33.二人はいつも一緒で
3連投1話目
突然飛んできた一本の矢。
キャナリーの前に飛び出してそれを受けたリリス。
地面に転がる小さな弓。風で揺れる千切れた紐。
それは誰の眼から見ても明らかな事故。
誰かの叫び声。
でもキャナリーには届かない。彼女の耳には何も聞こえない。
「……りりす? ねえ、りりす?」
なんでこんなところで寝ているの? ねえ、どうしちゃったの?
キャナリーの黒髪をポニーテールにまとめていたリボンが、ぱちんっとはじけ飛んだ。
バチッバチッとまるで放電するかのように髪が逆立ち、そのたびに火花のような光が妖しげな緑色にきらめく。
その光を映していない虚ろな瞳の奥で、なにものかが強くきらめき……
……そしてその奥深くから魔法陣のような幾何学模様が、光り輝きながら回転して浮かび上がってくる。
森が、そして地面が、怒りの雄たけびを上げた。
――夢だ……、こんなの、夢に違いない……
たしか……小学校の遠足で森に来てたんだっけ?
そうだ、秋の遠足で、みんなとドングリを拾いに来たんだ。
森の奥に大きなドングリがいっぱい落ちてて、夢中になって拾ってたら、怪我をした小さなあの子が……。
びっくりして駆け寄って、泣いて、先生を呼んで……。
「元気になってね!」って、一番大きなドングリを……
あれ? お別れ? ドングリ? 今はまだ、夏……?
パリンッ!
窓が割れる音がした。




