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VTuberをやっている妹のパソコンを勝手に使ったら、配信モードになっていて、視聴者からオルタ化と言われ、私もVTuberデビュー!?  作者: 赤城ハル
第4章

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第43話 ニンジャコース

 WGEハリカー・エキシビションマッチのコースが発表され、その中にニンジャコースがあった。


 走ったことのないコースのため、私はニンジャコースを勉強することにした。

 まずネットでの情報によるとニンジャコースはゲーム酔いは勿論のこと、バグが多いことで有名であるらしい。


 中でも有名なのはワープバグ。


 ニンジャコースは一周して終わるコースゆえに長い。けれど後半のルートと密接したルートがレース始まってすぐにあり、とあるアイテムを使って、ある行動を取るとバグが発生して後半のルートへワープしてしまう。


 そして私は動画でそのバグによるワープを見た。


「うわっ、これはヤバイわ」


 あまりのバグさで私はつい呟いてしまった。


 具体的にどのようなバグが起こったのかというと、スタートしてから1つ目のアイテムボックスで加速アイテムのスラスターを取り、カーブを曲がったところでカートが止まる。その時の順位は12位。そして左へ90度カートを向けて、スラスターを使う。その状態だと左壁にぶつかるのだが、その左壁をカートがすり抜け、後半のルートへワープ。


 順位は12位からいっきに1位へ。

 そこから2つカーブを曲がるとゴール。


 卑怯すぎるバグだ。


 その他にもバグがあるらしいので、調べてみた。するとアイテムでミサイルを任意で得られるバグ。無敵化するバグ。アイテムを消費せずもう一度使用できるバグ。


「どう? 勉強はかどってる?」


 佳奈が私の部屋に入ってきて言う。


「バグのオンパレードだね」

「そうそう。だから公式でも大会とかでニンジャコースは使用不可になったり、スロッチ版ハリカーに採用されなかったの」

「それが今回、WGEで採用された」


 ネットでもニンジャコースが選ばれたことは話題になっている。


「採用されたってことはバグもなくなったのかな」

「たぶん」


 ま、それもそうだろう。バグがあるままでは大会に使用できない。


「それじゃあ、今、動画でバグの勉強をしても意味ないのかな?」

「ないだろうけど……こういうコースだっていうのは知っておくべきじゃない」

「このコースを練習できないかな?」

「据え置きハードのWeeVとソフトのハリカーを持ってないと駄目だね」

「持ってる?」

「持ってない」


 佳奈は首を横に振った。


「誰か持ってる人いないかな?」

「誰かというか……たぶんペイベックスにあるんじゃない? 福原さんに聞いてみたら? 最悪なくても調達してくれるかも」

「そうだね。聞いてみるよ」


 私はさっそくスマホでマネージャーの福原さんに連絡した。


『もしもし』

「あのー、ペイベックスにWeeVとハリカーありますか?」

『WGEの件ですね』

「はい。ニンジャコースの練習がしたくて」

『ええ。あります。配信部屋に来てくれたら、いつでも利用できますよ』

「ありがとうございます」

『申請しておきますね』


 そして私は翌日にスタジオで配信部屋を使用することとなった。


「WeeV、スタジオにあるって」

「良かったね」

「なかったら大変だったよ」

「なくても動画でコースは覚えられるでしょ?」

「いやあ、それ大変だよ。だって、見続けるとゲーム酔いしちゃうんだもん」

「あー、ゲーム酔いもあるのか」


 ニンジャコースは天井走りもあるため、視界がぐるぐる回って酔いやすい。


「酔わないためにもいっぱい練習して慣れないとね」

「そうだねー」


 私の弱点の一つがゲーム酔いだ。


「ニンジャコースもだけど、他のコースも練習しないと駄目だからね」

「分かってる」

「ボルケーノとか」

「……うん」


 私は歯切れ悪く答えた。


「もしかしてまだネットのこと気にしてる?」

「気にしてないといえば嘘になる」

「むしろこれはチャンスと思えばいいんじゃない? ここでイニシャルカーブして、チートじゃないアピールすればいいんだよ」

「勝ったらチートって言われそう」

「逆だよ。公式だからチートって思われないよ」

「それ福原さんも前に言ってた」

「なら、そうしなよ。大丈夫。いけるって」

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