(至上主義)
「俺はハッピーエンド至上主義だ」
「なんだい、いきなり」
「ただ言いたかっただけだ」
「……僕はトゥルーエンドのほうが好きかな」
「んー、確かに捨てがたいが。それでも、好きな人と幸せになりたいんだよなぁ」
「それは分かるかもしれないね、だけど。
君の言ってるのってギャルゲーの話かい?」
「ん? エンドと付けば大体ギャルゲーかエロゲーだろう?」
「はぁ、だめだこいつ。いいかい、何でもそっちに結び付けないでくれ、
僕は普通のアドベンチャーゲームの話をしようと思ったんだ」
「そこら辺は理想の違いだろう。俺は萌え至上主義だからな」
「なら僕は文学至上主義かい? 残念ながら恋愛もののほうが好きだね」
「それは聞いてないよな?」
「ていうかだね、まず萌えという文化は普遍的でも一般的でも無いんだ!
それを意識して喋ってくれないかな!」
「それは偏見だろう。それぞれの常識はそれぞれで決まるものなんだから。
お前の考えが狭いという訳ではないが、
完全に一般であるという考えは駄目だと思うぞ?」
「む、君がそれを言うかい」
「そりゃ俺だって人に分からない事を話したりするかもしれないが、
それを世間一般に当てはめて話した覚えはないぞ。
俺の中ではそういう風になっているって言うのも珍しくないからな」
「むう、常識的な意見だね」
「人の意見を否定するつもりはないが、俺だって意見を通したい時がある。
だから俺は萌え至上主義だ!」
「最後の最後でそれなのか。至上主義者はこういうものなのかい?」