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ドングリ魔法はまだ飛べない ~でも、3センチなら飛べるもん!~  作者: 大沙かんな
第五章 野外実習篇(一年生前期)

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34/60

33.二人はいつも一緒で

3連投1話目

 突然飛んできた一本の矢。


 キャナリーの前に飛び出してそれを受けたリリス。


 地面に転がる小さな弓。風で揺れる千切れた紐。


 それは誰の眼から見ても明らかな事故。


 誰かの叫び声。


 でもキャナリーには届かない。彼女の耳には何も聞こえない。



「……りりす? ねえ、りりす?」


 なんでこんなところで寝ているの? ねえ、どうしちゃったの?



 キャナリーの黒髪をポニーテールにまとめていたリボンが、ぱちんっとはじけ飛んだ。


 バチッバチッとまるで放電するかのように髪が逆立ち、そのたびに火花のような光が妖しげな緑色にきらめく。


 その光を映していない虚ろな瞳の奥で、なにものかが強くきらめき……


 ……そしてその奥深くから魔法陣のような幾何学模様が、光り輝きながら回転して浮かび上がってくる。



 森が、そして地面が、怒りの雄たけびを上げた。



 ――夢だ……、こんなの、夢に違いない……



 たしか……小学校の遠足で森に来てたんだっけ?


 そうだ、秋の遠足で、みんなとドングリを拾いに来たんだ。



 森の奥に大きなドングリがいっぱい落ちてて、夢中になって拾ってたら、怪我をした小さなあの子(リス)が……。


 びっくりして駆け寄って、泣いて、先生を呼んで……。


 「元気になってね!」って、一番大きなドングリを……


 あれ? お別れ? ドングリ? 今はまだ、夏……?



 パリンッ!


 窓が割れる音がした。


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