いない魚
今は終わりではない
これは終わりの始まりでさえもない
しかし、これはきっと
始まりの終わりである
と誰かが言った
でも僕にとって重要なのが
その言葉には無いと知った
と僕が言った
始まりがあるから終わり
終わりがあるから始まる
鶏が先か卵が先か
と誰かが言った
奴はそれを
何らかのジレンマと勘違いしてる
だから夜が明けても
昨日の繰り返し
それはわかったけど
じゃあ昨日を知るから今日があるの
今日を経たから昨日ができたの
僕はそれを
何らかのジレンマと勘違いしてる
だから今日も
四足歩行をやめない
と君が言った
例えば僕や君やそいつ
コオロギの足や
地球の丸
昨日みた夢や
つくられた神
僕らの知る色彩のすべて
その全てがひとつの生命体だとしよう
と誰かが言った
だとしたら僕らは
血や肉、眼球や心臓
白血球とか赤血球とか
もしかしたらただの
βエンドルフィンみたいな伝達物質
と君が言った
なら僕らが崇めてる神はその生命体
言うなれば僕ら自身
昨日も今日も明日も前後左右関係ない
生命体が在るから僕らが生きてる
と僕が言った
でもそれなら
神が僕らをつくったか
僕らが神をつくったか
というジレンマ
と君が言った
それはつまり
鶏が先か卵が先か
ってことだろう
と誰かが言った
でも僕にとって重要なのが
その言葉には無いと知った
と僕が言った
男は“何故?”と聞きたそうな顔をしている
とナレーションが言った
そもそもこの例え話はおかしいよ
どうかしてる
と僕が言った
そうかな
僕はとても面白かった
この世界が僕中心に廻ってる事が
なんとなくわかったんだ
と僕が言った
今は終わりではない
これは終わりの始まりでさえもない
しかし、これはきっと
始まりの終わりである
例えば僕や君やそいつ
コオロギの足や
地球の丸
と僕が言った
人がひとり“意味がわからない”と
言いたそうな顔をしている
とナレーションが言った
そして“そんな事どうだっていい”と
言いたそうな顔をしている
と僕が言った
君はそれを
何らかのジレンマと勘違いしてる
双魚が如何にして万物を知ったかなんて
関係ないんだ
だってそうだろ
文字に溺れて
愛と勇気が友達で
地球は丸
そして僕らは今日も
四足歩行をやめない
それだけの事だろ。