二十一章 狙い…
やっとメール機能直りました(T^T)
なんだったの…あれ…(T^T)
彼女に襲われてからは
護衛が一人から二人になった。
平助君は土方さんの命令通り、沖田さんと巡察を共にしている。
そして、彼女の情報のやり取りは
山南さんが提案したように文でやっている。
『智香』
『あ…土方さん…』
『一人で居るな狙われているんだぞ』
『ごめんなさい…』
『あの女はあれから来たりしていないか?』
『はい』
『総司が心配してるぞ?ここんところ元気な無いとか、溜め息ばかりついてるとか』
『それは…そうですけど…』
『まぁ…なんだ…散歩にでも出るか…』
土方さんは少し照れくさそうに散歩へ誘ってくれた。同時、申し訳無く思った。
心配と迷惑をかけているから…。
散歩の支度を済ませ、山南さんに一声かけてから外に出た。
『今日も蜻蛉が沢山ですね?』
『蜻蛉もだが、螽も沢山出てくるぞ?』
『…そっちは勘弁です』
『どうして?』
『小さい頃群がってる所あたしが走って行った事があって…ダーッて行ったらバーって…飛んで…』
『ふ…お前馬鹿か…』
『むっ!子供の頃の話ですもんっ!』
『はいはい』
『土方さん…の…鬼っ!』
『いくらでも謂え』
『あっ!梨っ!梨ですよ土方さんっ!』
『秋だからな。実っていても不思議じゃないだろう?』
『食欲の秋です』
『お前は食べることしか無いのか…』
『はい!』
『あーそうかよ…』
そんな話をしながらあたしは
土方さんと散歩を楽しんだ。
いつの間にかモヤモヤが無くなっていた。
散歩の途中怪我をした仔犬を見つける。
『あそこから落ちたんだな』
『あんな所から?!』
見上げると急な崖が見える。
怪我だけで済んでいる事が奇跡だと思える。土方さんは仔犬の前足に添え木をし始めた。
『こんなものしか出来ないが…よっ…何もしないよりはマシだろう…』
彼はそう謂うと仔犬を抱き上げた。
『すまないが散歩は終わりだ。屯所へ戻ってこいつの手当てをやろう』
『はいっ!』
あたし達は来た道を戻った。
屯所へ着くと沖田さん達が巡察から帰ってきていた。
『お帰りなさい。巡察、お疲れ様でした』
あたしが沖田さんへ謂うと仔犬を抱いた土方さんを見つける平助君。少しだけど唾を飛ばしながら彼を指差ししている。
そんな平助君を沖田さんはドン引きしながら一歩下がる。
『あーっ!土方さん犬っ!どーしたんだよ?』
『智香と散歩していたら見つけたんだ。怪我をしていてな…』
『それで、散歩を中断して仔犬の手当てをって…。土方さんが』
『なっ!智香!余計な事を…』
『良いじゃないですか?』
『ほぅ。土方君が仔犬を?』
土方さんと仔犬の事を話していると山南さんが広間へ入ってきた。
相変わらず身なりをきちんとしている。
沖田さんはお茶を啜っている。
『山南さん…』
『へぇー優しいじゃん土方さん?にひひ』
『平助…』
『人も動物も命あるんだから助けないとね?僕は猫助けましたよ?』
沖田さんがそう謂うと土方さんはあの日の事を
思い出した。
暫くし土方さんは自分の部屋へ仔犬を連れて行った。あたしは未来から持ってきた消毒液とガーゼと包帯を土方さんの部屋へ持って行く。
『お待たせしました』
『おう。悪いな』
『いいえ…ちょっと弱ってますね…』
『ああ』
そこへ山南さんと沖田さんが
やってきた。
手当ての仕方が気になるのだろうか?
『土方君…此を』
『ん…?文…』
土方さんは山南さんと沖田さんを見る。
直感だけど、あの女の人の件だろうと
悟った。
”数日前の女、あいつは殺し屋です”
文を覗いてみるとそう書かれていた。
この書き方は沖田さんだろう。
詠み終えると土方さんと一緒に山南さんの前に座る。
あたしと土方さんは山南さんと沖田さんを見る。
『こっちは平助から』
”えっと、珍しい『者』が好き。”
”殺し屋の中で有名”
”自分の目的の為人を殺める”
『え?』
『はぁ…』
土方さんは紙と筆を出すと
こう綴った。
”狙いは新選組を潰す事だろうよもしくは”
それ以上は続けなかった。
もしくは…その後に続くはずだった
台詞がどうしても気になる。
仔犬の手当てを終えると近藤さんが
土方さんの部屋へ来た。
あたしは仔犬を連れて大広間へ向かう。
何か大切な話があると近藤さんはよく土方さんの部屋へ来るから。
『はぁ…なんか眠くなってきちゃった…』
『いいぜ?少し寝て?』
『あ、原田さん…』
一人かと思っていたら原田さんが隅っこで座り
片足を立てて居た。
『一人部屋で寝るより此処なら人がいるからな?』
『けど…』
『いいって寝顔ばっちり見といてやるから』
『絶対寝ませんっ!』
『あら…残念』
原田さんは両手を顔まで挙げた。
絶対寝ないっ!
『あ!そうだ!』
あたしは自分が背負っているものに
気付いて風呂敷を広げた。
『おっ!柿じゃん!』
『晩ご飯の時に皆に出そうと思って』
『こりゃ夕餉が楽しみだ…っ!誰だっ!』
原田さんは急にあたしを庇うように
立ち上がり天井を槍で刺し始めた。
槍の半分が食い込む。
音が明らかに違う…。
『侵入者だっ!誰か来てくれっ!』
『はら…だ…さん?』
そのとき、丁度斉藤が大広間へやってきた。左手には剣が握り締められている。
『忍びの者か?』
『恐らくな…』
『智香、お前は此処を動くな』
『…はい…』
あたしは仔犬をそっと抱き寄せた。




