三十一章 違和感
一週間位振りの投稿です。
今回のお話は飼育中の動物の話が
中心となっています。
でわ、どうぞ(*^^*)
日高りんの事件から七日目。
平助君は原田さんと行動を、共にしている。あたしはあの時の恐怖から立ち直り
いつも通り、毎日をこなす。
『智香ちゃん?少し休んだら?』
『沖田さん…いえ…もう少し頑張らせて頂きます』
沖田さんが首を傾げながら此方へ向かってくる。なんだろう?そう思っていると
あたしから箒を取り上げて庭掃きを始めた。
『あの!あたしがやりますからっ!』
『…ねぇ智香ちゃん?』
『…はい?』
『僕さ……いや、何でもない』
『沖田さん?あ!』
『どーしたの?』
『えと…スッゴく話が違うんですけど…』
『…?』
『あの日…沖田さん。あたしの
事”智香”って…謂ってくれましたよね?』
『………うん。謂ったよ。けど何だか恥ずかしくて…』
沖田さんは視線をずらしてそう謂った。
だけど此方まで恥ずかしくなるのでやめて欲しいかな?
『平助君…大丈夫かなぁ…?』
『やっぱり君も心配だよね?日高は此処にもう居ないけれど』
『はい。沖田さんこそ…もう怪我の具合はいいんですか?』
『まぁ…痛むけど大丈夫だよ?深い傷じゃないし』
『良かったです』
沖田さんと庭履きをしながら
話をしていると元彼の隆夫がやってきた。
『あ、居た』
『…?隆夫…何か用?』
『うん。ちょっといい?』
『ふぅ…すみません、少し待っていてもらって良いですか?』
『…良いよ。僕はその間一服させてもらうから』
『沖田さん、すみません。少しだけなんで…智香』
『はいはい』
あたしは隆夫に呼ばれたので
中庭かは離れる。
連れて来られたのは飼育小屋だった。
『最近、豚の方食欲ないと思わないか?』
『…うん。あたしもそれ気にしてた…土方さんに相談したら”たべものが合っていないんじゃないか”って』
『やっぱりそうなのかなぁ…俺、牛の飼育経験はあるけど豚はなぁ…』
そうか。だから牛は変わりなく元気なんだ。謂われてみれば付き合っている時にちらりと訊いたかも。
『あれ?智香と隆夫じゃん?何してるの?』
二人で話をしていると平助君がやってきたので事情を話す。
『そっかぁ…何でだろうな?食べさせるもん変えてみるしか方法がないんじゃねぇ?病気ではないだろうし』
『うーん。それじゃあたし山南さんに外出の許可貰って餌を調達先してきます』
『そうだな。平助さん、有り難う御座います』
『いいって。それじゃ俺あっち戻るわ』
平助君は右手をひらひらとさせながら
任務へと戻っていった。
あたしと隆夫は飼育小屋を離れ、中庭へ戻る。
『沖田さんっ!』
『わっ!びっくりしたぁ…智香ちゃん…どうしたの?』
『豚の新しい餌!調達しに行きたいんですけど、山南さんて何処にいらっしゃいます?』
『え?豚?餌?』
『はぁ…おい…智香…。実は食べるために飼育している豚の方があまり食欲がなくて…ちょっと元気がないんですよ』
『きっと食べられたくないからワザと餌を食べないんだよ』
『『え?』』
『それじゃ沖田さん、ずっとお肉はお魚だけで良いんですか?』
『う〜ん…それはヤダ』
『俺もそれは…』
『沖田さんも同行大丈夫ですか?』
『僕の班は今日夜だけだから良いよ』
そういう事なので三人で山南さんの部屋へ移動する事になった。
障子を開けると山南さんが机に向かって何かを書いていた。
『どうしました?沖田君まで?』
あたしと隆夫は飼育小屋に居る豚の事を
詳しく説明した。山南さんは考える様に手を顎へつける。
『では、山崎君にも同行してもらいましょう。敵が多数攻めてきた時幾ら沖田君でも荷が重いでしょうし…良いですね?』
『…仕方無いですね。構いませんよ僕は』
『お二方もよろしいですか?』
『『はい』』
『それと、念の為動物に詳しい”彼”に文を出しておきましょう』
『『『誰です?』』』
山南さんはにっこりすると
こう謂った。
『それは此処へ着た時の楽しみにしておきましょう』
『…まさか…』
『おや?気づいてしまいましたか』
『そうなんですね…』
『はい』
沖田さんはちょっと暗めで
山南さんは物凄い笑顔での会話。
あたしと隆夫にはさっぱり判らないけど
沖田さんが少し落胆している様子だけは
判る。
ただ、この日の山南さんにちょっぴり
違和感を感じた。




