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キミをこの剣で…~新選組~  作者: 三日月
35/45

三十五章 牛の出産と報告

今晩和。

今日の話はご覧の通り

牛さんの出産です。


出産までの事を書いてしまうと

ネタバレとなりますのでm(_ _)m

でゎ、どうぞ(*^^*)

あたしと山南さんが見た事を

近藤さんへ伝えることとなった。

永倉さんも同行すると謂いだしたので

四人で近藤さんの部屋まで行く。




近藤さんの部屋にて。

あたしは山南さんと並ぶ。

その後ろには沖田さんと永倉さんが

礼儀よく座る。





『どうしたんだ?山南君?

思い詰めた顔だぞ?』

『実はですね…先程…』






山南さんが何があったのか

説明してくれた。





『そんな事が?』

『はい。私は見間違えかと思ったの

ですが…暫く目が合って居ましたし…』

『あたしも山南さんと同じです』

『う〜ん…』






『本当かよ…山南さん、智香ちゃん…』

『僕も訊いたとき、そうだったよ

けど、山南さんも見たって謂うし

謂ってる事が同じで…正直驚いてるよ』






『暫く様子を見てみるか…』






近藤さんが呟く。

その判断は間違えていないと思う。

だって、生きている日高りんは

奉行所な訳だし、刀でどうにか出来る訳でもないから。



本当に日高の想いが念となって

此処へ彼女を来たのだろうか?

呪いなのか判らないけれど…。






『トシと平助は戻るのに暫くかかる…

恐らく夕餉辺りになるだろう…』

『そうですね…では、私はあの方へ

文を出す事にします』

『あの方?』

『陰陽師だよ』





沖田さんが教えてくれる。

彼は永倉さんの隣で此方を見る。





『陰陽師…』





この時代へ来て初めての陰陽師…。

映画やドラマでしか観たことない…。






『これ系の事なら相談しみた方が

宜しいでしょう?』

『…はい』

『貴女が夜、安心して眠れる様に

しなくてはいけませんし…』

『転ぶ智香ちゃん此処にあり!』

『永倉さん…』






あたしは思い切り永倉さんを

睨みつける。と、沖田さんが

ドン引きしていた。


そんなに凄い顔だったのかな?






『智香ちゃん…恐いよ…』

『だっはっはっ!総司が引いてるぞ?

智香君?はっはっはっ!』

『近藤さん…』

『では、早速…』

『すまんな山南君』

『いいえ』






そういうと山南さんは

近藤さんの部屋から退出していった。






『ところで総司』

『はい?』

『永倉君』

『はい?』

『智香君』

『はい?』

『隆夫君から何だが、今晩遅くにかけて

牛の出産があるかも知れんとの

事だが…』

『ああっ!そうでしたっ!あたし

立ち会いますっ!』







沖田さんと永倉さんはその意味が

何だか判ったらしい。

あたしにはその時判らなかった。






『良かったね』

『そうだな。俺もと謂いたいが

夜の見張りがあるんで…立ち会えないが』

『僕は大丈夫だよ』


『総司、お前は明日(あす)巡察だろう?』

『あ…そうでした…』

『大丈夫です!一応隆夫も居ますから』

『…そっちが心配なんだけどなぁ〜?』

『何か謂ったか?』





永倉さんは聞こえているはずなのに

沖田さんへ聞き直す。





『心配するな。俺も立ち会う』

『近藤さんが一緒なら構いません』

『あーアツいねぇ〜』

『はっくしょんっ!』

『智香君…』

『あはは…すみません』







永倉さんは半苦笑いをした。

あたしは鼻を啜り、同じく苦笑い。


あたし達も近藤さんの部屋から出る。

沖田さんは明日の巡察ルートを再確認を

する為、一度自分の部屋へ戻る。

あたしと永倉さんは飼育小屋へ向かった。







『隆夫はまだみたいだな?』

『そうみたいですね。牛さ〜ん』


『”さん”付けになってるな…』

『え?』


『大根さんとか白菜さんとか…最近

なんでも”さん”付けだなぁって

思ったりしてよ』

『永倉さんっ』


『はいはい。おー腹が動いたな?』

『胎動ってやつです』

『ほう』


『人も妊娠すると色々大変みたいです。

悪阻(つわり)だったり、妊娠中毒症とか』

『そうやって生を受けるんだな』


『はい。お腹の中に赤ちゃんが居るんだ

って思うと…凄いですよね。お母さんの

お腹の中で育つんですもん』

『神秘だな』


『はい。そう思うと”さん”を付けても

良いじゃないですか?』

『確かにな』





二人で話をしていたら

いつの間にか隆夫が居たので

悲鳴をあげてしまった。






『人を幽霊扱いしやがって』

『だって気付いたら隣にいるからっ!』

『ひでぇ〜な?永倉さんは気付いてたぞ』

『え?』


『元気よく挨拶してたな』

『ほら』

『どうせつんぼですよ』






作業は少しの時間で終わった。

あたしは雨に濡れないよう

屯所の中へと戻る。





『最近平和だよね?』





沖田さんが子供じみた表情で

欠伸をしながら謂う。

平和は良いことだけど、と呟き

眠たそうにしている。





『少し休んだらどうです?

さっきまで順路の確認していた訳ですし』

『けどなんか落ち着かないんだよね』

『どうしてですか?』

『うーん…さぁ』

『さぁ…って…』

『あ…ずっと訊きたかったんだけど

智香ちゃん、たまに何か口ずさんでるよね?』

『え?』

『”くつ”がどうとか…』

『くつ?』

『うん』

『………………?????』






あたしは首を傾げることしか

出来ないで居た。

そこへ、隆夫が顔をだした。






『沖田さんが謂ってるのは

智香が歌う歌の事じゃないかな?』

『あー!あの歌!』

『こいつが好きな歌の一つですよ』

『へぇ〜。あれ聴いてると

ちょっと切なくなるよね?』

『確かに切ない歌です』





あたしは歌詞の内容を思い出す。

確か…亡くなった弟へ向けての詩。

若くして交通事故で…。

また、あの兄弟の歌聴きたいなぁ…。






『ところで沖田さん、山南さんから

文を預かって来ました』

『ん?あぁ。有り難う』

『陰陽師って近くに居るんですか?』

『居るよ。僕は会ったことないけど』

『俺、会ってみたいです』

『山南さんの話だと気難しい人

らしいよ?』

『気難しい?』

『そう』






隆夫は沖田さんと陰陽師の話に

夢中になった。

あたしは土方さんから頼まれてい

部屋の掃除があったので

席を立った。




あまり散らかってる風に

見えない。

彼は几帳面なのでいつもちゃんと

している。





『あ』





ふと目に入った物が。

確か此は土方さんが趣味で

書いている…。


見たい。



そんな衝動にかられた。

けど、恐い。土方さんの顔が


頭に浮かぶ。





『閉まっておこう』




独り言を謂いながら

部屋を乾拭きする。






『終わったぁ!』





あたしが急に大きい声を

出してしまってので

土方さんの部屋の前を通る隊士の一人が

悲鳴を挙げてしまった。





『あ…すみません…』

『はぁ…君かぁ…脅かさないでくれ…』

『あはは…すみません…』

『驚いたついでなんだが…局長は?』

『部屋に居られます。此方へ

来る途中会いました』

『そうか。有り難う。あ…

あまり働き過ぎないようにな』

『はーいっ!』

『それじゃ、失礼するよ』 






彼はあたしの頭を撫でると

近藤さんの部屋へ向かった。

さて、そろそろ夕餉の支度に

とりかかろう!



数が多い分、早めにやらないとっ!

今日は斉藤さんが一緒だったかな?

なので斉藤さん探しからだ。


土方さんの部屋を出て廊下を歩く。




『えっとぉ…斉藤さんはぁ…』

『俺なら後ろだ』

『あっ!斉藤さんっ!』

『夕餉の支度だろう?行こう』

『はいっ!』

『今日は雨が凄いな?』

『はい…それに季節外れの雷も…』

『恐いのか?』

『雷だいっっっきらいです』






あたしは誰か近くに居れば

袖を掴む癖がある。

けど、今日は雷より日高りんの事が

気になっていたので

すっかり今の今まで忘れていた。


斉藤さんはあたしが歩く速さに

小幅を合わせてくれる。

なので腕をがっちり掴む。





『…歩き難い…』

『我慢して下さいっ!雷が鳴ってるんです!』





思い出したら最後。

誰であろう見付たら鳴り止むまで

こうなる。

斉藤さん、ごめんなさい。






『副長と平助は奉行所か…』

『はい。凄い雨なので心配なんです』

『何処かに泊まって来るかも知れないな』

『あ、帰るみたいな事

近藤さんが謂っていましたよ?』

『そうか…なら、今日は暖かい物を作ろう』

『はい』

『それと、今日は牛の出産らしいな?』






台所へ着くと斉藤さんが

思い出したかの様に訊いてきた。





『そうなんです。隆夫が中心となって

やってくれます』

『彼は未来で経験があるのか?』

『ありますよ』






あたしはジャガ芋と人参を先に

取り出し斉藤さんへ手渡す。






『えっと…あった!葱っ!』

『その葱は?』

『近藤さんが町のお婆さんから

貰ってきた物です。お礼とか謂っていましたね』

『そうか』






あたしは斉藤さんと話ながら

夕餉の支度をこなす。

今までも包丁を使っていた斉藤さんだけど

手元が危なっかしい…。


沖田さんも剣を扱う時は

凄い腕だけど包丁を持つとちょっと

見てるこっちが恐くなる。

剥く時は全然良いのだけれど

切ろうとなると…指で掴んでいるので…。






『斉藤さん、こうやって猫の手で

押さえた方が怪我もしませんし

やりやすいですよ?』

『こうか?』






斉藤さんはあたしが

教えた通りに手を猫の手にする。






『はい』

『これなら指を切らないな』

『危なくもないです』





夕餉時になると

土方さんと平助君が帰ってきた。






『お帰りなさい…わ…ずぶ濡れですね…』

『まさかこんなに雨が降るとはな…』

『あーさみぃ…』

『お風呂、出来てます』






あたしは手拭いを数枚二人に渡す。






『濡れた所はあたしと隆夫で

拭きますから、暖まってきて下さい』

『悪いな…』

『そんじゃ…入ってくる…』





二人共、風邪ひかなければいいなぁ。

新選組の仕事も結構大変だし…。

弱った所を狙われでもしたら…と思うと

恐い。


丁度隆夫が通りかかったので

捕まえる。





『こんなに…』





隆夫は風呂場まで続く水溜まりを見て

驚いている。確かに…凄い。

濡れた所拭き終えると、隆夫は二人の

着替えを持って行ってくれた。



二人が風呂から出てくると

夕餉を食べながら互いの昼間の出来事を

報告する。







『奴は最後まで平助の名を呼んでたよ』

『土方さん…飯の時くらい…やめましょうよ』

『だな』






土方さんは平助君の言葉に頷いた。

確かに…グロテスクだし…。





『で、俺達が向こうに行ってる間に

見たって事だが…』

『はい』

『念の為文を書いたので明日

沖田君が巡察の時に持って行って

貰う事にしました』

『その文なら隆夫君から預かりました』

『今日は変な一日だったな…智香ちゃん』

『永倉さん…あたしに突っ込み過ぎです』

『そうか?はははっ!』





夕餉が終わるとあたしと隆夫は

一足先に飼育小屋へ

牛さんの様子を見に行った。






『苦しそう…』

『産気ついたな』

『昼間、此処に移動させて良かったね』

『基本だからな』

『頑張れ牛さん!』





隆夫は手慣れた様子だ。

久し振りに見る。


苦しさのあまりたまに

暴れ出す。

どれくらい経ったのか判らないけど

いつの間にか近藤さんと斉藤さんが居た。

頭と前足が出て来た。






『よしっ!そのままだっ!』







少し出て来た所で

隆夫が子牛を引っ張る。

丁度首辺りで息むのを

やめてしまったからだ。






『もう少し頑張れっ!牛さんっ!』






応えるかのように母牛はいきんだ。

すると…。







『おおっ!生まれたなっ!』






近藤さんが涙を流して喜んでいる。

恐らく、思い出したのだろう。





『頑張ったな…』





斉藤さんも感動している様子だ。






『後は胎盤だけだ…おわっ!』





隆夫が謂うと胎盤も出て来た。

確かこれを食べるんだよね。


気が付くと少し明るい。

朝っ!!

近藤さん達…大丈夫かな?








さて、この後

新選組がどう動くか…。

そして陰陽師はどのような人物なのか。


いつも有り難う御座いますm(_ _)m

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