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VTuberをやっている妹のパソコンを勝手に使ったら、配信モードになっていて、視聴者からオルタ化と言われ、私もVTuberデビュー!?  作者: 赤城ハル
第4章

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第47話 量研

 あの後、流れに負けて私も交歓祭の手伝いをすると約束してしまった。

 豆田や美菜は無理にやる必要はないと言うが、2人に迷惑かけるのも悪い気がするので少しだけ手伝うことにした。


『ごめん! ごめん! ごめんね!』


 帰宅後、瀬戸さんからスマホから通話がきて、出るや否や謝罪された。


『本当にごめん。あいつのせいで大変なことになって』

「ううん。大丈夫だよ。ちょっと手伝うだけだし」

『でも、その日ってWGEの日でしょ?』

「知ってた?」

『知ってるよ。めっちゃ話題になってるじゃない。この前のキセキカナウとの配信も見たよ』


 きっとメメ目当てで見たのだろう。そしてその配信で私がWGEのハリカー・エキシビションに参加することを知ったのだろう。


「時間は深夜だから一応大丈夫と思う」

『いやいや、準備とかあるでしょ? 家で配信するんじゃないんだから、スタジオとかに行かないといけないんでしょ?』

「あー、そっか」

『そっかじゃないよ。なんなら、こっちの方で交歓祭は手伝えないって天野に伝えておくよ』

「ううん。私だけ手伝えないとなると変な目で見られるから、昼ごろまでなら手伝うよ」


 そこでふと私は涼子のことを思い出した。


「そういえば社会学Bの前にさ、涼子に会ったでしょ? 島村涼子。あれも交歓祭の話だったの?」

『知り合いなの?』

「うん」


 さすがに彼女もVTuberであるとは言えない。


『交歓祭には一つのテーマみたいなのがあってね。お互いの学生を派遣しあって仲良くなろうってやつ。それで向こうのベビーカステラ店とこちらのたこ焼き店の学生を派遣しあおうって話なんだけど、そこで問題があってさ』


 そこで瀬戸さんは一拍置いた。


『向こうの人数が足りないからこちらからの派遣は難しいんだって。それの報告と謝罪かな。向こうもなんか色々ありそうだね』

「そうなんだ」


 だから涼子はいつも違った雰囲気だったのか。


「それにしても屋台はたこ焼き店なんだ」

『聞いてなかった?』

「全然。そっかたこ焼きか。手伝うってことは作るんだよね? 私、たこ焼きって作ったことない」


 それにたこ焼き自体も子供の時に縁日で食べたくらいだ。

 お好み焼きは晩御飯のメニューにでるけど、たこ焼きはないからね。


『別にたこ焼きを作るだけでなく、店番かレジ係、材料調達班の仕事もあるから作れなくても大丈夫だよ。最悪、作れないから手伝えないと断ることもできるよ』

「いやいや、店番くらいなら頑張るよ」

 それくらいはしないとあとがうるさそうだ。

『本の件も天野からほぼ無理矢理貸されたのでしょ? あいつ、絶対こうなると踏んでたのよ』


  ◯


 瀬戸さんとの通話の後、私はマネージャーの福原さんに連絡を入れた。

 内容は交歓祭の手伝いをすることになってしまったということ。


『……そうですか。それは一大事ですね』


 話を聞き終えた福原さんは難しそうな声を出した。


「やはりまずかったですか?」

『エキシビションは深夜なので問題はないのですが、できれば不安要素はなしが好ましかったですね』

「すみません」

『いえ、いいのですよ。気にしないでください』


 そう言ってくれるものの、WGEの準備が始まる中で急遽別件が決まっては色々と支障があると思う。


 そう思うとやはり心苦しい。


 もう少しはっきりと断れば良かった。

 そして相手に頼まれるような立場になったことも悔しい。


「あの、配信場所はどこになるのでしょうか?」

『伝えてませんでしたか?』

「はい」

『すみません。場所は……』


 通話の向こうで福原さんがファイルを開く音とプリントを捲る音が聞こえる。


『場所は埼玉の……和光にある……りょ、量研!?』


 埼玉あたりで福原さんは怪訝な声を出し、量研で驚きの声を発した。


「福原さん、どうしたんです?」

『すみません。私も配信はスタジオかと思っていたので、まさか量研だなんて……」

「量研とは?」

『量子通信実用研究所のことです』

「……はあ」


 量子って何? 分子とか原子のこと?


『量子コンピューターは知ってますか?』

「知りません」

『SFとか読みませんか?』

「すみません。そっちのジャンルは苦手で」


 しかし、どうしてここでSFが?


『いえ、構いません。では、分かりやすく説明いたしますと、スーパーコンピューターより遥かに性能が高いコンピューターと思ってください』

「つまり演算が速いとか?」

『ええ。それと量子テレポーテーションを使った通信技術を使えば、遠く離れた場所で擬似的な光速通信が可能なのです』

「そうなんですか」


 さっぱり分からない。

 ようはすごい通信ってこと?


「それでその量研が配信……私がハリカーをする場所なんですか?」

『ええ。そのようですね』

「でも、どうしてそんな場所で? もしかしてその量子コンピューターを使うとか?」


 ハリカーの通信対戦ならわざわざ研究施設でなくてもスタジオでも事足りるはずなんだけど。


『それは……私にも分かりません。海外への通信だからラグが発生。それを無くすためでしょうか? う〜ん? ……とりあえず、こちらから先方にお伺いしておきます』

「分かりました」

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