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VTuberをやっている妹のパソコンを勝手に使ったら、配信モードになっていて、視聴者からオルタ化と言われ、私もVTuberデビュー!?  作者: 赤城ハル
第4章

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第50話 ニンジャコース練習②

 休憩の後、次はゴーストをダウンロードしてニンジャコースを練習しようとしたけど、WeeVのオンラインサポートは切れていて、ゴーストのダウンロードできなかった。

 残念だと諦めていた時、過去にこのWeeV版ハリカーを使用したVのデータが残っていた。


「おっ! メテオのデータだ」


 桜町メテオ。ペイベックス0期生で噂によるとハリカーが上手らしい。過去の正月ハリカー大会にも優勝している実力者だとか。

「これでやってみよう」

 私は桜町メテオのゴーストを利用してニンジャコースをプレイ。


「はっや!」


 徐々に差が開いていき、3つ目のカーブを曲がった頃には見えなくなっていた。


「……ダメだ。強すぎて使えない」


 私はレースを中断して、ゴーストの視聴を始めた。


「速いな!」


 メテオは無駄なく走り、しかもショートカットも上手。バグを使ったプレイをせずに好タイムを出した。


 もう一度、プレイを見てみる。


 インコーナーを攻めるタイミング、団子状態になった際は気をつける道、ショートカットのタイミング、気をつけるギミック場所、加速アイテムを使う場所などを把握して重点的に理解する。


 その後でもう一度、練習モードで走る。


 コースも覚えたところでまず100ccでニンジャコースのあるハプニングカップをプレイした。ハプニングカップはギミックが多いコースばかりで、最後にニンジャコースがある。


 代々ハリカーは据え置きハードごとにそれに対応したハリカーを出している。


 それは決して新コースや新キャラが増えたりするだけでなく、その据え置きハード専用の新アイテムや既存アイテムの効果変更がある。


 いつもとは違うため、ほんの些細なことでミスが目立ってしまう。


 まあ、それでも所詮は100cc。

 難しくはない。

 ニンジャコースも1位。


「ふう。……よし。次は150ccやるか」


 けどその前に休憩。


 酔い止めの飴を舐めて、ゲーミングチェアの背もたれにもたれる。

 10分くらいの休憩後、150ccに挑戦。


 150ccはさすがに強かった。

 1位を取れないコースもいくつか。


 最後のニンジャコースは団子状態になった際は注意すべき道で3連続でアイテム攻撃に遭い、順位を落としてしまった。


 その後も死角となるところにオイルをぶちまけられてスピンしたり、ショートカットの邪魔をされたりと散々。


 結果は8位。


「これはやばいわ」


 もう一度、ハプニングを選んでプレイ。


 ニンジャコース以外は本気走らない。最後のニンジャコースにだけ集中して走る。


 次は相手のアイテム攻撃を意識したせいか、固くなって防御になりがち。攻めの姿勢でなかったので順位は4位。 


「……むずい」


 1人だと悠々に走れるが、自分以外がいると邪魔をされようがされまいが、他人を意識してしまい遅くなってしまうようだ。


「……もう一度」


  ◯


 ニンジャコースは酔いやすいため定期的に休憩を挟まなくてはいけない。


「ふう」


 私は大きく息を吐く。


 あの後、何度もハプニングカップを挑戦してニンジャコースを走った。


 けれどなかなか1位になれずに終わる。


 1位になったら練習は終わろうという気持ちもあったが、今ではもういいかななんてマイナス的に考えてしまう。


 WGEエキシビションはなにもニンジャコースだけではない。他のコースも走るのだ。

 それならこのコースは無難に走っておけばいいのではと考えてしまう。


 なるべく被害に遭わないように。

 団子状態にはならないように。


「ダメダメ。ネガティブになってる」


 挫けずに挑戦。

 なんとか1位になって練習を終わらせよう。


  ◯


 そして私は──。


「や、やった! 1位だ! 終わりだ! ああー!」


 私は両腕を上げて背を伸ばす。


 そしてゲーミングチェアの背もたれにもたれる。


「疲れたー」


 ペットボトルからミネラルウォーターを一口飲む。

 そしてスマホから時刻を確認する。


「結構やったなー」


 1位も取ったし片付けて帰ろうとしたところで、ドアがノックされた。

 配信部屋のドアを開けると美菜がいた。


「あれ? 美菜、どうしたの?」

「福原さんに千鶴がここにいると知ってね。対戦相手必要でしょ?」

「そのためにわざわざ?」

「今日はコラボ配信があったから、その前についでにね」


 ……ついでか。

 でも、対人の相手がいることは嬉しい。


 美菜はもう一つのゲーミングチェアに座り、2P用のコントローラーを手にする。


「コラボ配信? 誰の?」


 私もゲーミングチェアに座り、コントローラーを握る。


「完熟サラサとみぃこ、夜闇乱菊とで『ポルターガイスト第三調査室』というホラゲーをやるの」

「時間は大丈夫なの?」

「1カップだけなら問題ないよ」


 そして私達はハプニングカップをプレイする。


「ちなみに美菜はニンジャコースを走ったことあるの?」

「ないよ」

「……」


  ◯


「美菜、大丈夫?」

「……大丈夫」


 しかし、美菜の顔は青かった。


「遅いけど酔い止め」

「あり……がと」

「薬でなくて飴だから。ゆっくり舐めてね」


 まさか1回走っただけで酔ってしまうとは。


「ま、まさか、こんなに酔うとは……思わなかった。すごいコースだね」

「この後の配信大丈夫?」

「まだ時間あるから……平気」


 美菜はサムズアップして答える。けれどその顔は弱々しかった。


  ◯


 そして『ポルターガイスト第三調査室』は酔いやすいゲームで美菜は吐いてしまった。

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