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VTuberをやっている妹のパソコンを勝手に使ったら、配信モードになっていて、視聴者からオルタ化と言われ、私もVTuberデビュー!?  作者: 赤城ハル
第1章

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第21話 事故【宮下佳奈】

 VTuberの仕事は決してゲーム実況や他の配信者とコラボするだけではない。


 ペイベックスではグッズやCD等を販売している。特に音楽サービスを中心としているペイベックスは曲に関しては販売に力を入れている。


 けどVTuber全員が歌が上手いわけではなく、下手なVTuberもいる。そのため最低週一のレッスンが余儀なくされていて、私もまたその一人である。


 ちなみに今日は昨日のハーブティーのおかげか喉の調子が良かった。


 そしてレッスン終了後、私は福原マネージャーに呼び止められた。


「なんですか?」

「これを」


 紙袋を渡された。


 受け取って中を確認すると冊子が入っていた。


「同人誌ですか?」

「お分かりで?」

「そりゃあ、まあ」


 アニメ、ゲーム関連の仕事ゆえ、知らない人はいないだろう。……姉は知らなさそうだけど。


「夜闇乱菊さんから赤羽メメさんへオススメの同人誌だとか」

「え?」


 夜闇乱菊とは同人誌を受け取るような関係もなければ、受け取るような話をした覚えもない。


「オルタのコラボを見ていませんか?」


 …………オルタ!

 お姉ちゃんか!


 そういえば、この前、夜闇乱菊とコラボ配信をしていた。


「コラボ配信見てませんか?」

「いえ、見てません」

「『アンブレラ』の同人誌を受け取るという話があったんですよ」

「ええ!? なんで私が!?」

「オルタ曰く、妹なら好きとかで」

「いや、好きってわけでもないし」


 私は紙袋から同人誌を一つ抜き取る。

 というか紙袋に何冊入ってんのさ。


「あ!? ここでは……」

「ん?」


 私はペラペラと同人誌を捲る。


「……ん!? ……な! ……あわっ!」


 同人誌を閉じ、福原さんを見る。

 福原さんは明後日の方を見ている。


「なんですかこれ? エロいやつじゃん!?」


 原作が『アンブレラ』だから、てっきりホラーマンガの類かと思いきや、おっさんと青年のBLじゃないか。


 なんだよ『さあ、俺の中に撃ってくれ!』とか『楽にしてくれ』とか。


「私もJKにエロ本を渡すのはどうかと思ったのですが、多感な年頃のあなたもこういう世界に興味があるのかと……」

「ないです。断じてないです。決して。BLのR18なんて求めてません!」

「そうなんですか? オルタはメメなら……」

「姉はたぶん同人誌がどういうものか知らないから配信でそう言ってるんですよ!」

「そうでしたか」


 なぜかちょっと残念そうな顔をする福原さん。


「もしキャラ作りにお困りでしたら……」

「BLオタにはなりません! とにかく返してください!」


 私は紙袋を福原さんに返す。


「でも面白いですよ。一度目を通して見ては?」

「結構です!」


  ◯


「お姉ちゃん! どこ?」


 リビングには姉の姿はない。ということは自室か。

 2階の姉の自室に入る……が、いなかった?


「あれ?」


 まだ大学なのかな?

 それとも遊びに出掛けた?


 私の部屋に入ると姉がいた。


「ちょっと、お姉ちゃん。話がある!」

「な、何?」

「ここに座って!」


 私は床を指す。


「え? でも?」

「いいから早く!」

「う、うん」


 姉は床に座り、テーブルに手をつく。

 私もテーブルを挟んで姉の前に座る。


「どうしたの?」

「お姉ちゃん! 私が同人誌が好きって配信で言ったの?」

「言ってないよ? てか、何? どうじんし?」


 姉はぶんぶんと首を横に振る。


「夜闇乱菊とのコラボ配信で言ったんでしょ。嘘をついても、もう分かってんのよ」

「待って。本当に何のこと? それにどうじんなんたらって何?」

「同人誌! ファンが作った本。薄い本」

「はあ? それが何?」

「私が好きだって吹聴したんでしょ?」

「してないよ。そんなの」


 姉は怪訝な顔をする。


 本当に言ってないのか?

 いや、そんなはずはない。


 私は切り抜き動画で調べる。見るのではなく、テロップを流し読み。

 そしてようやく最後のところで事実が判明する。


「ほら、ここ! 『メメなら』って言ってるじゃん」

「あ、本当だ」

「もう! このせいで私、今日、マネージャー経由でBL本を渡されたのよ」

「BL本?」

「……それも知らないとか?」

「分かんない」


 私は盛大に溜め息を吐いた。


「へえ、どんなやつ。見せてよ」

「持ってないわよ!」

「え? だって渡されたって」

「返したわよ」

「ええ!?」

「何その不満そうな顔。読みたかったの?」

「どんなのかなって?」

「ググれ!」

「それより戻ってもいい? 確認をきちんと……」


 姉は学習机の方を指す。


「何? 録画し……今日は配信だった……よね?」


 そうだ! 今日は確か『魔法少年マナカ・マグラ』の10話実況配信日。


「うん。ちょうど終わったとこ」

「消した?」

「急だったから……」

「…………え、ええ!? あ!? えええ!?」


 私は急いでパソコンに向かう。

 確かに画面は真っ暗で切れている。

 でも、音は切れてなかった。


「あ!? あああ!?」


 私は急いで音も消す。


「やっちまったぁーーー!」


  ◯


 この日、『メメBL説教』がSNSのトレンド4位に入った。

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