第94話 グラフリ4日目『オルタ、大暴れ』
「ポイント9078か」
エリア9000番台はペイシルベニアの南にあたる。
今いるここエリア6000番台からはまず4000番台を通り、2000番台から南下していかなくてはならない。
速く向かうには高速道路を使うのが1番だが、逃げ道がないため警察に見つかると大変だ。ここは無難に車道を使うべきだろう。
私は時間はかかるが北上してエリア4000番台に向かうことにした。アクセルを踏み、タクシーを運転。
しばらくして先に出発していたメテオから私、フジ、ゆるる、リリィにグループ通話がきた。
「どうしたの?」
『皆、高速道路は使ってはダメだから。ポリスが張ってる! くっ!』
最後に衝突音が聞こえて、通話は切れた。
『これはやられたわね。高速道路を使わなくて正解だったわ』
と言って、ゆるるが通話から離れる。
『でも、高速道路以外も危険だからね。私、4000番台を走ってるけど、さっきパトカーを見かけたよ。フジはカーチェイスとかまだなんでしょ?』
リリィが注意を言う。
『はい。カーチェイス処女です』
『処女言うな。一般車のフリをしながらゆっくり進むようにねー』
『気をつけまーす』
そして二人が通話から離れた。
私も通話を切って、タクシーの運転を再開する。
エリア4000番台に入り、先程リリィがパトカーを見かけたと言っていたので、慎重に進む。
すると遠くからパトカーのサイレンが聞こえた。
誰かが追跡されているのだろうか。
◯
エリア7000番台を通り、もうすぐ9000番台というところでパトカーを見かけた。
いつも通り、一般タクシーのフリをしたのだが、怪しまれているのかなかなか離れてくれない。
「タクシーといえばやはり……」
私は歩道にタクシーを寄せた。まるで客を乗せるように。
「実際に客が乗ってきたらどうしよう」
しかし、客が乗ってくることもなく杞憂に終わった。警察も私が一般タクシーと思って、離れていった。
私はアクセルを踏み、ポイント9078に向かう。
エリア7000番台は高台にある高級住宅街。下り坂が見えたら、エリア9000番台はすぐそこ。
「ここが曲がれば……見えてきた」
私はタクシーで坂を下り始める。
──が、坂を下り始めたその時、パトカーが坂に停まっていた。
死角だったゆえ、坂を下る前には見えなかった。
「危なっ!」
なんとかパトカーを避けたのだが──。
バンッ!
パトカーから外に出ていたポリスを跳ねてしまった。
私はタクシーを停めて、誰を跳ねたか確認をする。
「ちょっ! 誰だ! 急に人を跳ねたのは?」
跳ねたのはみはり先輩だった。
「やべっ、みはり先輩だ」
「オルタか!」
「さーせん」
立ち上がろうとしたみはり先輩を今度は轢く。
「うげっ!」
そしてそのまま坂を全速で下っていく。
「ポイント9087はすぐそこだ。このまま逃げ切れ!」
◯
指定されたポイント9087に辿り着いた。
ポイント9087は普通のオフィスビルだった。
社長室のような部屋に通されて、私はアタッシュケースを社長に渡した。
「社長というかヤクザの親分みたい」
しかも秘書がサングラスかけた黒服の男。
「企業ヤクザか?」
私は社長から運搬料として500万ドルという多額の金額を貰った。
「すごい額。運んだだけなのに。アタッシュケースにどんだけの麻薬が入っていたのよ」
さらにそこから連続で麻薬売買のイベントが発生。
社長からアタッシュケースに入っていたコカインを貰い、私は手に入れたコカインをマップ上に現れたた客に売り捌くことになった。
どうせ売るなら運搬なんて必要なかったのでは?
そんなことを考えて、オフィスビルを後にしようとしたら、卍がオフィスビルに入ってきた。
「あれ? 卍? どうしたの?」
「ここで麻薬を受け取りにきたでござるよ」
「ごめん。私、さっき受け取った」
「マップではまだ受け取り場所はここでござるよ。それに受け取り可能が1人だけというわけではないでござる」
「そうなんだ」
「では」
なるほど他の人も麻薬を受け取れるのか。
◯
「よし。終わり!」
最後の客に麻薬を売った。
「さて、次、どうしよう。また運搬の仕事くるかな?」
そんな時、メテオから連絡がきた。
まるで私の呟きを聞いていたのではないかというくらいタイミングが良かった。
(スナイプとかゴースティングとかしてないよね?)
着信はギャングとトリックスターチーム全員のグループ通信。
『皆、この後0時30分頃からエリア1000番台に輸送機が墜落するから。民家も建築物ものもない谷間らしいわ。その輸送機には大量の麻薬があるからポリス側にバレる前に回収!』
そして通話は切れた。
現在は23時54分。予定墜落時間までまだ30分くらい時間がある。
今、私はエリア2000番台にいる。ここからエリア1000番台は北上すればすぐ。
メテオは輸送機の墜落場所は周囲に何もない谷間と言っていた。
ということは奥の方かな?
私はエリア1000番台の山の方へ向かう。
◯
ゲーム内の時間は夜となり、タクシーのライトを点けて山の中を進んでいく。
夜の山は少し不気味で、1人でいるのが心寂しい。
「そろそろ谷間が見えてくるはずだけど」
進んで行くと前方に光がいくつか見えてきた。
近づくとその光は車のライトだった。平地に車が停まり、ギャングとトリックスターの面々が外に出て集まっていた。
私もタクシーを停めて外に。
「あっ!? オルタか。タクシーだから誰かと思ったよ」
ミカエルが私のアバターに近づいて言う。
「改造タクシー?」
「はい。たぶんそうです」
「おおっ! アメージャに引き続き、オルタも改造タクシーを手に入れたんだ!」
カフスがテンション高く言う。
そういえばSNS『ささやき』でアメージャが改造タクシーを手に入れたいと投稿していた。
どうやら無事に改造タクシーを手に入れたのかな。
SNS『ささやき』でアメージャのホームを見ると改造タクシーを手に入れたという投稿をしていた。
もしかしてエリア7000番台でパトカーに怪しまれていたのはそれが原因?
「でも、ちょっと形が違うね」
ネネカが改造タクシーの後ろを見て言う。
私も自分の改造タクシーとアメージャの改造タクシーで比べてみると確かによく見てみると後ろの形が違っていた。
「それで皆さんはやはり輸送機の件ですよね」
「当然じゃない。そうじゃなければこんなとこに集まんないわよ」
と、ミカエルが言う。
「でも、人数少なくないですか?」
ここにいるとは1期生のミカエル、ネネカ、ゆるる、モモネ。3期生の乱菊、ティファ、テルマ。4期生からはカフス。そして私の計9人。
「輸送機の墜落ポイントはエリア1000番台の谷間あたりだけしか判ってないかね。だから他にも墜落しそうなポイントに皆が集まってるんじゃない」
「聞いたところによると北東側にメテオ達が、ここから少し西にリリィ達が向かったよ」
と、テルマが他の墜落予想ポイントの情報を教えてくれる。
「0期生、1期生、2期生と別れたみたいね」
ゆるるがなぜかそのように纏める。
「そうでもないでしょ。他にも3期から6期生までいるんだから」
ミカエルが突っ込む。
「そうね。ここには3期生と4期生がいるんだし」
「それより、ポリス達には輸送機墜落のことは知られてないんですか?」
私は話を変えるためにゆるるに聞いた。
「確か輸送機が墜落する少し前に連絡が入るんじゃなかったかしら?」
「そうよ。だからポリス達はここへはすぐに来れないわ」
と、ネネカが教えてくれた。
◯
そして0時30分になった。
「そろそろ来るんだけど……見えないわね」
ミカエルが空を見上げて言う。
「ええ。真っ暗だから何も見えないわね」
ゆるるが溜め息交じりに答える。
ゲーム世界でも深夜の時間帯ため、空は真っ暗。星すら瞬いていない。
「待って! そっちではなく、あっちよ!」
ネネカが西の方角を指す。
自分達が東から来たため、つい東の方角を見上げていた。
西の夜空に白い物体が高度を下げて、降りてきた。
「リリィの方か? いや、まだ低空だ。これは……こっちに来るか?」
ミカエルが徐々に大きくなる輸送機の姿を見上げて呟く。
そして輸送機は大きな音を立てて、谷間へと滑り込む。
ザザザッ、ガガガッ、ゴキッ、ザー。
途中で右翼が崖にぶつかって折れた。
そして輸送機を大きく傾けて、地面にスライディング。
土煙で周囲が見えなくなった。
どうやら私達がいるポイントが当たりのようだ。
「さあ皆、行くわよ!」
『おー!』
ミカエルの呼び声に私達は元気よくかけ声を出す。
私達は車に乗り、坂を下りて谷間に。
輸送機は車でちょっと走ったポイントに横になっていた。
「あっ!?」
「どうしたのオルタ?」
「いや、メテオ達に連絡しないといけないのでは?」
「そうね。連絡しておいて」
ミカエルに頼まれて、私はメテオ、リリィと輸送機が墜落したポイントを教えた。
「さ、オルタ、こっち」
連絡を済ませるとミカエルから輸送機の後部に来るよう手招きされた。
「麻薬を回収して」
円のゲージが現れ、パーセンテージが表示される。
100%になると回収とアイコンが出る。
「残り30とありますね」
「残念だけどリーダーとサブリーダー以外は1人1つまでなの」
「それじゃあ、私達は先に行くわ」
車に乗ったゆるる達が先に出発する。
「それじゃあ、私も──」
「オルタはリリィ達が来るまでここで待ってて」
「え?」
「ライトがあると目印になるでしょ?」
「まあ、確かに」
「リリィ達ならすぐに来ると思うから」
そう言ってミカエルは車に乗り、この場から離れた。
◯
ミカエルの言う通り、リリィ達はすぐに到着した。
「遅れてごめんね」
リリィが謝りながら、私のもとにくる。
「いえいえ、全く待ってませんよ。これが輸送機で。ここから回収できます」
「オッケー」
「では、私はこれで」
「ありがとうね」
私はタクシーに乗り、カーナビに麻薬を送り届けるポイントを入力。
(6112……っと)
そして墜落ポイントから離れた。
山の中を走り続けていると前方に明かりが見えた。
「あれってメテオ達?」
だが、様子がおかしい。
何台もの車が蛇行しながら走っている。
そこへメテオからグループ通話がきた。
『こちらメテオ、現在ポリス達に追いかけられている。なんとか引っ張ってはいるけど、墜落ポイントに辿り着かれるかも!』
「こちらオルタ、そちらの様子が見えます。こちらからもポリス側を撹乱させましょうか?」
『ううん。オルタは指定されたポイントに麻薬を運んで』
「了解」
私はポリスにバレないよう慎重にタクシーを走らせるが──。
『そこのタクシー停まれ!』
残念見つかってしまった。
私を見つけたのはみぃこだった。
私は急いでアクセルを踏んで速度を上げる。
車道とか関係なく、ダート道も走り、がむしゃらに引き離そうとする。
途中、十字路で速度を上げて逃げる車を見つけた。そしてすぐに私はパトカーに横から衝突。
『うぉ! 誰だ!』
衝突したパトカーを運転していたのはヒスイだった。
「やべえ」
私は少しバックして、また前進して逃げる。
『オルタァ!』
「いやあぁ!」
追跡者が2人になってしまった。
「どうしよう。なんとかしないと。そ、そうだ!」
改造タクシーには色んなシステムが搭載されている。
「タ、ターボで!」
けれど、ついうっかり私はスパイクを選んでしまった。
「間違えた! スパイクって何よ?」
車の後ろからチェーンマットみたいなものが飛び出した。
「えっ!? ……何? 何も起こらないんだけど?」
意味がなかったのかと混乱していると後続のヒスイとみぃこから悲鳴が上がった。
『ぎゃあ、パンクした!』
『せこいぞ!』
よく分からんが、どうやらあのチェーンマットみたいなもので2人を撃退出来た?
(よしよし)
このまま逃げ切れれば──。
『ゥオルゥタァア!』
すごい巻き舌でみはり先輩が現れた。
しかも改造パトカー。マシンガン搭載なんだけど。
『あの時はよくもやってくれたな!』
やばい。轢いたこと根に持ってたか。
みはり先輩はパトカーで何度も後ろから衝突してくる。
さらに時折、距離を取るとマシンガンで撃ってくる。
『そのタクシー硬いぞ! どんな違法しとるんじゃあ!』
「そっちだってマシンガンとか付けてるじゃないですか!?」
『こっちは警察じゃあ!』
みはり先輩は吠えながら、マシンガンで銃撃してくる。
「もうそっちがギャングだよー!」
私は悲鳴を上げつつ逃げる。
(そうだ!)
「ターボ、オン!」
私は改造タクシーのターボを使う。
すると改造タクシーは一気に加速してみはり先輩を引き離した。
しばらくして速度が急激に落ちる。
「おお! すごい! 瞬間時速が300キロ!」
ターボは一時的に速くなる装置か。
一度使うと次に使うまで180秒間のチャージタイムが発生するので使い所が大事なんだ。
今はみはり先輩を振り切ったので、大成功といったところかな。
このまま走り続けたら──。
『いた!』
「えっ!?」
今度はパトカーに乗った詩子が現れた。
『先輩! いましたよ! 現在2078』
『よし。なんとか私が行くまでオルタを抑えつけて』
『え、あ、はい』
通信の相手はみはり先輩のようだ。
詩子は私を追い抜かすとスピード落とした。
ガンッ!
パトカーのケツにタクシーの頭が当たる。
「邪魔ぁ!」
私はパワーでゴリ押しして、パトカーのバランスを崩させる。そしてその隙をついて追い越す。
『ああっ!』
このまま逃げ切る。
だが、またしても別のパトカーの邪魔により、私は逃走経路が妨害され、別の道を通らざるを得なくなる。
進行方向は問題ないんだけど。
「くっ、こっちか!」
パトカーのいない方へと進んで行くと、私はいつの間にか高速道路に移動してしまった。
「誘導された!?」
『さあ、観念しなさい。逃げ場はないわよ』
ミカゲがパトカーで追ってきた。
「走り切るのみ!」
『こっちだってスピードには自信があるんだから』
けれどこっちにはターボがある。それにスパイクだって。
私はスパイクは後続へと放つ。
しかし、パトカーはスパイクの上を通っても平気だった。
「なんで?」
『私のパトカーはスパイク対策の特殊タイヤを装着しているのさ』
ということは普通にスピードで引き離さないといけないということか。
しかもさっきのが最後のスパイク。無駄になってしまった。
「ならターボで!」
私はターボを使用して一時的に大加速する。
一気にミカゲを引き離していく。
『ああ! クエス先輩、任せました』
『任せな!』
前方から逆走してくる車があった。
高速で逆走はダメでしょ?
どうする?
あとは……ん?
もう一つ装置があった。
ガトリング。
すっかり忘れていた。
私はものは試しにとガトリングを使用。
するとタクシーのフロントからガトリングガンが2門現れ、前方のクエスが運転するパトカーを蜂の巣にしていく。
ガガガガガガッ!
『ちょっ、そんな武装聞いてない!?』
蜂の巣にされ、パトカーは停まった。
私は追い抜いて、さらに高速道路を進んで行く。
これで終わったなと安心した。
その時だ。
『オルゥタァァー!』
またみはり先輩が現れ、私のタクシーに横から体当たり。
「ちょっ、マジでしつこいですよ!」
『うるせぇ!』
私達はそのまま高架下へと落ちてしまった。
ダンッ、ガンッ!
一応、ひっくり返ることもなく、着地したようだ。
驚いたことにタクシーはまだ走れた。
普通の車なら高架下から落ちたら潰れるのだが、この改造タクシーは頑丈のようだ。
私はアクセルを踏んで逃走。
だけど、みはり先輩もまた無事のようだ。ただし、あちこちがボロボロ。マシンガンの銃身はひしゃげていて、使い物にならなくなっている。
だが、スピードはあり、何度もタクシーに体当たりを繰り出してくる。
スパイクを使いたいが、ストックは0。
ターボチャージが終了するまであと30秒。
(どうする?)
「待たせたわね!」
猛スピードを出す赤い車が現れた。
「ミカエル?」
「私はもう運び終えたから。ここは私に任せて進みなさい」
ミカエルはパトカーの横に車を擦り付け、徐々に端へ詰めようとしている。
『ミカっ! 邪魔するな!』
みはり先輩も負けじとパトカーで赤い車を退けようとするが、ボロボロのためパワーが足りないようだ。
「さあ、行って!」
「ありがとうミカエル!」
私は全速前進で4車線の車道をタクシーで進む。
あともう少しでエリア4000番台。
「ん? な、なに?」
前方に何か横一列にある。
「バリケード!」
私はタクシーを停めた。
『フッハッハー』
バリケード中央にユーリ、トビ、アオがいた。
『お前達がここを通るのは計算済みだ!』
『我々を甘く見るな!』
『いやあ、山を張って正解でしたね』
『ちょっとアオ!』
これはUターンを──。
『逃すか!』
後ろからはみはり先輩が近づいてきた。
どうしよう。
路地に入るべきか。
しかし、両隣は工場。
『おらー!』
「オルタ、逃げて? 押さえきれない」
みはり先輩のパトカーが接近してきた。ミカエルがなんとか押さえつけようとしているけど、パワー差があって押し返されている。
当たらないよう回避を取ろうとしたけど、ぶつかってタクシーは工場の壁に衝突。
ドガガガッ。
「ん? あれ?」
壁が壊れ、タクシーの前半分が工場敷地内に入っていた。
タクシーはまだ大丈夫だ。
「頑丈すぎじゃない? ……ま、いいけど」
そのままアクセルを踏み続けて、タクシーは工場敷地内へと侵入。
「敷地内に入って迂回できるかも」
バリケードもパトカーもない安全な道に入れるかも。
『総員に告ぐ。オルタが壁を壊して工場敷地内に入った!』
みはり先輩がなおもしつこく私を追いかけてきた。
「逃げろ!」
私は工場敷地内で建物を壊したりして、どんどん進んで行く。
ガンガン、バン、ガガガッ!
タクシーはどれだけ建物にぶつかっても一向に壊れる気配がない。
「工場敷地内を進んでバリケードを回避だ!」
ガガガッ、バン、ドン!
『なんで壊れないの?』
みはり先輩が私の後ろを尾けながら驚嘆の声を上げる。
タクシーがこれだけ建物にぶつかっているのに全然平気なのは私もびっくり。
私は工場内を蛇行しながら進む。
みはり先輩もどうにか私の後を尾けようとするも、向こうは建物にぶつかるとスピードが落ちる。
スピードが落ちないこちらが有利。
ドンッ!
敷地内に人がいたけど知ったことではない。邪魔者は跳ねる。
私は建物を破壊しながら敷地内を進み、お隣4車線の車道にあるユーリ達が張ったバリケードを回避に成功。
そしてエリア4000番台に入った。
『ずるいぞ!』
ユーリの非難の声がかすかに聞こえる。
だが、関係ない!
エリア4000番台に入った私の快進撃は続く。建物なんて関係ない、民家やビルを壊しながら、進んで行く。
「道がないなら道を作れ!」
昔、なんとかみつをさんも言っていた。道を作れ、道を広げろ、他人の道は自分のじゃねえと!
「うおぉぉぉ!」
途中、人がいたけど関係ない!
家の中に人がいようが知ったことか!
全て壊して、全てを轢く。
「マイウェイ! マイウェイ! ゴーイング、マイウェイ!」




