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【衝撃の結末・ハッピーエンド】普通の女の子のアタシ、冒険者やってます。  作者: ミンミンこおろぎ
第四部 雨が降れば虹が出る
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閑話 秘密メモ【青き階段にて】

「何を書いてるんですか?」

 僕は、『青き階段』の賭け屋ことトビアスさんに話しかけた。


「なんだクリフか。お前も乗るか?」


 僕はトビアスさんのノートを覗き込む。



【トレイシー・モーガンの夏祭りのパートナーについての賭け】


「ちょっと趣味悪くないですか?」


「そう言うなよ。

 もう、みんな興味津々なんだよ。『青き階段』の外でも話題なんだ」

 トビアスさんは悪びれた風もない。



 ナガヤ・コジロウ……2.3倍

 ギャビン・グレイ……3.2倍


 ここまではいい。

 二人とも公衆の面前でトレイシーを夏の祭りに誘った。

 二人は実にオープンで、隠す様子もない。


 だが。


 シオドア・ストーレイ……1.6倍

 


「このシオドア・ストーレイというのは何ですか?」


「そりゃ、大本命だよ」

 賭け屋トビアスは、ニヤリとした。


「シオドアがトレイシーを誘ったって噂は聞きませんが、大本命なんですか?」


「大本命だな」

 トビアスさんは頷いた。


 トビアスさんがそういうならそうなのか。うーん。



 僕は続きを見る。


 女性または近い身内と行く……1.5倍

 夏の祭りに行かない(一人で行動する場合を含む)……2.5倍


 そして。


「なんですか、このクリフ・カストナー10倍って」


「それはにぎやかしだな」


「にぎやかしですか」


「なあ、クリフ。お祭りはどうするんだ?誰かと行くのか?」


 僕は一瞬迷ったが、素直に答えることにした。


「妹と行きますよ」


「お前、妹なんていたっけ?」


「つい最近できたんです。祖父母経由で」


「なんだそりゃ」


「出ていった母さんと再婚相手との間の娘です。母方の祖父母から紹介されました。

 魔術の才能があるようで」


 血のつながった妹として紹介されたが、なかなか強烈だった。

 要は母さんも持て余してる。



「ほお。かわいいのか?」


「まだ8歳ですよ。すごく生意気ですね。

 何故か妙な具合になつかれまして」


「要はお前みたいに生意気と」


「僕は無口な子供でしたね。内心はともかく、口に出しませんでした」


僕がペラペラ喋りはじめたのは、もう少し後だ。


「本当かぁ?まあともかく、妹といっしょに行くわけだな」


「はい。連れてってくれとねだられまして」


 妹は昔の僕のような苛立ちと焦燥を抱えている。それは多分間違いない。



「それはご苦労さんだな」


 そう言いながら、賭け屋のトビアスさんはクリフ・カストナー20倍と書き換える。


「なんですか、それは」


「倍率に釣られて1ゴールド賭ける奴がいるかもしれないだろ?」



 結局、この賭けは成立しなかった。

 受け付けの女性陣が、賭けの内容が耐え難いとクランマスターに訴えたからである。



本日、あと2話投稿予定です。

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