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キミをこの剣で…~新選組~  作者: 三日月
11/45

十一章 かえろうよ

どうして…本を手にしたのに…。

向こうへ戻れないの?

もう…関わってはいけないの?




あたしは残念な気持ちで自宅へ戻った。

誰も居ない。

静かなアパート。一人だもん当たり前だよね…。



そっと玄関を閉め、中へ入る。






『沖田さん…』




『呼んだ?』

『…はい…って…えぇぇぇっ!!』

『君の持ち物に頼んだらこうなっちゃった』

『…あ…バック!』

『未来ってこんななんだね?驚いたよ』

『もう…会えないかと…』

『うん。僕もそう思った。君さ、結構新選組に馴染んでたんだね?土方さんも近藤さんも原田さんも…心配してるよ』

『本当…ですか?』

『うん…』

『なんだか…嬉しいです。ありがとうございます』

『…此処はまだ春の陽気なんだね』

『はい』

『君は此処で生活してるんだ?』

『はい』

『文久と平成か…』

『あれ?よく平成って判りましたね?』

『此だよ』





沖田さんは新聞を右人差し指でトントンと

やった。なる程。そういうことか。






『飲み物、どうぞ』





あたしは沖田さんに烏龍茶を氷入りで

出した。

彼は”美味しい”と一言謂ってくれた。

そんな沖田さんを見て思いついた。


物置からクーラーボックスを引っ張り出してその中に保冷剤を沢山入れた。

沖田さんには氷を買ってくるので

此処で待って貰う事にした。




ただ…今日はもう日が暮れる。

行動は明日にしてみよう。





『今、向こうは居なくなった沖田さんで騒いでますね?』

『そうだね。ねぇ〜こっちの服装てなんだか変な感じだよね?』

『そうですか?』

『そうですよ。でもお風呂は良かったなぁ』

『あっちは五右衛門風呂ですもんね』

『そうだね。洗濯機…あの音何とかならないの?』

『なりません』

『へぇー。けどさ、便利だね』

『はい。だからあたしは、あの時代の人達は凄いって思います』

『それこれ発明してる人も凄いけどね』

『それぞれ凄いということで』

『うん』






そしてあたし達は床についた。

何でだろう…。落ち着かない。

畳の上で寝るのが落ち着く…。

沖田さんはぐっすり寝てるみたい…



ベットの下に敷いた布団。

まさか沖田さんが使うなんて…。




沖田さん…お風呂場で凄い凄い謂ってたなぁ…。あたしが使うシャンプーの香り…あんな香りだったんだ…。





沖田さんの話しだと向こうであたしの

持ち物に頼んだって謂ってたよね…。

こっちには沖田さんの服があるけど、繋がってくれるだろうか?




だけど…こんな不思議な出来事…

誰が信じてくれる?

信じてくれるのは新選組の皆だけ…。




翌朝あたしより先に沖田さんが

目を覚ます。寝ぼけていたのか近藤さんを呼ぶ。


それに気づき目を覚ます。





『どうしました?』

『あ…そうだ…此処未来なんだっけ…』






寂しそうな沖田さん。

そうだよね…今まで…んん。昨日までは

新選組の屯所に居て仕事していたんだもん。






『沖田さん…』

『ん?』

『…いえ、やっぱり何でも無いです』

『気になるんだけど?』

『…じゃぁ…あの…もし、事が解決して…あたしが一時的じゃなくて…本当のさよならの日が…きたら…』

『…その時はちゃんと別れを謂うよ。それに戻り方だって知らなかったから…今回は驚いただけだよ。本当急にだもん』

『あたしも…驚きました…』

『智香…ちゃん?』






ホッとしたのか緊張の糸が切れたのか

あたしは沖田さんの目の前で泣いてしまった。彼はあたしを抱きしめてくれた。





『ねぇ?』

『はい?』

『前に僕が君に接吻したの覚えてる?』

『接吻…あ…』

『覚えててくれたんだ?』

『…は、はい…』

『そういうこと…だから…』






まだ眠たそうな沖田さん。

あたしを胸にして頑張って起きてるような…きっと疲れてるんだ。


もう少し寝ていてもらおう。





『あの…もう少し寝ていて下さい。眠そうですよ?』

『ん…うん…』






沖田さんはそのまま横になった。

あたしまでも…沖田さんに抱きしめられたらままの姿勢…。



いつからだろう?

いつから沖田さんを意識するように…?

何故か彼に惹かれる。


ずっと側に居たいけど

一緒には居られない。彼は文久時代。

あたしは平成時代だから…。





『好きです…沖田さんの事…』






いつの間にか自分まで寝てしまう。

夢の中では新選組の皆と和気藹々だった。

土方さんは相変わらず沖田さんを叱っていて


山南さんは筆を持ちながら

静かな自分の部屋へ行く。近藤さんはお茶と団子を楽しんでいて、斉藤さんへ勧めていて斉藤さん自身はちょっと困っている。


原田さんと平助君は木等を持ち出して喧嘩を始める。



そんな夢だった。

あ、後白い子猫も居たっけ。




二度寝から再び目を覚ます。






『ん…あれ?沖田さん?』

『こっちだよ』

『あ…』




沖田さんはあたしの足元で胡座をかいで頬杖をついてあたしを見ていた。

一瞬、沖田さんだけが向こうへ行ってしまったんじゃないかと…不安になった。






『良かった…一人で向こうへ戻ってしまったんじゃないかって…思っちゃいました…』

『僕も寝てる智香ちゃんが向こうへ戻って、また道端で寝てるんじゃないかって』

『ですから!何度も謂いますけど気を失ってたんです!』

『はいはい。そういうことにしておきます』

『ほんっっっと意地悪ですよね?』

『そうかなぁ?』

『そうですよ』

『ーーー』





沖田さんは頬杖をついたままニヤニヤしている。





『何ですか…?』

『”好きです…沖田さんの事”』

『んがぁぁっ!』






そのオウム返しであたしは一瞬にして

真っ赤になった。

顔が熱くなるのが判る。

とんでもないオウム返しっ!






『だって耳に入ったんだもん』

『知りませんっ!寝言です!寝言!』

『へぇー?』

『もうっ!』





恥ずかしのあまり

あたしは枕を沖田さんに思いきり投げた。

なんだって朝から…!

そしてあたし達は沖田さんの着物に手をやり、向こうへ戻してほしいと願った。

けど…。






『何も起こらないね?』

『どうして…あたし…皆に会いたいのに…なんで…』

『智香ちゃんの持ち物ならいいんじゃないのかな?』

『え?』

『だって向こうには君の荷物があるんだし?何か違う物で試すべき何じゃないかな?』

『…そうですね…やってみましょう!』

『その前にさ』

『はい?』

『折角こっちに来たんだから、ちょっと散歩してみたいなぁ?僕、とばされてからずっと君の家に居たし』

『そうですね。あ、でも何であたしのアパートって判ったんですか?』

『あれ』






沖田さんは棚にある写真を指差した。






『君がいるから』

『だから…』

『そう。それに僕は君の荷物を手にして此処へ着た。てことは、君の家って解釈したんだよね』

『なる程。納得です!』

『じゃ、行こうよ?』

『はい!あ!昨日沖田さん用に買った服と後、サンダルが有りますから』

『判った。それじゃ着替えてくるよ』

『いえ、沖田さんは此方で着替えて下さい。あたしのは向こうへ持ってきますから』

『いいの?』

『はい』







ーーーーーーーーーーー




ー新選組屯所にてー





『帰って来ないなぁ…』

『おはよう。近藤さん』

『おお。トシか…おはよう。智香君と総司戻って来なかったなぁ…』

『ああ。まさかあんな事が起きるなんてなぁ…山南さんも驚いてたよ。一晩寝ずに待ってみたが…』

『山南君には今日休むよう謂ってくれ』

『もう謂ったよ。山南さんも判ってくれて今床についてる』

『助かる。ただ問題は総司の班なんだ…隊長が行方不明になったなんて謂えないしなぁ…身体を壊して休養中ということにしようと思うんだが…』

『それで良いんじゃないか?全く…総司は何考えてるんだか…』

『総司がか?』

『消える前呟いてたんだよ。向こうへ行きたいとかそんな事を。その後だ。あいつが頭を抱えて倒れて暫くして…消えた』

『いつも一緒だったからなぁ…寂しかったんだろう。何か謂えば智香君と喧嘩したり、からかっていたり』

『そうだな。確かにあいつは智香を玩具にしていたな』

『毎日そんなで、急に目の前から居なくなれば不安にもなるだろう』

『バレバレなんだよなぁ。総司』

『バレバレだなぁ。まぁ、行き先は未来なら心配なかろう?斬られる訳でもないだろうし』

『そうならいいな。逆にあいつか斬るかも知れないが…』

『…総司の刀は?』

『ねぇよ』

『無いっ!?』

『腰に付けたままだ』

『…まぁ…智香君となら…大丈夫だろう…』

『そういう事にしておこう。さぁ、そろそろ巡察の刻だ総司の代理で俺が仕切ってくる』

『おう。頼む』














如何でしたでしょうか?

昨日、感想を頂き次話を早くという

大変嬉しい言葉を…(≧∀≦)



つまらなかったらすみません…(T^T)

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