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第20話 青いハーブティー

 喉が痛い。

 昨日、コラボ配信で結構叫んだせいかな?


 私は大学生協にてのど飴を選んでいたら、


「あら? 喉が痛いの?」


 と天野さんから声をかけられた。


「どうも」


 前に一度自己紹介とお話をした程度なので声をかけられるとは思ってもみなかった。


「喉が痛いならハーブティーが効くわよ」

「いや、別にそれほど」

「あら、声がかすれてるじゃない。ほら、こっちよ」


 と私はハーブティーの棚へと移動させられた。


「これとかオススメよ」


 天野さんはあまり聞いたことないハーブティーバッグが入った袋を差し向ける。


「はあ」


 私は天野さんがいなくなったらハーブティーを棚に戻そうと考えたのだが、天野さんは早くレジに行けと言わんばかりに動かずにいる。


 困ったなというところである人物がやってきた。


「2人共どうしたの?」


 やってきたのは瀬戸さんだった。


「宮下さんが声が掠れているからオススメのハーブティーを紹介したのよ」

「ああ、それね。そのハーブティーは効くよ」

「へ、へえ」


 仕方ないので私はハーブティーとのど飴を持ってレジへ向かう。

 まあ、そんなに高くないし、別にいいかな。


  ◯


 ダイニングで私は大学生協で買ったハーブティーバッグをカップに入れて、その上にお湯を注いだ。


「え!? あ、青い!?」


 買わされたハーブティーは青かった。

 少し青みがあるとかでなく真っ青。


「お姉ちゃん、何それ? 普通にキモイんだけど」


 学校から帰ってきた妹がカバンをリビングのソファに置き、ダイニングに来る。


「なんか喉に良いハーブティーだって」

「青いんだけど。有害物質じゃないの?」

「大丈夫じゃない?」


 私はおそるおそるハーブティーの入ったティーカップを近付けて、まずは香りを嗅ぐ。


「……」

「お姉ちゃん?」

「なんか……変わった匂い」


 どっかで嗅いだことのある匂いなんだけど言葉が出てこない。


 そして私は一口飲む。


「どう? 味は?」

「……味の濃い紅茶かな? いや、ちょっと薬品ぽいような?」


 なんて表現すればいいのか難しい。


「とにかく変わった味ってことかな?」

「へえ。……私も飲んでみようかな?」


 少し好奇心が芽生えたのか佳奈も青いハーブティーを飲むことにした。


「うえ! この匂いは……便所の消臭剤じゃない?」

「ああ!? それだ!?」


 確かに同じだ。


「味は……確かに濃い紅茶と薬品を足した感じだね。後味もなんか銀紙を舐めた感じ」

「そうそう。そうよ。佳奈は食レポの才能があるのね」

「これ食ではないでしょ。飲でしょ。しかも褒めてないし」


  ◯


 翌日、ハーブティーの効果だろうか。確かに喉の調子は良くなった。

 でも、香りと味は最悪だから、あの青いハーブティーはできれば、もう飲みたくない。

 良薬口ににがしとはこのことだろう。

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