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VTuberをやっている妹のパソコンを勝手に使ったら、配信モードになっていて、視聴者からオルタ化と言われ、私もVTuberデビュー!?  作者: 赤城ハル
第2章

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第1話 夏

「ぐうぬわぁぁぁーーー!」


 今年もハズしてまった!


「ちきしょーーー! なんでだよ!」


 床に座ってた私はベッドに顔を埋め、スマホを持った手でベッドをバンバンと叩く。


「どうしたのお姉ちゃん!」


 妹の佳奈が何事かと勢いよくドアを開けて部屋を伺う。


「ハズしたーーー!」

「え!? 何!?」

「夏フェスだよー」


 私は悲痛な声を出して、スマホの画面を妹に向ける。


「えー、なになに、ペイベックス諏訪音楽フェス抽選結果……落選」

「そうよ。今年も落選したの」

「仕方ないよ。人気のやつだし。倍率も厳しいよ」

「それでも10年だよ! 10年連続で落選だよ! おかしくない? ありえないよ」

「……私に言われても」


 いかにも『しょうもな』みないな態度をとり佳奈は部屋を出ようとする。その背に私は、


「ねえ? 佳奈のコネパワーでなんとかならない?」

 とダメ元で聞いてみた。


 佳奈は息を吐き、

「出来るわけな……」


 なせか佳奈はそこで言葉を止めた。


「どうしたの?」


 え? まさか出来ちゃう?


 けれど佳奈はどこかほくそ笑むような表情をして、


「もしお姉ちゃんがアイドルデビューしたら、出演出来るんじゃない?」

「私がアイドルデビュー? 何言ってるの?」

「忘れたの? 私達はVTuberよ」

「だから何よ」


 VTuberとアイドル。なんの繋がりがあると?


「……え? 本当にわかってない?」


 佳奈がきょとんとする。


 どういうこと? ゲーム実況すれば夏フェスに参加出来る? いや、出来ないよね? 歌関係ないし。


「あのね。私達はVTuber。ア・イ・ド・ルVTuber」

「へ?」


 アイドル? アイドルって言った? え?


「あー、これはマジなやつか」


 佳奈は額に手を当て、困り顔。


「ちょっと佳奈どういうことよ」

「そのままの意味よ。私達はゲーム実況だけでなく、歌を出したりしているのよ」

「それくらいは知ってるわよ。人気が出たらグッズとかCDとか出るんでしょ。でもアイドルって何?」


 それは初耳だ。


「もともとはゲーム実況のVTuberではなく、私達はアイドルとしてのVTuberなの」

「……アイドルって。どうやってアイドル活動するのよ」

「歌枠とか収録とか」

「歌枠?」

「え? それも知らないの?」

「知らない」


 だって私はついこの間までVTuberの配信すら見たことのない一般人だったんだもん。


「すごく分かり易く説明するとカラオケよ。それを配信するの。それが歌枠」

「へえー」


 配信でカラオケ……ああ、そういえば芸人とかが歌ってみたとかやってた。

 あんなやつかな?


「それで収録はペイベックスのスタジオで歌ったり、全身モデルを使ったダンスの収録」

「……え!? ダンス!? マジで!?」

「そうよ」

「あれ? でもそれって佳奈である必要ある。中が分からないなら別の人でも良くない? もしくは後でパソコンでアバターを踊らせるとか」

「まあ普通に考えたらね。でも、収録は歌だけでなく、他のVTuberと会話とかもするし、他のコラボ企画とかにも連動しているの」

「ん?」

「ほら、昔の歌番組でアイドルやアーティストに歌の前で雑談したり、クイズやったり、体当たりゲームとかしてたでしょ? あんなの」

「雑談ね。でも、なんで? 歌だけでよくない?」


 お喋りする必要ある? てか、それも声だけあてがえば問題なくない?


「フェスやライブだって、ずっと歌じゃないでしょ。MCとかあるじゃん」

「はいはい。あるね」

「それと一緒。VTuberの雑談したり、体を張ったゲームをする。だから他の誰かでは駄目なの。分かった?」

「分かった」

「……言っとくけど、お姉ちゃんもだからね」


 佳奈は私を指さして言う。


「え?」

「お姉ちゃんもそろそろ歌とかダンスをしないとね」


 なぜか佳奈は面白そうにニヤリと笑う。


「無理無理無理無理」


 私は両手を振って拒否する。


「歌もダンスも下手っぴなのよ」


 ダンスに至っては学校の授業レベル。


「頑張ればいつか夏フェス出れるかもね」

「嫌よ。てか、VTuberがどうやって夏フェスに出るのさ」


 中を見せることができないのどうやってライブをするのか?


「パネルというか……スクリーン出演かな? 別のとこで歌って会場のスクリーンで流すみたいな?」

「それ出演なの? てか私は出演じゃなくて観客として夏フェスに行きたいの!」

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