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VTuberをやっている妹のパソコンを勝手に使ったら、配信モードになっていて、視聴者からオルタ化と言われ、私もVTuberデビュー!?  作者: 赤城ハル
第4章

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第53話 交歓祭①

 交歓祭。文系と理系が合同で執り行う祭。


 今年は新型コロナが原因で休講があったため、文化祭は取り消しとなった。


 しかし、どうしても文化祭をしたい学生達の要望により、2日間だけ文系理系の学生達による交歓祭が執り行われることになった。


 その交歓祭に私達は人数不足のため、駆り出されてしまった。


 豆田や美菜に至っては私のせいだ。

 巻き込んでしまって申し訳ない。


 私達の仕事は1日目の昼から夕方のみ。

 屋台はたこ焼き屋。作って売るだけ。そう割り切ってしまう。


 その屋台の設営は瀬戸さん達が前日に済ませていた。


「こんにちは」

「あ、来てくれたんだ」


 屋台で売り子をしている瀬戸さんが後輩に任せて、屋台から出てくる。


「やっぱ五百円にしたんだ」


 テーブルには段ボールで作られた八玉五百円の札が置かれていた。


「そりゃあ、千円はやばいからね」


 そう言って、瀬戸さんが肩をすくめる。そして私達を屋台の裏へと誘導する。

 裏にはテントと折り畳みの椅子が置かれている。


 天野さんは椅子に座って、くつろいでいた。

 なぜ表で手伝っていないのか?


「瀬戸さん、その服は?」


 私は瀬戸さんが着ているシャツについて聞く。

 彼女は黄色のシャツには大学や本、スポーツなどの絵と交歓祭の文字がプリントアウトされている。

 その服は瀬戸さん以外にもたくさんの人が着ていた。


「現場スタッフに配られているものだよ」

「でも、天野さんは着てないよね?」

「私はミスコンに出るんだから、ダサい服なんか着ないわよ」

「ダサいって! あんたが着ろって言ったんでしょ!」

「天野さん、ミスコンに出るの?」

「そうよ。すごいでしょ」


 天野さんが自慢げに言う。


「出るだけでは駄目でしょ。優勝しないと」

「分かってるわよ。あなた達もぜひ私に票を入れてね。ミスコンに14時からだから」

「その時間は屋台の手伝いですよ」

「投票は18時までだから」

「それだと発表はいつに?」

「明日よ」

「そっか。瀬戸さんは出ないの?」


 瀬戸さんがは友達贔屓なしでも美人のたぐいである。

 きっとミスコンに出たら、かなりの成績を出すのではないだろうか。


「私はいいよ」

「そうそう、あんたが出ると優勝が難しくなるじゃない」


 そこで後輩の女子学生がやって来た。


「先輩、手伝ってくれませんか? 客が増えてきました」

「うん。すぐ戻るよ。ごめんね。3人は時間が経ったら、交替だから」

「分かった」


 瀬戸さんは屋台に戻っていく。


「…………」

「なんで私は手伝わないのかって目ね」

「えっ、いや、あの……」

「普通に考えたら分かるでしょ?」

「?」


 天野さんは豆田や美菜に目を向ける。


「えっと……ミスコンに出るから?」


 豆田が自信なく答えた。


「そう。ミスコン参加者は宣伝行為は駄目なのよ」

「へえ」


 それじゃあ、なんで屋台なんてすると言い出したのだろうか?

 そこへ涼子がやって来た。


「やっほー」


 涼子も瀬戸さんと同じシャツを着ていた。


「まさか千鶴や美菜も交歓祭に参加してたとびっくりだよ」

「まあ、色々とあってね」

「あ、こっちは豆田。同じ学部の友達」

「よろしく豆田夢加です」

「私は工学部の島村涼子……」


 涼子は言葉を止めて、じっと豆田を見る。


「涼子、どうしたの?」

「どっかで……会った?」

「いいえ、初対面だけど」


 豆田は首を横に振って否定する。


「だよね。私、文学部の知り合いはほとんどいないし」


 そこで咳払いが1つ。音の方を見ると天野さんがいて、また咳払いが。


「それと彼女は天野さん、商学部の人」

「ああ! 貴女が!」

「あら、私のことご存知?」

「瀬戸さんから話は聞いてますよ」

「なーんだ」

「それで涼子は文化祭で何するの?」


 美菜が質問した。


「ベビーカステラ作るの。左隣の屋台だよ。本当は交歓祭のコンセプトらしく何人か人を交換する予定だったんだけど、人が集まらなかったわ」


 と言って、涼子は肩をすくめる。


「コンセプト?」

「知らないの? ほら交歓祭だよ?」


 涼子は自身のシャツにプリントアウトされている交歓祭の文字を指差す。


「まさか交歓だから交換?」

「そんなとこよ。文系の方に理系を理系の方に文系の学生を助っ人で貸し出すの」

「そんなコンセプトがあったんだ」


 交歓祭なんて初耳だったから、何か裏があるのかなとおもったらそういうコンセプトがあったのか。


「だから、ただでさえ人見知りな美菜が手伝いに出るとは驚き」

「別にたこ焼きを売るだけだし」

「コンセプトが学生の交換だよ?」

「だから何よ」

「理系キャンパスは男ばっかだよ」

「!?」

「しかも交歓祭で文系の女と仲良くしようと企むやつばっかだよ」


 美菜が驚きで口が開いたままだ。


「気をつけなよ」

「でも、そちらとの交換はないんでしょ?」


 豆田が涼子に聞く。


「そう。だから安心してね」

「なーんだ」


 美菜がほっと胸を撫で下ろす。


「でも、ここぞとチャンスがあれば攻めてくるから気をつけること」

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