎君の姿は無かった。






『はぁ…はぁ…今度はかくれんぼ…?』






あたしは土方さんと新太郎君を

捜し始める。





『しー…』

『”しー”』





見つけたらまた逃げ出すのかなぁ?

此処で隠れられる所は…


一つ、縁の下。

二つ、茂みの中。

三つ、掃除用具がある物置。



縁の下、居ない。

茂みの中。居ない。

残るは掃除用具がある物置だっ!

ふふ。あたしが見つけられないと

思ったら大間違いですよ?土方さんっ!



この時あたしの後ろからそっと

違う隠れ場所へ移動する土方さん。

知らぬあたしは物置へ向かった。





掃除用具がある物置を開ける。

ん?開けるって事は音がするよね?

そっと開けて隠れたって事?


あたしは中を見渡す。

居ない…なんでっ?!

元の場所に戻る。


縁の下も茂みの中も居なかった。

木の上?居ない。

池の中。居ない…いや、居るわけ無い。

その時。




ガサッ





『っ!』

『あぁっ!見つけましたよっ!』

『くそっ!』

『きゃはははは!ドキドキしたぁ!』






土方さんは立ち上がると中庭から

また逃げ出す?

逃げたよっ!やっぱりっ!

逃げるので追いかけるっ!


いつまで続くんだろう…。

逃げて隠れて捜すを

繰り返して挙げ句…。







『はぁ…はぁ…はぁ…もう駄目…』


『いっぱい逃げたね』


『はぁ…はぁ…そうだな…』

『土方さん…休憩しましょうよ…』


『そうだな…』

『篠山のお兄さん、疲れちゃったの?』

『…うん…』


『僕疲れてないよ?』

『お前は俺がずっと担いでたからな…』


『お茶…淹れて…来ます…はぁはぁ…』

『それじゃ広間へ行くか…』

『はーいっ!』






あたし達は広間へ向かい

お茶を近藤さん達にも淹れて出す。

三人で広間に居ると

原さんが新太郎君へ風車をプレゼントしてくれた。





『土方副長も篠山君もお疲れ様。

お茶くらい、私が煎れるのに』


『いえ、これくらい大丈夫です。けど…

次はお願いしちゃうかも知れません』


『そうですとも』

『しかし…久し振りに走ったなぁ…』


『僕、楽しかったよ!土方のお兄ちゃん

凄いんだ!』


『それは良かったねぇ』


『休憩したら中庭で風車で遊ぶか?』

『うんっ!』


『それじゃ、新太郎君もお茶でも

飲んで少し休むといいよ?

では、私はこれで』


『はい』

『おじちゃん。これ有り難うございます!』


『いいえ。では』






原さんは広間を出た。

あたし達三人は次第に息が整ってくる。





『はぁ…良いもんだな』

『何がですか?』





新太郎君は原さんから貰った

風車に息を吹きかけている。




『こうして子供と遊ぶのも』

『普段は切り詰めてお仕事していますもんね…』


『ああ。総司はたまにこうして

気晴らししてるんだな』

『みたいですね』


『ま、お前が来てからは無かったらしいがな?』


『何か…新太郎君に悪い事しちゃいました』


『仕方ないさ巡察で怪我をしたり

お前が狙われたりしていたんだ。

いつもは小さい事件なんだが…

…間が悪かっただけさ』






穏やかな土方さん。

こんな土方さんは滅多に見れない。

恐らく、あたしと近藤さんだけ何だろうな…。






『いつも…そうしてれば良いのに…

土方さん』

『…?』

『だって土方さんいつも

眉間に皺寄ってます』


『総司みたいにへらへら

出来るわけ無いだろう?』


『でも総司兄ちゃんも強いよ?』


『そうだな。新太郎は総司みたいに

強くなりたいか?』


『なりたいっ!強くなって母ちゃんを

護るんだ!悪い奴が来たらやっつける!』


『頼もしい武士になれるなお前は』

『本当っ?!』

『ああ』





休憩が終わると中庭で風車を持って

新太郎君は楽しそうに走る。





『缶蹴り…』

『何だ?』

『いえ、あたし小学生の時

よく缶蹴りで遊んだなぁって…』


『それどんな遊び?』

『缶蹴り?』

『うん!』






あたしは土方さんと新太郎君に

缶蹴りがどんな遊びか説明した。


まず、じゃんけんで鬼を決める。

缶は鬼の近くに置き、鬼は相手が隠れるまで(かず)を数える。


相手が隠れたら捜す。

隠れた相手は缶を目指し蹴る。

ただし、鬼が相手を見つけ缶を踏み

”○○見つけっ!”と謂われたら

動けなくなる。


缶を蹴る資格が無くなる。

それを繰り返す遊びで、全員見つかって

缶を踏まれ名を謂われたら負け。


鬼の勝ち。

逆に踏まれる前に缶を蹴れば

相手の勝ち。





『楽しそうだな?』

『うんっ!』

『缶が有りませんよ?』

『何か代用すればいいさ』

『やりたいっ!』

『けど三人じゃ…』






その時、タイミングよく

平助君と永倉さんが帰ってきた。

土方さんが二人を呼びに行き、連れてきた。缶の代用は折れた枝。






『で、その缶蹴りって奴をやるんだな?』

と、永倉さん。


『遊び方はさっき土方さんに訊いたよ』

と、平助君。






新太郎君は目を輝かせている。

枝を地面に少し埋める。

まず、じゃんけんからだ。





『『じゃんけーんぽんっ!』』





あたしは、チョキ。

土方さん、チョキ。

新太郎君、チョキ。

永倉さん、パー。

平助君、チョキ。


と、謂うことで永倉さんが鬼。






『鬼は土方さんだろう…』

『何か謂ったか?』

『何でもないっす…』





永倉さんが数を数えているうちに

あたし達は隠れる。





『よしっ!全員隠れたな?』





永倉さんは枝から離れ

捜し始める。因みに新太郎君は土方さんと

二人で行動する。






『誰が何処に隠れてやがるんだ?』






それは誰もバカ正直に

”此処です”なんて謂いませんよ?



あたしは物置からそっと離れる。

どうやら永倉さんは反対側を捜しているらしい。



久し振りの缶蹴り。

ん?枝蹴り?なんでもいいや!

あたしはそーっと枝を目指す。




パキッ




『あっ!』

『はっ!しまった!』






此処から土方さんじゃないけれど

猛ダッシュっ!

枝までもう少しっ!




ガッ!



『篠山みっけっ!』

『だぁぁっ!もう少しだったのにぃっ!』


『あぶねぇーあぶねぇー

さて次は誰だろなぁ〜?』


『何でこうなっちゃうかなぁ…』





落ち込んでいるあたし。

土方さん達は何処に隠れてるんだろう?

永倉さんはまた捜し始める。




ポツンと一人。

少しすると新太郎君を担いだ土方さん。

おんぶじゃないんですね。

さっきも担いでましたよね?


新太郎君は口をパクパクさせ

笑顔を見せている。





あたしと土方さんは目が合った。

此方へ向かいながら

後ろを確認する土方さん。


そうなんです。

それが堪らなくスリリングなんですよ。



この時、永倉さんも自分の後ろを確認

したのか走って来た。

気づいたか。

見ていると土方さんは新太郎君を

担いだままそっと近づいてくる。

永倉さんの気配に気づいた様で

走り出す。


永倉さんは土方さんに負けまいと位

本気で走る。

その永倉さんの後ろから

平助君がやってくる。



何だろう…この画は…?



平助君は永倉さんを追い越す。

土方さんは枝までもうちょっと!

此方側の勝利か?!




パキッ!





見事、土方さんがすんでの所で

枝を蹴った。というか、折った。





『よっしゃぁぁっ!ナイス土方さんっ!』

『くっそぉ…良いところまで来たにぃ!』


『わーいっ!やったぁ!

勝ったぁっ!強いぞ凄ーいっ!』


『つーか土方さん速ーい』

『おいっ!篠山君!もう一度勝負だっ!』


『何で勝負になるんだ…』


『新八さん…』

『それじゃ枝を…』


『その必要ねぇよ?さっき隠れてた時

良いもんみつけたんだ』





平助君が竹を出した。

コップ位の大きさで中に

雨水があったのか

ちょっと濡れている。





『水も飲めるぞ?』

『汚いですよ。それ』


『ばっちーな』

と、永倉さん。


『蹴るだけでいいだろう…』



土方さんは呆れ顔。





それから何度か竹蹴りで遊んだ。

たまにこういう日があっても良いな。

土方さんが謂うのも判る。


竹は一人一人、蹴る事も出来た。

勿論、踏む事も。

皆いい感じに息切れしている。

身体は火照っていて、じんわり汗。

新太郎君も疲れたらしく

キリの良いところで


竹蹴り終了。




あたしと土方さんと新太郎君は

広間で一息つく。

いつの間にか広間であたし達は

昼寝をしていた。




『只今戻りましたぁ』


『隆夫は部屋だよな?』

『そうだね。出る前に山南さんが

謂ってたから』

『それじゃ松本先生、こっちです』




松本は原田に案内される。

沖田も隆夫の部屋へ行く。

診察の途中約束を思い出し部屋を出る。


部屋を出ると永倉とばったり会った。





『お、姿が見えないと思ったら

松本先生を呼びに行ってたのか?』


『そうだよ。チビと隆夫が怪我を

しちゃったものだから急遽ね』


『新太郎の相手なら俺と平助が

途中加わって遊んでやってたぜ』


『ごめん。本当なら僕なのに』


『仕方ないだろ?俺も平助も

出てたし、斉藤は隊士等に

剣を教えてたし』


『有り難う。ところで…』

『土方さん達なら広間に居るぜ?』

『そう。新太郎君も一緒?』

『ああ』

『判った』

『楽しかったぜ?』

『え?』

『缶蹴りならぬ枝蹴りからの竹蹴り』

『へ?』





沖田は首を傾げるしか出来ないで居た。

永倉は隆夫の部屋へ入った。

沖田は、土方と智香、新太郎が

居る広間へ向かった。


中へ入ると智香達は眠っている。

新太郎と遊んで疲れたのだろう。





『クス…寝てる。土方さんまで…

風邪ひきますよ…?』





沖田は自分の服隊を智香と

智香の隣で寝る新太郎へ掛けてやった。

土方へはいつも山南が使っている

膝掛けをかり、彼に掛けた。





『新太郎の相手、有り難うございました』





壁に寄りかかると

沖田も目を瞑る

彼もまた三人と一緒に夢の中へ…。












如何でしたか?

ちょっと最近子供達の間で

流行った遊びを取り入れてみました。



すみません。予定していた

お話はこの話の次でした…。

m(_ _)m

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