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ドングリ魔法はまだ飛べない ~でも、3センチなら飛べるもん!~  作者: 大沙かんな
第四章 旋風篇 (一年生前期)

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20.魔法学園探偵団

~~中央学園新聞~~

《学園七不思議、大募集!》


 学園長の髪に続いて、新聞部はこの学園の不思議を大募集! なんと採用された場合には……


《運勢》

 火 燃え尽きないように、たまには休憩しよう

 水 水難の恐れあり、気を付けて!

 土 たまにはハメをはずしてみよう

 風 吹き飛ばないように、落ち着いた行動を


~~~~~~~~~~



 今日の授業も魔法の基礎。教室のあちこちで魔法陣がキラッと光る。


 みんな少しづつ呪文がうまくなってきていた。


「ザザザザザ……、ザバ~♪」 キラっ

「メン!メン!メン!……メ~ンっ!」 ほわっ


 え? ほわ? まさかアーシュラまで?


「ネタ……ネタネタネタ……、新聞ネタ~!」


 ……いや、ジャネ、それはさすがに無理じゃないかな。


 よし、私も気合だ!


「ヒュゥヒュゥヒュゥ……、ヒュウ~!」


 ………………。


「むぐぐぐ、またダメかぁ……。まだまだ気持ちが足りないのかなぁ」


 キ~ンコ~ン♪


「うむ、それではここまでじゃ。みな、毎日しっかり練習を続けるようにの」

「ありがとうございました~」



 まだ魔法陣が全く光っていないのは、このクラスではもうキャナリーとジャネの他、あと数名しか残っていない。


「ジャネ、そんなに急いでどうしたんだ?」


 そのジャネはといえば……、何か用事でもあるのか、生成りのままのローブをひるがえして、もう教室を出ようとしていた。


「何か事件でもあったんですか?」

「いや、それを探しに、かな? 真実はいつも転がってる! ってね」


「あ、それ! 名探偵のキメ台詞!」


 名探偵シャーロキュール・ホームソー、有名な探偵小説の主人公だ。


 「真実はいつも知ってる!」のキメ台詞で、数々の難事件を相棒ポワソン博士と一緒に解決していく。知性あふれるその姿は、学園生の間でも大人気だ。


「私が名探偵、ジャネキュール・ホームソー! 真実はいつも私が勝手に作る!」


 シュピッ!


「おお、かっこいい!」「本物の探偵みたい!」


「私たちは助手のポアソン博士ですね。ショミソン博士、とか!」

「それじゃ、私も!」「私もだ!」


「赤探偵、アシュソン博士! 真実は考えるの苦手!」

「青探偵、ショミソン博士! 真実はどうでもいい!」

「緑探偵、キャナソン博士! 真実は誰か教えて!」


「ドングリ探偵、リリスだモモ!」


 キャナリーの肩でリリスも小さく胸を張る。


 魔法学園探偵団、四人と一匹でシュピッ!と決めて、活動開始!



「名探偵って、たしか頭には……鹿ナントカ帽、手には虫眼鏡ですよね」

「帽子! それだ!」


 全員が素早くパッと自室に散り、普通の麦わら帽子をかぶって再集合する。


 アーシュラはそれだけでなく、なんと腰に剣!


「騎士として、現場に行くなら必要だからな!」


 どうやらかなり気合が入っている様子だ。



[あとは、やっぱり虫眼鏡だよね]

「探偵には必須の道具ですよね!」


 みんなで揃って学園の売店を覗いてみると、フチや取っ手に魔法陣みたいな模様まで入っていて、思ったよりもはるかに高そうだ。


「むぅ……、私、お小遣いが……」

「これはちょっと無理っぽいですね」


「心配ご無用ですぞ! このデブリス・デブランにお任せくだされ!」

「なっ?」


 突如現れたデブリスは、さっと高級虫眼鏡を四つ手に取ると、すぐに清算を済ませ、四人に配っていく。


「困った時には、いつでもこのデブリス・デブランにお声がけくだされ~」


 カボチャ頭は嵐のように現れ、虫眼鏡だけを残して嵐のように去っていった。


「……何だったのかしら」

「さあ?」



「でも、これで帽子も虫眼鏡も揃ったわ」

「完璧だね!」


 四人の見た目はともかく、気持ちはもう完全に名探偵である。


「それじゃ、捜査に出動よ!」

「了解~!」


 魔法学園の中を歩き回って、他の学園生に不思議な話など、新聞記事になりそうなことを聞き出すのだ。



証言1:「眼が光る女神像」


「何か最近、不思議な話とか、怪談みたいな話ってないですか?」

「不思議な話というと……講堂に双子の女神さま像があるんだけど、明かりもないのに眼が光って、こっちをギョロって見てくるって、友達が……」


「これはぜひ調べて見なければ!」


 四人と一匹は講堂に急行した。


「これが双子の女神ね、ふむふむ」


 虫眼鏡を手に、丹念に女神像を調べ始める四人の探偵たち。


「光ってるモモ!」

「え? ほんとっ?」


 よく見ると、右の女神像の眼には赤、左の女神像の眼には青の宝石が()めこまれていて、薄暗い中でもキラキラと輝いている。


「赤と青の女神さまだもんね。そりゃそうか」


 事件は簡単に解決した。



証言2:「開かない扉」


「聞いた話だけど、旧校舎には開かない扉があるってうわさよ? 使われてない教室で、どうやっても扉が開かないんですって。でもそれを開けたりすると……」

「……開けたりすると?」


「キャ~~~~~~ッ! って中から悲鳴が!」


「……開かない扉、開いてるじゃん」


 解決!



証言3:「誰もいないのに(したた)る水」


「友達が聞いた話だけど、夜の旧校舎、誰もいないはずなのに、夜になるとポトン、ポトン、って水が(したた)るような音が響くんですって。その水は真っ赤で、まるで血のように床を濡らしているんだって」


「それって……錆びた水道管の水漏れ?」


 解決!



「すぐ解決する事件ばっかり! つまんない!」

「キャナソン博士、こんなのまだまだ序の口よ?」



証言4:「髪が伸びる人形」


「美術室に飾ってあるお人形、生きているみたいに髪の毛が伸びるそうよ」


 これは調べてみる価値がありそうだ。


 美術室に行って人形を見てみたけど、見た感じだけなら、どこにでもありそうな普通の人形だ。


 ショミソン博士がすっと手に取る。


「本当に伸びるんでしょうか……」


 すぽっ!


 ちょっと引っ張っただけなのに、髪の毛が根元から全部抜けた。


「……見なかったことで」


 お蔵入り決定!



証言5:「秘密の廊下」


「四階の廊下って、後ろ向きに歩くと壁のところに秘密の廊下が現れるって話があってさ。どうやら別世界に繋がってるらしいぞ」


「よし、ここは任せてくれ。この桃色の単細胞の手にかかれば、この程度!」


 アーシュラが気合を入れて、後ろ向きに走り出す。


 ごちんっ!


「痛いっ!」


 壁に思いっきり後頭部をぶつけたアーシュラが、頭を押さえて床を転げまわる。


 教訓。廊下は走るな。



証言6:「赤い悪魔」


「そうだな、おかしなことといえば……、最近のお昼ご飯のシチューなんだけど、ニンジンが増えた?」


「「「真実は闇の中!」」」


 三人の博士の息が合った瞬間だった。



「本物の事件って、中々みつからないものなんだな」


 アシュソン博士のしみじみとした感想に、名探偵ジャネキュールも少し疲れたように答える。


「やっぱり地道な活動が必要ね。でも……事件は私が適当に作る!」 ぴしっ!



証言7:「深夜に徘徊する謎の白い影」


「つい最近、寮の友達が見た話なんだけど……」


 つい最近の話! これはかなりの有力情報だ。


「彼女、ちょっと用事で遅くなって、日が沈んで暗くなったころに旧校舎の前を通りがかったんだって。そうしたら誰もいないはずの旧校舎の窓から、白い影がちらちらと動くのが見えたんだって」


「カーテンか何かの見間違いじゃ?」

「旧校舎ってカーテンなんてかかってないし。友達はしばらく眺めてたらしいんだけど、その影、フラフラと動き回ってて……最後はパッと消えちゃったんだって」


「消えた……?」

「これは事件の匂いだよ!」


 深夜に徘徊する謎の白い影。これは絶対に調べねばなるまい。



 「はぁはぁ……、やっと見つけましたわ!」


 気合を入れなおした探偵たちの後ろから、突然声がかけられた。


 全員が振り返ると、二重螺旋の超ドリルな金髪をたなびかせた、赤黄青の縦三色(トリコロール)ローブ姿のお嬢さまの姿がそこにあった。


 絶対に間違いようがない、トルネディアーネア嬢だ。


 「今日こそはしっかりお話をさせてもらいますわよ!」


 レースをふんだんにあしらった豪華な扇をパンっと閉じると、その切っ先をビシッと鋭く、まるでこちらを貫くように突き付けた。


 その後ろでは赤黄青と三色揃った取り巻きたちが、逃がさないとばかりに睨みつけてくる。


 そう、探偵団にとって最大の事件、それが向こうからやって来たのだ!


謎のお嬢様に追いつかれた!

そして旧校舎に徘徊する謎の影……


ついに動き出した学園探偵団

キャナソン博士たちを応援して下さる皆さま、是非とも評価をお願いします!

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