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ドングリ魔法はまだ飛べない ~でも、3センチなら飛べるもん!~  作者: 大沙かんな
第七章 狼男!篇 (一年生後期)

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44.栗拾い対決!

 九月も半ばを過ぎ、朝の空気がかなり冷たく感じるようになってきた。


 学園の木々はまだ緑の衣をまとっているけれど、教室の窓から遠くに見える森は、早くも黄色く色づいている。


「もう秋って感じだね」

「ドングリの季節がやって来るモモ!」


「ドングリもだけど、栗も楽しみだな!」

「せっかくだし、みんなで栗拾いしませんか?」


「栗拾い! うん、やろうっ!」


 こうして三人と一匹は、食欲の秋へと突進していくことになった。



 さてみんなで栗拾い、と行きたいところだけれど、まだ少しだけ時期が早い。


「どこがいいかな? 学園の森だと、まだだよ」

「あともう少し待たないと無理か……」


 朝の散歩がてら眺めていても、栗の木はまだ緑のイガでいっぱいで、茶色くなったものはほとんどない。


「それだと探し回っても無理かもしれませんね」

「ドングリはもうちょっとかかるモモ」


 こればっかりは、騒いだところでどうしようもない。黙って待つしかないのだ。



「お~ほっほっほっほ! お困りのようですわね!」


 振り返るとそこには、大きな扇をバサッと開いて高笑いする、鮮やかな縦三色(トリコロール)の令嬢と三人娘の姿。


 令嬢の頭には輝くような金髪が、二重螺旋の超ドリルになって力強く渦巻いている。


「トルネ!」

「まさか、いい場所を知ってるのか?」


「お~ほっほっほ! このわたくしが知らないことなんて、どこにもないのですわ~!」

「で、それはどこなんですか?」


 それは王都南に広がる大きな森。王族だけの専用の狩猟場だ。


「ああ、これは大変失礼。あなた方のような田舎者が入れるような場所ではございませんでしたわね」


 トルネ嬢はわざとらしく口元を扇で隠して笑って見せる。



「ぐぬぬぬぬっ」

「トルネ、お前だって入れないだろうが!」


「お~~ほっほっほっほ! なんというお馬鹿さんたちなのかしら。王族(かぎ)ならそこに座っていらっしゃるのではなくて?」


 トルネ嬢の視線の先には、背筋を伸ばしてしっかり前を向いて席についている殿下の姿。


「コネは使うべき時に使ってこそ、なのですわ~~!」

「「「さすがトルネさま!」」」



「かまわんぞ、入れるようにしておいてやろう」

「え! いいの? やったぁ!」


「人数もちょうどピッタリになりましたし、栗拾い対決ですね!」

「たしかに! ちょうど四対四だ」


「四……って、まさかわたくしも入ってますの? なぜわたくしがそんな庶民のような……」

「あれれ? 負けるのが怖いんですか~?」


「な、な、なにをおっしゃるのかしら! このわたくしが負けるはずなど無いですわ! ぎったんぎったんにして差し上げますわよ!」

「うん、決まり! じゃあ殿下はこっちのチームね!」


「おい、ちょっと待て、お前ら! なぜ俺が! おい、待て離せ、おい~~!」


 こうして四対四、栗拾い対決が繰り広げられることが決まった。



 週末になって、キャナリーたち八人と一匹は南の森に勢ぞろいした。


 この森は王族が獲物を狩るためだけに整備された特別の場所だ。今日は殿下の力で、このメンバー以外には誰も入れないことになっている。


「拾い放題モモ!」


 そこら中に落ちている大量のいがぐり。普段は誰にも拾われることのない、まさに手つかずの宝の山だ。


 キャナリーの装備は麦わら帽子に分厚い皮の手袋。そしてその背中にはかなり大きな二つのかご。どれだけ拾えば気が済むのか。


 その手には熊手、そして……


「おい、キャナリー、虫眼鏡は要らないんじゃないか?」

「えへへ、持ってきちゃった!」


 そういうアーシュラの腰にはしっかり剣がぶら下がっている。


 そしてもちろん栗対策は万全だ。


「俺が入る以上、負けは許されんぞ?」

「へえ~、一番気合が入ってるじゃないか」


「ふん、どうとでも言え!」



「殿下、お手柔らかに頼みますわよ?」


 そんなキャナリーたち完全装備軍団に対して、トルネ組はというと、さすがに三人娘はしっかりした恰好だけれど、トルネ嬢本人はあまりにも軽い装備だ。


 頭にこそとんがり帽子をかぶっているけれど、手袋すらしていない。それどころかかごすら持っていない。


 手に持った熊手のようなものの先には、枝分かれした爪のかわりに大きな扇子がついている。


「そんな姿で大丈夫なのか? いがぐりは思っている以上に危険だぞ?」

「まったく何をおっしゃるのやら。このわたくしには、そのようなものは必要ないのですわ!」


 ビヨンビヨンに揺れる黄金の縦ロール。もしかするとそこに何か秘策があるのかもしれない。


「もしかして何か秘策があるのかもしれないぞ」

「要注意だね!」


 熊手で顔を隠しながら、ひそひそ話を始めるキャナリーとアーシュラ。


 こうして栗拾い対決は、不穏な空気をはらみつつ幕を開けた。





【読者への挑戦状】


 開始直前、キャナリーもとい名探偵キャナソン博士が虫眼鏡を片手に叫んだ。


「誰が勝つのか、それはきっとこの中にいる!」


突然飛び出した、古き良き推理小説のようなキャナリーからの挑戦状!


よろしければ皆さんも勝者を推理してみてくださいね。

結果は感想欄にでも!


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