表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
普通の女の子のアタシ、冒険者やってます。  作者: ミンミンこおろぎ
第一部 もう遅い、とは言わせない
1/60

第1話 ハーレムパーティーの悩み

 アタシ達、冒険者パーティー『輝ける闇』のメンバーは、冒険者クラン『冒険の詩』のいつものテーブルに集まっていた。


 ダンジョン第二層でひと稼ぎしたしね。

 精算は無事終了。

 5人で、一人頭13万ゴールド強ってとこ。

 一回の潜りの報酬として《《悪くはない》》よね?



「魔石はそこそこ出たけどサ。

 次は第二層以外の、アンデッドの出ない場所に行きたいね」

 ヘンニが言った。


 ヘンニは戦闘種族トロール族の女戦士で、パーティーの攻撃役アタッカーだ。

 褐色の肌に白金の髪(プラチナブロンド)、身長は2メートル超え。体重はどれくらいあるのかアタシは知らない。

 ともかく大きい。小山のような大女だ。

 あ、それとむっちゃ強い。


 まあ、アンデッドを嫌がるヘンニの気持ちは分かるけどね。

 ヘンニは最前線でゾンビとも戦ってた。一撃で仕留めても汁が飛んてくることがあるんだってさ。



「私は死霊術ネクロマンサー属性を持っているけど、アンデッド戦は必ずしも得意じゃないわけよ」

 眼鏡をクイッといじりながら、女魔術師の『赤毛ネリー』が力説する。


「アンデッドと戦いたいなら聖属性魔術師を連れて行きなさいよ。私の死霊術は普通の魔物モンスターと戦う時に囮に使ってこそ生きるのよ。

 次も第二層でアンデッド戦なら休むかも」

 

 けっこう勝手なことを言っている。

 でも、ネリーは魔術の腕は確かだし、口で言うほど付き合いは悪くない。


 ちなみに『赤毛のネリー』の渾名にふさわしく、すっごい赤毛。ホント真っ赤っ赤よ。

 髪は二本のお下げにしてる。

 もったいないよね。アタシだったら、もっと派手な髪型にして目立たせるのに。



 えっ、そもそも何で文句タラタラでアンデッドを狩っていたのって?


 今、アンデッドの多いダンジョンの第二層で魔石ラッシュが起きてるんだよね。

 お宝の出る所に集まるのは冒険者の習性だからさ。

 ついでに季節は夏。アンデッドのいる第二層は割と涼しいんだわ。


 でも口には出さないけど、アタシも同感。

 アンデッドの臭いはしばらく嗅ぎたくない。暑くても別のエリアがいい。



「第五層に行ってみたいな」

 ハーフトロール族の女戦士スザナが言った。


 スザナは錬金術ギルドから押し付けられ……、いや修行に来ている盾持ちた。

 ウチの正規メンバーではないので、普段は口数が少ないんだけど。


 薄い褐色の肌に、ネリーに比べると普通の赤毛。

 ハーフでもトロール族の血が入ると筋肉の付き方が違うんだよね。純血トロール族のヘンニほどじゃないけど背も高い。

 まあ、そこら辺の男の前衛より力持ちだし、スザナの修行を歓迎しない理由はない。



 「アタシも同じ気分かな」

 最後にアタシも意思表示をした。

 アタシはトレイシー。偵察スカウトだ。

 外見は黒髪黒目中背で髪型ヘアスタイルは癖っ毛ボブ、ちょっとスタイルが良いだけの普通のロイメ娘、だと思う。



 『輝ける闇』のリーダーのシオドアが軽く息を吐いた。

 シオドアことシオは、うちのパーティーのリーダーで黒一点だ。

 外見は黒髪にタレ気味の蒼い目、長身でイケメン。

 まぁ、美形は三日で飽きるって言うけど。



 トロール族の女戦士ヘンニ。

 女魔術師の赤毛のネリー。

 ハーフトロールの修行中の女戦士スザナ。

 女偵察スカウトのアタシ。

 そして黒一点のシオことシオドア。


 これが今の『輝ける闇』メンバー。

 そう。今話題のハーレムパーティーってやつ。


 うちのリーダーがうらやましい?


 いやいや、そうでもないって?



 言っておくけど。

 アタシはボンッキュッボンのナイスバディだし。

 ヘンニはトロール族基準で美人だし。

 スザナはかなり大柄だけど人間基準でも美人だし。

 ネリーは王国の貴族出身だし。

 女4人豪華メンバーだからね。


 だからコワイんだって?

 

 フンッ!!




 まぁ、一人ツッコミはこのくらいにして。


「第五層に行くなら治癒術師をパーティーに入れてからだな」

 シオが言った。


 最近、ウチのパーティーが深く潜っていない理由がこれだ。

 治癒術師が結婚退職しちゃったんだよね。

 その後釜あとがまを探しているが、うちに合った治癒術師は見つかっていない。

 


「やる気のないメンバーに入られてもねぇ。私は今のメンバーの方が良いと思うけど」

 アタシはシオに反論した。

 

 あまり深い意味はない。とりあえずリーダーの言うことには反論することにしている。

 パーティーの中の役割ってやつよ。

 決してアタシの性格が悪いわけじゃないからね。



「別に新しい治癒術師を入れる必要はないでしょ。シオが後衛やればいいじゃない」

 ネリーがアタシの尻馬に乗ってきた。


 うちのシオドア(リーダー)は、魔法剣士で前衛だが初級の治癒術も使う。ついでに医療の知識もある。

 なんだかんだで、便利でできる男だ。


「いま前衛は、私とスザナがいるからな。シオドアが後衛に下がってもいけるんじゃないか」

 ヘンニも言う。容赦ないね。



「それはまあ、一応考えておくけどね」

 シオドアは気が進まない様子だ。


 シオドアは前衛で剣をふるいたがるんだよなぁ。

 男はそういうもんだって?まあね。



 シオドアは深くため息をついている。迷ってるみたい。


「第三層の高地はどう?みんな第二層の魔石ラッシュ狙いだし、案外穴場かもよ?」

 アタシなりの助け舟を出してみる。


 多分シオドアは専門の治癒術師なしで、アタシ達を連れてダンジョン第五層に行きたくないんだろう。

 ロイメ・ダンジョン第五層は別名『大いなる狩場』。

 アガリも大きいが危険リスクも大きい。


 女四人を連れたハーレムパーティーのリーダーとして、良くも悪くもシオドアは安全策を取っている。

 戦闘種族トロール族であるヘンニやハーフトロールのスザナは、危険リスクを気にしないけどさ。


「第三層は土魔術の効きがいいわ」

 ネリーが乗り気になった。


 パーティーの空気は第三層に決まりそうだ。


「そうだな、他人が行かない場所にこそチャンスがある。第三層も良さそうだ。

 異論のある者はいるか?」

 シオドア(リーダー)が言った。


 やったね。

 第三層は広々してるし、個人的に好きなダンジョンだ。

 見た感じネリーもスザナも異論はなさそう。

 次の探索クエストこれで決まりかな、っと思った時だ。



 バタン!

 冒険者ギルドの扉が開いた。


「ヘンニおばちゃん、助けて!妹が!人さらいにさらわれた!」


 突然女の子が入って来たのである。





本日あと3話とキャラクター紹介を投稿予定です。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ