表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ドングリ魔法はまだ飛べない ~でも、3センチなら飛べるもん!~  作者: 大沙かんな
第八章 学園対抗戦篇 (一年生後期)

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

59/61

57.本当の秘密

「はぁはぁ……何とか逃げ切ったね!」

「大ピンチだったモモ!」


 殿下が少し逃げ遅れたような気がしたけれど、なんとか全員無事に危機を逃れることができたようだ。


「しかし、どうしましょうか。もうあのドアは開かないでしょうし」

「屋根裏から忍び込むか?」


「この学園の建物って、屋根裏には盗賊返しの仕掛けがしてあるから、かなり厳しいわよ?」

「さすがは新聞部、すでにお試し済みでしたか」


「こうなったら小説みたいに修理の人に化けて……」


 その手口はそれこそ小説の中の名探偵シャーロキュール・ホームソーが解決した事件そのものだ。


「その手は良くない、悪人のやる事だ。今、我々は名探偵なんだぞ?」


 やはり騎士を目指す者として悪事には加担できない。


 殿下も真面目な顔でそれに同意する。


「うう、ごめんなさい~」


「もしもやるなら、怪盗アシュッタに変身してからだ!」

「おい、ちょっと待て!」


「化けるなら大人の手助けが必要ですよ。私たちだと背の高さですぐバレてしまいます」


 学園長室に火をつけて「火事だ~!」と叫ぶとか、学園長を拉致して秘密を吐かせるとか、話はどんどん過激かつ現実離れした方に向かっていく。


「本当に困ったわね」


 もうこれは本当に手詰まりか。探偵団のみんながそう思った時……



 シュパパパパッ!


 目の前を鳥のように通り過ぎる白い影!


「だ、誰だ!」


「お~~~ほっほっほっほ! みなさん、お困りのようですわね?」


 困り切った仲間の前に現れたのは、金髪二重螺旋の超ドリルに縦三色(トリコロール)のローブ、もちろんその正体はトルネ嬢だ。


 白い扇が本物の鳥のように空を舞う。


 良く見ると扇には細い紐が結ばれていて、トルネ嬢が操っているようだ。


 その鮮やかな手並みはまるで芸術のよう。


「おっほっほっほ、これがわたくしの新兵器なのですわ~~!」

「「「さすがトルネさま!」」」


 困り果てた仲間たちに、最強の助っ人が合流した。



「それでこれが、開かない扉というわけですわね?」

「ああ、鍵穴が詰まってしまって、鍵があってももう開かないんだ」


「おっほっほっほ、この程度の事、わたくしの力でいくらでも解決して差し上げますわ! それっ!」


 トルネは掛け声とともに、閉じた扇をシュパッと扉に向ける。


 それを受けてササっと動き出す三人娘。その顔にはあきらめにも似た表情が浮かんでいる気がする。


 ドンデンッガンデンッ!


 大きな木づちを取り出した三人娘は、あっというまに扉ごと破壊して、部屋に入れるようにしてしまった。


「おっほっほっほ! このトルネディアーネアの辞書には不可能はありませんのよ。何と言ってもこの私、辞書など持ち合わせておりませんもの~!」



「のんびりはしていられないですよ」

「早く秘密を見つけないと!」


「そうだな、手分けして……って、ジャネ、何をしてるんだ?」


 ジャネは学園長室の窓を大きく開け放っている。


「まずは退路の確保よ?」

「ああ、たしか『名探偵ホームソー対怪盗ロールパン』の……」


「だめ~言っちゃ駄目~! 私まだ読んでない~!」


 キャナリーが両手で耳を塞ぎながら身もだえする。


「あ、こんなところに食べかけのパンが!」

「これは何でしょう……水虫の薬でしょうか……」


 急いで探し回るけれど、決定的な秘密が見つからない。


「ああもう! カツラとか毛生え薬とか、何で無いのよ! こんなことなら仕込んでおけば良かったわ!」


 ジャネの怒りが爆発しそうになる。



「誰じゃ! ワシの部屋で何をやっておるっ!」

「て、撤退!」


 今度は逃げ遅れずに、しっかりついてくる殿下。いや、それどころか彼は先頭集団に混じって突っ走っている。


「お待ちになって~! このわたくしを置いてどこに行きますの~~っ!」


 退却の最中、キャナリーが足を止めて学園長室の方を振り返る。


「全部わかった……。学園長室の扉を壊した犯人は、トルネ!」


 それは見事な解決であった。



「何とか逃げ切ったね!」


 小広場まで逃げてきた探偵団は、ほっと腰を下ろす。


「どうするんだ、この始末は。冗談では済まんぞ?」

「まあ、それは置いといて……」


 殿下の追及をいったん棚に上げ、ショミンダが懐から何やら書類のようなものを出した。


「何だ? それは」

「手当たり次第に掴んだので、何とも……」


「魔法……剣術の……部? なんだろ?」

「魔法剣術の部、設立指示書、そう書かれてますね……」


 さっと中身に目を通すと、それは魔法あり、剣術あり、なんでもありの戦いの部門を新設するための書類。


「魔法剣術……」


 アーシュラの目にかすかな炎が浮かびあがる。


「あのタヌキ、なんていう秘密を……」



「さて、悪ガキども。その書類は返して貰おうかのう?」


 ハッとして顔を上げると、そこには顔を真っ赤にした学園長のエライ先生と、その腕にがっしりと捕まえられたトルネ嬢が立っていた。


「なぜこんなひどいイタズラをしたんじゃ?」


 エライ先生がキャナリーたちに優しく問いただす。


「あの、先生……真実はいつも……」

「いつも、なんじゃ?」


「「「その場のノリ!」」」


 めちゃくちゃに怒られた。



 さて、新設されるという魔法剣術の部、このまま無事に開催されるのだろうか?


 波乱の予感が一陣の風となって学園を吹き抜けていく。


戦いはまだ、終わって無かった!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ