三十六章 巡察中
此方ゎ沖田さん目線となります。
初めて新選組での男目線なので…つまらない…かも知れません。
すみません(T^T)
昨日は夜遅く牛さんの出産で
智香ちゃんと隆夫君はバタバタしてたなぁ
僕も見たかったけど、今日この通り
巡察。近藤さんと一君も朝方まで出産を
見てたみたいだけど
今日の任務、大丈夫なのかな?
桝屋はまだ誰も入らないし出て来ない。
見張りを御願いすると
僕は山南さんからの文を出す。
信頼してるオジサンが居るんだよね。
ちょっと間が抜けるところもあるけれど。
そうそう。
桝屋にはもう二人見張ってくれてる
仲間が居るんだよね?
山崎君と島田君。何か動きがあれば
教えてくれることになってる。
『お兄ちゃんっ!』
『ん?』
『これ、落ちてた!』
『一両か…有り難う。小さいのに
偉いねぇ?良い子良い子。何か御褒美しないとね?』
『じゃぁさ!お仕事終わったら
遊びに行ってもいいっ?!』
『良いよ。おいで』
このおチビちゃんは
新太郎君。確かお母さんと二人暮らし
だったかな?たまに巡察中寄らせてもらうんだけど、母親は身体が弱くて横になっているときがある。
仕事は近くの飲み屋で夜、お酒を出したり
食べ物を作ったり。
様子を見ることしか出来ないって嫌だよね。
『巡察が終わったら迎えにくるかい?』
『近いから平気だよ』
『それじゃ、門の前で待ってるよ』
『はぁいっ!』
まぁ、巡察っていっても命がけな時も
あるんだよねぇ?
そういえば…智香ちゃんと初めて会った場所、あの子の家の近くだったなぁ。
いつも通り仕事してたら
道端で寝てるんだもん。危うくあの子の
頭踏みそうになったよね。
夜なら完璧踏んでた!
あの時の智香ちゃん
怯えてたっけ…。
僕達は桝屋から離れて歩き出す。
山崎君と島田君が居る事だし
怪しまれちゃうからね。
カチャ…
『沖田総司か…』
『あーあ…こんな所で…ツイてないなぁ
今日の一番組…』
本当ツイてない。
寄りにもよって桝屋付近で。
『全く…』
敵は五人。
僕と一人の隊士が囲まれる。
一人に見覚えがあった。
名前は忘れてしまったけど
元新選組に居た人物。
『久し振り振りです。沖田さん』
『ごめん、名前忘れちゃった…新選組に
刀を向けるとどうなるか判ってるよね?』
『すまない…”君はこうでもしないと
止まってくれないから”ね』
『戦いを挑んだんじゃないの?』
『どうでしょうか?』
『始まったよ…君の”どうでしょうか?”が』
僕は彼等を桝屋から
遠ざけた。
後は任せましたよ?山崎君に島田君。
『此処ならいくら暴れても大丈夫そうだね?』
『おいおい…。確かに俺は沖田さんに
刀を向けたが挑戦状を叩きつけた訳じゃない』
真剣を僕に向けといて何を
謂ってるんだろうこの人は。
『あのさぁ見ての通り僕は
巡察中なんだよね?短めにお願い出来ないかな?』
『判った。此を局長に渡してほしい』
『へ?』
『便りだよ』
『見れば判るよ。それじゃどうして
僕にコレを向けたの?』
『以前新選組に所属しているとき
藤堂君が教えてくれね。”声をかけて反応が無かったら刀をとってみろ”ってね』
『あ…そ…』
そんな事教えてたんだ…。
紛らわしいなぁ。
『彼の事が書いてあります』
『…彼?』
『それだけ謂えば判りますよね?
沖田さんなら?』
『坂本さん…だよね?』
『…はい。では、また便りを渡す事が
あるかも知れないので、その時は
”声”で反応して下さいますよう』
『はいはい』
まぁ
今回の巡察はこんな感じで
事なき終えたんだけど…
屯所へ戻る途中たちの悪い
浪士に会っちゃったんだよね…。
僕の班は十数名に囲まれた。
『全く…今日はツいてるんだか
無いんだか…』
『組長っ!奴らは江戸からの
者らしいです…』
『みたいだね?言葉が此方と
違うから…あんた達、僕達に何か用?』
『お前ら新選組のやり方に問題がある』
『やだなぁ?そんな事で遙々(はるばる)
江戸から京まで来たの?』
『認めるのか?』
『失礼だなぁ?それそう等に
合ったやり方なんだけど…?
どの道、僕達新選組を良く思わない奴らが
流した噂を風の便りで訊いただけ…
何じゃない?
本当は近藤さんが弱いとか?そんなの本気にしてるの?』
『何だと?!』
『新選組が皆から疎まれてる事くらい
僕達だって知ってる。けど、それは
上の連中が新選組を忌み嫌っているから』
町を夜巡回していれば何となく察しがつく。
けど、そんな事一々気にしていたら
仕事なんてやってられない。
別に、全員がそうってわけじゃないし。
『お…新選組の沖田だ…』
『浪士に絡まれてるのかしら…?』
『げどよぉ…見かけない顔だなぁ〜?』
『離れる様謂いますか?』
『そうだね。関係ない人を巻き込む訳にはいかないしね。すぅ…斬られない様もっと離れていてくれませんかぁ?』
『はっ!は、はいっ!』
よし。
二人は走って何処かへ行ってくれたし
此でいつ斬り合いになっても大丈夫だ。
『どうせ話し合いで解決させる
つもりはないんでしょう?』
『なんだと?』
『あんたらの仲間こっちへ刀
向けてるじゃない?』
『…此はお前達がいつ
斬りかかってきてもすぐに
攻撃出来る様にだ』
『ふぅん。だったら鞘へおさめてくれて
良いんじゃない?』
『何?』
『僕の班、刀を向けてるかな?
すぐに出せるよう手は握っているけど?』
浪士達は僕を含めた隊士達を見た。
『くっ…おい!』
鶴の一声か、刀をおさめた。
『それで?僕はあんたの名前すら
知らないんだよね?あんたは僕の事を
知っている』
『名乗るものでもない』
『ふぅん…さっきも謂ったけど
好き放題やってる訳じゃないからね?
僕から以上だけど?どうするの?
斬り合う?それとも下がってくれるのかな?』
『いや、引くとしよう。先程あんたが
謂った事は一理ある。申し訳無い。
…それと刀を向けてすまなかった…』
『いいですよ。別に…ま、僕から
近藤さんと土方さんに話しておきますけど?』
『構わん』
『そうですか…。あーそうそう』
彼等が背を向けた時、一つ訊いておく事があった。それは…。
『日高りんの事、何か知りませんか?』
足を止めて此方を向いてくれた。
何か知っているだろうか?
『先日打ち首になった女か?』
『はい』
『残念だが存ぜぬ…もし、
情報が入ったらそちらへ行く。暫く京に
滞在するのでな』
『お願いします』
『……』
残念。
情報は何もなかったけど
彼は僕と約束をしてくれた。
『流石です。話しだけで
けりをつけるなんて…』
『謂ってたでしょう?こっちが
攻撃してきたらすぐやれるようにって…
言葉が違うけどさ?』
『はい』
僕達は彼等が見えなくなるまで
見送った。




