第112話 グラフリ7日目『地下4階』
地下2階の詩子を撃破した後、地下3階も攻略。地下3階のフロアボスはミカゲだった。
倒すのは難しくなかったが、妹の同期ということもあり、少し躊躇われた。本人も無理やりクリーチャー化されて、げんなりしていた。
そして現在私達は階段を下りている最中。
次は地下4階。けれど、もし最初のフロアが地下1階にあたるのであれば次は地下5階のはず。けれど乱菊曰く、最初のフロアは1階で地下ではない可能性が高いとのこと。
私達は階段を下りて、フロアの床を踏む。
今までと同じような迷宮のフロア。
「どうやら地下5階ではなく、地下4階だったか」
残念ながら地下5階ではかった。けど、ショックはなかった。ここまで他の班と合流していないので、地下4階説が強かったのだ。
「あっ! 壁に印があるよ!」
ソレイユが壁に描かれたスプレーによる印を見つけた。
「ということはこのフロアにギャングメンバーがいるってこと?」
壁にスプレーで印を描くのはプレイヤーのみ。先に他の班が探索を済ませたのだろう。
「そうだね。試しにトランシーバーを使ってみよう」
乱菊がトランシーバーを使用する。
『もしもし?』
なんと繋がった!
「こちらDグループの乱菊。そちらは?」
『こちらEグループのサラサ。メンバー共に地下4階にいる』
「Eグループだけ? 他は?」
『あとはFグループ』
「そう。現状は?」
『現在ボスがいるエリアの前に皆集まって攻略談義中』
もうフロアボスに挑戦するところまで進んでいるのか。
地下4階は楽できそうかも。
「了解。すぐにそっち向かう」
『ルートはR2の通路を進んで左に曲がって。それから2つ目の右通路。Bのマークを書いたから分かるから。そのあと広い駐車場があって、その奥のフェンス。開いているから分かるよ。で、暗くて細長い道だけど、そのまま進んでいくと変な研究所に辿り着くの』
「ちょっと待って。長くない?」
『長かったよー。攻略するの大変だったんだから』
「ごめん。遅くて」
『大丈夫。気にしなくていいよ。乱菊達が遅いわけではなくて、私達のEグループは上の階でフロアボスがいなかったから、早めに着いたんだよ』
「なるはやで向かうから」
『道中にクリーチャーがいるから気をつけてね。一応、こちらからもメンバーを研究所前に送るから』
「ありがと。助かる」
通話を切って、私達は研究所へ向かう。
◯
研究所前にはリリィとアメージャがいて、2人の案内のもと、私達はフロアボスがいるエリアの前に向かう。
「案内ありがとう。助かる」
「気にしないで。ここクリーチャーが手強いからさ」
「クリーチャーいるの?」
ソレイユが悲鳴交じりの声を出す。
「いるよ。雑魚にしては強いから大変だよ」
「うぅ」
「ソレイユ、やっぱりホラゲが苦手なんだね」
「やっぱりって?」
「ルナが姉はホラゲが苦手だから心配だなと言ってたよ」
そして私達はグロテスクなクリーチャーを倒しつつ、フロアボスがいるエリアの前に辿り着いた。
「この向こうにボスがいるの?」
「そうだよ。でも、倒せなくてさー。ここで待機中」
「待機中?」
「一度挑戦して失敗すると時間を取らされるの」
「ということはここにいる皆はボス戦に挑戦したってこと?」
乱菊がサラサ達に問う。
「そうだよ」
サラサが頷く。
「ボスは誰?」
「トビだよ。強い……というか難しい」
「難しい?」
「ちょっとギミックがあってさ。床が抜けたり、突風が吹いてきたりと大変なの。敗因はそれだね。さっきは慣れたから、あともう少しというところだった」
「けど、今度は私も参加だから攻略できるかも」
人数が増えれば、ボス攻略も近づくはず。
「それはどうだろう」
リリィが乱菊の言葉に待ったをかける。
「どうして? さっきは惜しかったんでしょ?」
「それがね。ボスのいるエリアなんだけど人数制限が設けられているんだよね」
「人数制限? 何人が入れるの?」
「初めは3人。それから何度も挑戦すると人数制限の緩和がなされて今は5人。さっきは私、ルナ、サラサ、アメージャ、アキミで挑戦したの」
「その5人でも無理と。これは難しいわね」
「次は私の代わりに乱菊が入っては?」
アキミが自身と乱菊の交代を提案する。
「そうだね。乱菊はこういうの得意だからね。それでいい?」
サラサが乱菊に聞く。
「私は構わない」
「なら次は乱菊を入れたメンバーで行こう」
私とソレイユは戦力外か。
まあ、仕方ないんだろうけどね。
「次の挑戦まであとどれくらい」
「ドアの前にタイマーが嵌められいてカウントダウン表示しているよ。ちなみにあと3分弱だね」
リリィの言う通り、ボスエリアに通じるドアには赤い電子数字のタイマーが嵌められている。
◯
3分が経ち、ドアから電子音が鳴る。サラサ達はドアを開けて、フロアボスに挑戦。
サラサ達が挑戦中、ドアの前で居残った私達は雑談に興じていた。
「へえ、ミカゲがボスだったんだ。見たかったなー」
フジが面白そうに言う。同期のクリーチャー化を直に見て、いじりたかったのだろう。
「緑色の人型クリーチャーで一つ目。目から電撃を放つの」
「会いたかったなー」
「フジ達はどんなフロアボスと戦ったの?」
「ユキノとさち美。どっちもグロテスクでやばかったわ」
フジが思い出し笑いをして言う。
「大変だったんだ」
「そうでもないよ。卍がうるさく喚いていたくらいだよ」
「仕方ないでござる。ホラゲは苦手なんだから」
「Eグループは? ヤクモは活躍した?」
「私もホラゲは苦手なのであまり活躍はしてないですね。地下3階はフロアボスがいなかったので、謎解きして進みました」
「リリィとかすごいんでしょ?」
リリィはホラゲが乱菊並みに好きだと聞く。さらにFPSも得意。
「リリィ先輩だけでなく、ルナもサラサもホラゲは得意でしたね」
「へえ。ルナも得意なの?」
と、フジがソレイユに確認する。
「う〜ん。ホラゲというかFPSゲームが得意かな。あの子、なんかのFPSのゲームでプラチナランク獲ったし」
「プラチナランクはすごいじゃん。今度、教えてもらおうかなー」
ルナがFPSが得意というのは私も驚いた。
私も今度、FPSのコツとか教えてもらおうかな。
「けれど、そんなメンバーでも、ここのフロアボスは倒せないのか」
「FPSというかアクションだよね。とにかくギミックがやっかいだから。オルタも挑戦してみたら分かるよ」
「ん〜、挑戦人数が7人くらいになったらボスに挑戦してみるよ」




