愛の始まり
気付けば、頭の中は真っ白になっていた。
いやらしい音、普段の地下鉄では絶対に聞こえない。
私の股の奥に、ごそごそと入り込む男性の象徴。
私にとっては、決して象徴と言えるものではなかった。
強いて言うなら、凶器である。
何も言えない女の子を無造作に犯すための…。
―――*―――*―――*―――*―――*―――
私は意識が飛びかけていた。
それは気持ちいから?
いいや、違う。
状況が掴めないほど、周りが激しかったから?
いいや、それも違う。
ただ怖くて、逃げようとしていたから…である。
今だって、少しでも思い出せば怖い。
怖くて、怖くて、、、それでも頑張って日常の中にいる。
そんな私を彼は受け入れてくれた。
初めて私がされたことを聞いた時は、彼も驚いていた。
それは当たり前のことである。
自分の彼女がどこの誰だかわからない輩に犯されたのだ。
それを聞いて、驚かない彼氏なんていないだろう…。
それは、彼だけではない。
犯された後の姿を見て、私の親も驚いた。
何も知らない人から見れば、ただの泣きじゃくる少女に見えるだろう。
しかし、実はその心も体もズタボロに引き裂かれ、傷つき滅んでいたのである。
そんな私を家族は必死に支えてくれた。
いつの日も、どんな時も私を気遣ってくれた。
しかし、その心は完全に完治することはなかった。
私はそれほどにズタボロだったのである。
そんな私をもっと支えてくれたのが、彼だった。
家族がとても支えてくれていたのはわかっているつもり、、、
だけど、私の心が完全に癒えたのは彼のおかげだった。
私の話を聞いて、彼も始めは驚愕し言葉も出なかった。
しかし、話を聞いた後、彼は何も言わなくても傍にいてくれた。
それは家族と同じだった。
しかし、彼氏はそんな私を心の底から受け入れてくれた。
それは犯される前と同じように、、、
いいや、犯される前より熱く受け入れてくれた、、、
それは、自分で言うのも変だが、『私の大切さ』というものを知ったかららしい。
いくらすれ違いかけていても、彼女を想う気持ちは、忘れていなかったらしい。
本当に、彼には感謝している。
私は昨日、彼と初めての夜を過ごした。
それは、どんな日よりも、どんな夏よりも熱かった。
短いですが、終わりです。
短編で1話完結でもよかったんですけど、何となく連載にしました(笑)
どうでしたでしょうか?