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VTuberをやっている妹のパソコンを勝手に使ったら、配信モードになっていて、視聴者からオルタ化と言われ、私もVTuberデビュー!?  作者: 赤城ハル
第1章

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第38話 ハリカー大会予選

 ペイベックス上半期イベント・ハリカー大会予選1回戦が七夕の今夜21時から始まる。


 私はその20分前にスロッチを起動させ、トップ画面でハリカーのソフトを選択。


 そしてハリカーの画面に移り、スタートボタンを押す。次に選択画面で【みんなであそぶ】を選び、【コード入力】画面でペイベックスから配布された13桁のコードを入力し送信。承認中と画面に出て、十数秒待つ。


 電子音が鳴り、承認されたことが告げられ、次にキャラクターとカート選択画面に移る。


 キャラクターもカートも無難なものを選択。


 そして前室に入るとペイベックスメンバーことペーメン達が何人かすでに入室していた。


「こんにちは」


 私は緊張しつつ、挨拶する。


「こん……オルタ!」


 先に飛びついたのはメメの同期、那須鷹フジだった。


「あれ? メメ…じゃないの?」

「え? どういうこと?」

「大丈夫なのこれ?」


 他のペーメン達からも戸惑いや驚きの声がちらほらと。


 今の私は赤羽メメ・オルタのアバターだけどプレイヤーネームには赤羽メメと表記されている。


「メメはまだ期末テスト中ですので予選1回戦は代わりに私が出ることになりました」


 そして前にコラボで会ったペーメンのトビさんが入室してきた。


「みんなー、こんばんわー。お手柔らかにね」

「こんばんわ」


 私は少し遅くれて「こんばんわ」と言う。

 遅れた理由は二つ。


 前回のコラボが少し尾を引いたから。

 それと私は前室に入った時、こんにちはと挨拶したというミスに気づいたから。今は夜だもんね。ミスったわー。恥ずかしい。


「あれー? 今日は…….メメちゃんじゃないの?」

「まだ期末テストでして。それで私が」

「あっ、そーいうこと。なーんだ。よかったー。この前のコラボで怒ってるのかなーとビビったよ」

「トビ! 見てたけど、あんた、あれはひどいよ!」

「ごめん、ごめん。ゲームで熱くなってさー」

「なにゲームでキレてんだよ」

「フジだってよくキレるじゃん」

「キレてねーよ」

「今だってキレてんじゃん」

「怒ってんの!」

「ヒステリックオバサンだ」

「誰がヒステリックじゃい!」

「ヒステリックを飛ばさないで」

「飛ばすか!」

『アハハハ』


 皆はそのやり取りを止めずにただ笑っていた。


 トビさんは先輩なのにタメ口で喋れるなんてすごいな。


 確かメメがフジの中は三十路のババアと言っていたっけ。


 次第にペーメン達が集まり、開始5分前には全員が集まった。

 そして開始時間となり、MCが現れた。


『どーも皆さーん。MCはBグループ出場の白狼閣リリィが行いまーす。誰も遅刻してないよね?』

「おい! リリィ! ルーレットでハリカーなんて当てるなよ!」


 とフジがヤジを飛ばす。


「るっせーぞ! ヒステリックを飛ばすな!」

「飛ばすか! まったくどいつもこいつも!」

『アハハハ』

「ではハリカー大会の説明をしまーす。本大会では予選を行い、その上位5名が本戦に進みまーす。そして優勝賞品は企画の立ち上げ!」

『おおお!』


 企画の立ち上げ。メメが言っていたやつだ。


(あれ? でも、皆は初めて知ったという感じだけど……メメはどうして知ってたの?)


「副賞はさておき、正月の大会と同じじゃないの?」

「ここまではトビさんの言う通りです。でも本大会は下位5名の方には弱杯戦に挑んでもらいまーす」

「それって弱杯戦で優勝したら副賞が出るの?」

「残念ですがでませーん。ただ──」

『ただ?』


 皆が声を合わせて続きを聞く。


「弱杯戦で最下位だったもの。すなわち真の最下位には罰ゲームが用意されてまーす」

『ええぇぇぇ!?』

「私、ハリカー苦手なんですけど」


 一人のペーメンが訴えかける。


「それはご愁傷様です。でも予選は2回戦あるので1回戦の後、練習して2回戦で高得点を取り、本戦に進むか、弱杯戦までに上手くなるかのどちらかですね」

「そんなー」

「えー、では皆さん、コースを選択して下さい」


 出場メンバーはコースを選択し始める。

 私は得意なサンシャインコースを選んだ。


 全員が選び終えて、その中からランダムでコースが選ばれる。


「最初のコースはアップルポッピンコースでーす」


 第1レースのアップルポッピンコースはスロッチからの新コース。でもルート内容をきちんと覚えおけば無難に走れる中級コース。


 コース画面に変わり、私は8番手の位置に。

 各々のカートからブルルという音が鳴る。まるでこれからやってるぞという意気込みにも聞こえる。


(よし。やるぞ!)


 シグナルのカウントダウンが始まった。


 3……、


 私はアクセルボタンを押す


 ブオー!


 2……1……0。


 ビュン!


 きちんとスタートダッシュをきめた。


(よし。大丈夫。いける)


  ◯


 第1コースはスロッチからの新コースで経験不足だったが、なんとか3位に入った。

 その後の第2と第3コースもWeeで散々走ったコースで、見事上位で終わった。しかも第1コースで1位だった人が第3コースで10位。


(これなら総合で上位3位以内に入れるかも?)


  ◯


 けど第4コースはユラユラクラゲコース。ガードレール当たると痺れる仕様。それと途中で水中を走るルートがある難しいコース。

 コースアウトしないように注意すると、逆にガードレールに当たってしまう。


(このコース、もっと練習しておくべきだったかな?)


 順位は5位だった。


  ◯


 第5はシャーベットアンドアイスホッケーコースでサーキット場がアイスとなっているコースで、さらにコース上にアイスホッケーをする妨害キャラがいる上級コース。


(めちゃくちゃ滑る!)


 Weeでもアイスコースや妨害キャラはいたけど、こんなには滑らなかった。それに妨害キャラがぶつかることがあってもホッケーで邪魔することはなかった。


 順位は8位。


  ◯


「皆様、お疲れ様です。予選1回戦の総合順位を発表致しまーす!」


 画面に1位から12位までプレイヤーが発表された。


(私どこだ? 上位かな? 赤羽メメ、赤羽メメ)


 今の私はオルタではなく、赤羽メメ扱いとなっている。だから発表も赤羽メメで表示される。


(あった!)


 …………私は4位だった。

 まあまあかな?

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