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20251011_信号機の件_当該音声データ書き起こし(Nの発言のみ抜粋)

作者: 宇野 肇

 ――最近新しくできた信号さぁ、知ってる?

 そう。横断歩道はあるけど、車が停まってくれなくてなかなか渡れなかったでおなじみ。

 あそこさ、信号ができるにしてはちっさい交差点じゃん?


 ……え? 事故が起きやすい?

 いやいや! そうじゃないよ。別に特別事故が起こりやすいとかはなかったって。なんなら歩道はしっかりあるから子どもがよく歩く道だし、ちょっと横にそれれば幼稚園もあるから、土地勘が無けりゃ直進するだけ。地元民でもそんなスピードを出す人はあんまいないんじゃないかな?

 そうじゃなくって。……っていうか、それ言うならもう分かるかもだけどさ。

 信号ができてからなんだよね。変な話が出始めたの。



 最初はさ。別になんでもないっていうか……変な話じゃ無かったの。

 だって、先に言っちゃうと、深夜誰もいない、車も通らないあの交差点で、人が信号にあわせて道を渡ってるってだけだったから。

 でもね、段々おかしくなったの。

 その人、渡ったと思ったらまた次の信号を待っていて、ずっとその交差点から離れないんだって。

 青信号を渡って、次の横断歩道の前で立ち止まって、そっちが青になったらまた渡って……。

 その交差点をぐるぐるぐるぐる、ずーっと繰り返してるって。


 たまたま一時駐車してた人が見かけたらしくて、そこからはもう『私も見た! えっ 普通の人に見えたけど……』のオンパレード。

 んで、今まで話題にするような内容じゃなかったのが、一気に不審者情報としてスターダムを駆け上がったってワケ。


 もちろん、これで終わりじゃない。


 不審者としてか、保護的な意味か分かんないけど、多分、通報が何件かあったんだろうね。

 警察がしばらくの間見回りしてたんだよ。

 でも……その話、今もずっと話されててさ。余計にその時間に人通りがなくなっちゃって。今は絶好の肝試しスポット。


 意味、分かるよね?


 そう。その人、生きてなかったっぽい。



 ……何で分かるかって?


 実際見たことあるからね。

 あそこの交差点の角のアパート。今あそこに住んでんの。

 それで怖いもの見たさで、部屋の電気消して、カーテンの隙間から覗いたことがあってさ。

 黙々と歩いてるところをパトカーがゆっくり走ってって。

 ……そいつ、そんときだけスーッて消えんの。

 嘘じゃない。それから毎日確認してるし。


 あの時さぁ、パトカーが来る直前、そいつ、信号渡らなかったんだよね。

 んで、別に実際どうだったか覚えてないんだけど、直感で思ったんだ。

 目が合ったって。


 それから、ずっと、毎晩、あの交差点見てんの。

 ちゃんとそこから離れてないか、気が気じゃなくて。

 ……もし、もしさ、そいつがある日信号から離れて……こっち来たらどうしようって。


 そう思うと、どうしても確認しないと怖くてさ。

 ずっと寝れてないんだよね。


 ……だからさ! 一緒に確認しに行かない?

 そうすれば、この気持ちが分かると思うから。

 ね?

 ねっ?


 ……嫌?

 そっか、そりゃそうだよね。

 まあでも、いいよ。

 他の誰か誘うから。


 ――そういう話が好きなら、いつか誰かは引っかかるだろうからさ。

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