1話〈パートナーになって下さい!〉【後編】
風が通り気持ちよい屋上、今そこが俺にとって記念すべき場所になる所だ。
何が記念?それは、俺が久しぶりに能力を使う日に決まっているだろ。それと、俺の死が近づく日だ。
「さあ。かかってきなお前ら!」
「俺達を甘く見られちゃー困るなぁ!」
そう言って三人の内の一人が前に出る。
「ここは俺に任して下さい!」
何だ。アイツがコイツらを仕切ってる隊長さんか!大したことはなさそうだな。
「お前には興味がないんだが」
どうせ闘うなら強い方がいいからな。
「なめるなぁ!」
不良一号は手に炎の球を作り、俺に向け投げつける。
何と言ったらいいか、しょぼい攻撃だ!
コイツの能力は俺には必要ないしもう要なしだな!もっと強かったら能力を俺の物にしたのにな。
飛んでくる炎球をピョンピョンと左右にジャンプしてかわす。
「もう終わりか?やっぱり大したことはないなお前!」
不良一号は『ぜぇぜえ』と息切れの様子。
反撃してもいいかな?めんどくさいし。
俺は今まで封印?奪ってきたの中の水の能力を解放する。
「相性が悪かったみたいだな」
俺は体に渦をまとい『バーカ』と笑みを浮かべる。
不良一号は怒りがMaxになったのか、今まで以上の炎球を作り出す。
例えるならサッカーボールの大きさがバランスボールの大きさに変わった感じだ。
その炎球を手で圧縮していた。
俺は片手を不良に向ける。
「ふざけるなぁー!!」
炎球を投げてきたのと同時に俺は手からポケモンで例えるならハイドロポンプを発射する。
当然のごとく炎は直ぐに消え、多少手加減した俺の技?がそのまま不良に直撃しその勢いで壁にぶつかり、不良一号は気を失っていた。
今ので何日分の命を削られたかもんか。
そう。俺の能力は相手の能力を奪い使うことが出来るのだが使う代わりに俺の命を少しずつ削っていく。
だから俺は何年もこの能力を使いたくはなかったのだが。もうそんなことはどうでもいい、殺される位なら自分で死んだ方がいいからな。
「次はお前か?」
俺は不良二号を指差す。
「いや・・・俺が相手だ!」
「やっとその気になりましたか?」
リーダーは不良二号に指示を出し一号を連れて屋上から姿を消した。
「俺の名は火斬。名の通り炎の能力だ。」
ふぅ~ん。何の能力か教えてもらっちゃったよ。ここは、俺も名乗っておくか。
「俺は伽藍修也、さっき見た通りの能力さ!」
もちのろん嘘の情報。バカだな!教えたことを後悔するんだな。
仲間をここからどかした程だ。アイツも逃げた方がいいんじゃないか?
さっきの奴が投げた炎球の流れ球を慌ててかわしていたしな。
「音条!お前、ここから逃げといた方がいいぞ!」
「ダメです!修也さんを置いて逃げるなんて出来ません」
何で言う事を聞いてくれないんだ。俺は彼女に近寄る。
「いいから逃げろって」
「でも・・・・・・」
「教室で待ってろ!!今の見ただろ。俺はそう簡単にやられないさ!」
「いやです。やっぱり・・・・・・」
彼女が出す答えが分かっていたので俺は彼女をテレポートで教室に送る。
「これで、お前も本気が出せるだろ!?」
彼女の心配もあったが、一番は火斬と本気で闘いたかったから彼女を逃がした。
「ああ!これで手加減なしで闘える」
「そうなるようにしたんだから当たり前だ!」
火斬はそう言い、手に炎で造られた剣をもつ。
俺も水で剣を造る。
相性で言えば俺の勝ちのはずだが、剣どうしがぶつかっても炎は消える気配がなく逆に俺の水がどんどん蒸発していく。
俺は一旦距離をとる。
「なんだそんなもんか?伽藍修也!!」
さっきからものすごく暑い。これは何でなんだ?もしかして。
「それ只の炎じゃないな!」
「ああ!!俺はマグマ程まではいかないがそれに近い温度までならだせる!」
「その力・・・俺の物にさせてもらうよ!」
「何、意味が分からん事を言っている!もうお前の負けじゃないか!」
俺の負け?そんな事がある訳がない。俺は一旦水の能力を封じる。
長期戦になると俺の命が持たなくなってしまう。さすがにまだ死にたくはない。
何で闘えば火斬に勝てる?そう考えてた時、アスファルトが『グラグラ』と揺れ次の瞬間、アスファルトが針地獄のようになり俺を襲う。
見ると火斬はアスファルトに手を当てていた。
くそっ・・・。これじゃ攻撃する余裕がない。今は避けることで精一杯だ。
あっ!俺はさっき使った能力を思い出す。
そうかあ。俺はさっき音条に使った、テレポートを思い出す。さっきは彼女を飛ばすことで使ったが、よくよく考えてみれば俺自身を飛ばせばいい話じゃないか!
相手の攻撃が一旦止まる。
「ちょこまかと逃げやがって!」
さすがにこればかりは避けきれなかったやつがいくつかあった。右腕からは血が垂れ、両足からも血が出ていてもうボロボロな状態だった。
「残念ながら火斬!お前の負けだ!」
「俺に傷一つつけれないのに何を言ってやがる」
「今からつけてやるさ!後、お前の能力は気に入ったからもらって行くぜ!」
俺はさっきのテレポートを使い火斬の後ろに行き火斬の背中を触る。
「もらったぁ。吸収能力!!」
名前は適当に考えた。正直、名前など必要ない。とりあえずこれでさっきの針地獄はもう俺の物になった。
「何、意味が分からん事を言っている!おちょくっているのか!!」
火斬は炎の剣を振り下ろすが当然かすりもせず、俺はもう一度距離をとる。
相手の能力を奪うことに関しては命に関係はないが、さっきまでの闘いからして正直、もう能力を使わない方が身のためなんだが・・・・・・。
使うしかないよなぁ~。
火斬はさっきのようにアスファルトに手を置く、俺はそれをマネするようにアスファルトに手を置く。
「俺にこの能力があるかぎりお前の負けだぁ!」
「それは、俺のセリフにさせてもらうよ!」
「終わりだぁ!・・・・・・?どういうことだ?何故使えないんだ?」
「だからさっき言っただろ!!お前の能力をもらうって!」
俺は笑みを浮かべる。
「残念だったな!」
俺はやられた分のお返しをする。
そんなに人を傷つけるのは好きじゃないんだよな。
俺はショックで倒れた火斬の横を通り過ぎ屋上を後にした。
今日は、午前中しか授業がなかったのでもう教室には誰もいない。と思っていたが彼女がいるのを忘れていた俺は教室に入った途端に深い溜め息を吐いた。
「大丈夫ですか?」
「あぁ・・・大丈夫だが」
俺は疲れていたせいでその場で倒れてしまった。
「修也さん、起きて下さい!」
『ハァ~』
大きなあくびをして体を起こす。
あれ・・・・・・?
疑問が二つある。一つは何故ここで寝ていたかと言う事。・・・・・・あっ。一つ目は思い出した。
もう一つは俺の傷が治っている事だ。
「傷が治ってる!?」
驚くしかない。さっきまで血だらけだったのにすっかり傷口が治っている。
「これは・・・・・・」
俺は音条を見つめる。
「あっはい!私が治しておきました」
音条は目を逸らし頬を真っ赤にして言う。
「私は複数の能力を使う事が出来るのですが・・・・・・」
「どうしたんだよ!」
彼女は今にも泣き出しそうな声で小さく「助けて」と言う。
「助けてってどういう意味だよ?」
「それはまだ、言えません!」
「修也さん・・・朝言いましたよね!?何でもするって!」
「言ったが・・・?」
「じゃー私を守って下さい!」
「・・・・・・・・・・・・?」
今何て言った?守る?彼女を?
「パートナーになって下さい!」
彼女は笑顔で言ってくる。
「何でなんだ?何で俺なんだ?」
「もう・・・・・・あなたしか頼れる人がいないんです」
「まあ。いいけどよ!その理由を「ありがとうございます」」
まあ。そのうち理由が分かるだろう。
「とにかく、今日は疲れたから帰らせてくれ!」
「あっ・・・はいっ!」
こうして何故か俺は彼女とパートナーを組む事になった。
アドレスが欲しいです!
感想、よろしくお願いします。