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キミをこの剣で…~新選組~  作者: 三日月
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十三章 離れ離れ

近藤さんと山南さんは

土方さんと沖田さんの応援に駆けつけた。

あたしは屯所で待機となった。


原田さんと平助君は何かと喧嘩したり

仲良くなったと思えば

巡察の手順をおさらいしたり

何だかんだ本当仲がいいんだよね。





キイィィィィンっ!





『近藤さん…』

『智香君から訊いて駆けつけたぞっ!』

『ふん…余計な奴が二人増えたか…』

『駄目ですよ?近藤さん?此は僕達の腕試しなんですから』

『なんと…腕試しとは甘くみられたものよ…』

『ふふん』






キイィィィィンっ!





沖田と樋口は互いに一歩も譲らない。

土方はそれを見ていて

ふと気づいた。樋口の口元が、企みの笑みがこぼれていた。






『……っ?!しまった!こいつの狙いはあいつだ!屯所の手薄が目的なんだっ!』

『えっ?!』

『近藤君…』

『俺達を此処へ…罠だったのか?!』





キイィィィィンっ!

キイィィィィンっ!



何度となく沖田と樋口の剣が

交差しあう。




『罠?…ああ。そうだ。昨日此方へ着たとき…お前等が騒いでいたのを良いように

利用させてもらった。だが…沖田が不在だったのは気付けなかったが…女もそうだったのか?』






そう。あたし達が未来へ行っている間

新選組屯所で騒ぎがあった。

一人の浪士が新選組を潰そうと来た。

背格好からして、あの毒の騒ぎの時に


拷問した者と一緒だったとか…。

今も調べを進めている。

また後日残りの者達が毒を奪いに来るかも知れないと話していたらしい…。




『しかし運が良い。沖田も女も二人して戻ってくるなんと…今頃屯所には俺の仲間が任務を遂行しているだろう…』

『…智香ちゃん…くそっ!』






『総司っ!此処はお前一人で大丈夫か?!』

『勿論ですっ!』

『それじゃ此処は任せるぞっ!お前たちも俺達と屯所へ戻るぞ!』

『『はいっ!』』

『近藤さん!山南さん!』

『謂われなくとも戻りますよ』

『急げっ!』






近藤の一声で屯所まで走る。

途中数十人の邪魔が入ったが土方は一人

近藤の命令で戻る。






『くそっ!』






屯所へ戻ると智香が一人の男に取り押さえられていた。八方手裏剣を智香へ向けられている。






『土方さん…』

『智香っ!おいっ!そいつを放して貰おうか?』





土方は剣を抜き男へ向ける。






『そう謂われて”はい良いですよ”と謂うと思うか?お前、馬鹿だろ?』

『聞こえなかったか?そいつを放せ』

『嫌だと謂ったら?』

『斬る』

『出来るのか?』

『…やって下さいっ!土方さん!あたしの事は気にしないでやって下さいっ!』

『智香…』

『土方さんなら大丈夫です!出来ます!』

『何謂ってんの?お前も馬鹿か?』

『馬鹿です!悪いですか?』

『ふははははっ!お前…面白い奴だな?気に入った。予定変更してやる』






そう謂うと男は太陽を使った目くらましで

土方、原田、藤堂の目を一時的に使えなくし智香を連れ去った。






『っ!畜生っ!くそっ!くそっ!』






土方は地面を何度も何度も拳を叩きつけた。原田が止めに入るが止めようとしない。拳からは血が流れ始めた。



護れなかった。

女一人を男三人も居ながら…。

智香を護れなかった…。





遅れて近藤と山南が到着する。

土方は拳を叩きつける。

その姿を見て、二人は智香が連れ去られたと悟った。





『沖田…本戦までもっと強くなれ…』

『はぁ?』





樋口は剣を下げる。





『一時休戦だ』





樋口は言葉を残すと沖田の前から去った。





『…はっ!智香ちゃんっ!』





沖田もまた屯所へ急いで戻る。

戻るとそこには落胆した土方と近藤、山南に原田、藤堂の姿あった。





『総司…』

『なんです?この陰気臭い空気…』






沖田は信じたくないのか怒りを抑えようとしているのか…。

言葉を近藤達へぶつける。


そして沖田の目に土方の拳から流れる血に気づいた。




『どうしたんです?それ?』

『…すまん…総司…』

『何で土方さんが謝るんです?』

『そうだぜ…土方さん…俺達が護るって謂いながら…あいつを護れなかったのは俺達の…』

『血迷った俺が悪い…』

『土方さんは悪くないだろう…』

『そうだぜ。捉えられたらのは俺と平助のミスだ…。総司…すまんっ!』

『ごめん!総司!』

『……訊きたくない…』

『『総司…』』





そこに近藤が口を挟む。





『総司。こいつ等を責めんでやってくれ…俺が此処へ残る選択もあった』

『……』






沖田は無言のまま中庭へ向かった。

まるでそれが”そうですね”とその背中が謂っている様だった。





『くそっ!』






土方は悔やんだ。

あの時智香がやれと謂ったとき

行動を起こせば良かったと…。




『トシ…中へ入ろう…』

『………』




土方も無言のまま立ち上がり屯所の中へ入る。がらんとしたようだ…。土方は思った。

何もする気にもなれない…。そんな感覚を土方を襲った。



何かポカンとした様な…。

プライドが許さない何かか…。

土方は二人が未来から持ち帰った物に

手を伸ばす。



開けると、ひんやりとした空気。

中身は”此で冷たい飲み物が飲めます”と

謂っている智香が目に浮かんだ。

妹の様な智香を危険な目に遭うかも知れない。毒の入った小瓶はまだ此方にある。



もう一度来るのか?

それとも此方で居場所を突き止め

出向くか?土方は部屋を出ると町へ降りていった。


主の居ない部屋…近藤と山南は土方の部屋の障子を開ける。が、土方は居ない。






『土方君、どちらへ行かれたのでしょう…?』

『…トシの事だ。もしかしたら奴らの居場所を突き止めに町へ行ったのかも知れん』

『はぁ…土方君一人の責任では無いと謂うのに…私も町へ行って情報を集めて来ます…』






山南がそう謂った時、原田と藤堂がやってきた。







『それなら俺と平助とで行ってくる』




『原田君…藤堂君…』

『斉藤にも理由は話した。力になってくれるそうだ』

『一君と三人で屯所に居てくれよ。あ…総司も居たか?にひひ』

『すまん。二人とも…』

『いいって。俺達にやらせてくれ』

『んじゃ、行ってくるなっ!』





そしてあたしはというと…。

平拔依という人に連れ去られ、気が付くと

だだっ広い部屋へ入れられていた。


手足は縛られ、口にも手拭いが巻かれている。



一体…此処は何処だろう…?




座敷には何かがあるでもなく

テーブルや座布団すら無い。

ぽつんと…あたしだけが居る。


部屋を見回していると障子が右へスライドした。





『気が付いた様だな?』

『お〜?本当だ。んじゃ早速あの毒について訊こうか?』

『……』

『毒を落とした浪士を見たか?身振りで応えろ。いいな?浪士を見たか?』

『…ん…』





あたしは素直に応える。

見た。





『そいつの顔は覚えているか?』

『…んん』





ぼんやりとしか…覚えて居ない。

けど、屯所には山南さんが描いてくれた

似顔絵がある。






『最後に一つ…お前をあちら…新選組へ返す気はない』

『っ!!』

『色々と此方としては不利が多くてね?まぁ、雇われ物の俺達には関係ねぇーんだけどよ』

『確かに…だが…俺達は雇った側からの命令を遂行するまで…』






あたしはその”任務”とやらの内容がとても気になった。

胸騒ぎがする…。






『お前と沖田の抹殺だ』






ドクン…っ!





抹殺?

どうして?あたしと沖田さん?

…まさか…あの時あたしが毒の入った小瓶を落とした浪士を見たから?


沖田さんは気づいていなかったのに…。





『だが気が変わった…二人ともを生かす…』

『……』

『樋口に感謝しろよ?』







樋口はあたしの顎をひょいと人差し指と親指で持ち上げ、あたしを見る。

あたしは彼等を睨み付ける。





『そんな目をしてどうする?この場所は特定しずらい…助けには来られないだろう』

『さぁて、樋口、俺は先に行ってるぜ?』

『ああ。俺も後から追い掛ける』






大丈夫。

皆の所へ必ず戻るから…。







どうでしたでしょうか?

思いつくまま、書いてみました。

いつもありがとうございますm(_ _)m

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