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第69話 今後について

 家に帰ってきたのは14時だった。


「おかえり。どうだった?」

「コロナだった」

「あらら。それは大変。しばらくは学校をお休みして、部屋に篭らないとね」


 母はさほど驚いていない様子。コロナ感染を慌てずすんなり受け入れている。


「熱とかないよ」

「それでも1週間は休みなさい」

「……そうだね」

「それにしても朝に出かけたのに遅かったわね」

「クリニックで拒否られて、大きめの病院に。その後、待たされてからPCR検査。で、また結果待ち。会計も待たされて大変だった」


 ちなみに会計は隔離室で行われた。


「薬は?」

「会計時にもらった」

「株は?」


 株? ……ああ、コロナ株か。


「あー、なんだろう? 聞いてない」

「なんでよ」

「いや、それがさ、医者もコロナのこと言わずに話し始めるのよ。だから看護師が後ろで『先生、コロナのこと言ってませんよ』って、告げるの」

「何それ? それで聞きそびれたの?」


 母が呆れたように言う。


「だってあっさりだったもん。それより、お腹空いた」

「食欲はあるのね」

「うん。何かある?」

「そうめんくらいかしら」


 夏の残り物か。


「じゃあ、そうめんして」

「自分で作りなさい」

「私、コロナ感染中だし。台所に立つと迷惑でしょ?」


 母は溜め息をつき、


「まったく。仕方ないわね」


 と、台所に向かい、そうめんを湯がき始める。


  ◯


 遅めの昼食後、自室でスマホの電源を点けると友人達からメッセージや電話がたくさん来ていた。


 私はグループチャットで「コロナだった」と送る。


 するとすぐに豆田から返事が来た。


『今まで何してたのよ。返事遅すぎ』

『ごめん。電源切ってて気づかなかった』

『なんで電源切ってたのよ』

『いや、病院にいたからさ』


 院内では通話禁止。だから私は電源を切っていた。


『それ通話でしょ? メッセージくらいは送れたでしょ?』

『そうなの? 電源オフしないとダメなんじゃないの?』


 そこへ種咲からメッセージが送られた。


『普通に待ってる間、ゲームとかしてるよ』

『そうなんだ』

『大学の方も今日から1週間お休みになった』

『それは良かった』

『結構、コロナ感染者多いからね』

『あれ? でも、病院で隔離されたけど、隔離室は私しかいなかった』


 次に美菜からメッセージが届く。


『駅前で無料PCR検査やってるらしいよ。たぶんそれでじゃない?』

『そうなんだ』

『熱とかは?』

『熱はない。鼻詰まりと喉が痛いだけ。あと少し咳き込むから軽症』

『でもそこから悪化するかもしれないから気をつけないといけないよ』

『安静にしとく』


  ◯


 グループチャットの後、美菜から個人からメッセージが届いた。

 なんだと思ったらVのことだった。Vのことはグループでは話せないもんね。


『ヤクモとのコラボどうするの? あれって、スタジオの配信部屋でライブしているんでしょ?』


 ペイベックスVTuber6期生の猫泉ヤクモとはペイベックス公式チャンネルを使って、ホラゲー配信をすることになっている。


 次がホラゲーコラボ最後で、『ワラビアナ』というタイトルのホラゲー。なんでこの作品は長く、私とヤクモこと朝霧さんは泊まり込みですることになっていた。


『うん。さすがに会うことは無理だから、ここで……あっ! うちの配信部屋は佳奈の部屋なんだ。コロナになった佳奈の部屋には入れないや』


 それとヤクモは独りでホラゲーは出来ないという。しかも次は最恐クラスとか。


『なら休むの?』

『どうしよう。配信を延期にできないかな?』

『ペイベックスの公式チャンネルのアカウントを使っているなら無理なんじゃない? あれって、いつ誰が使うか決まっているから』

『う〜ん? どうしたものか? とりあえず朝霧さんに連絡してみるね』

『そうだね。もし代打が必要になったら言ってね』

『代わってくれるの?』

『違うよ。代打のあてがあるだけ』


 そして私は朝霧さんに連絡を入れる。メッセージではなく通話。数コール後、朝霧さんが通話に出た。


「もしもし。今、お電話大丈夫ですか?」

『え、うん。大丈夫だよ。どうしたの?』

「実はコロナに感染致しまして」

『ええ!?』


 朝霧さんが声を大にして驚く。


「も、申し訳ありません」

『今週のコラボどうしよう?』

「延期は……無理ですか?」

『無理だね。公式チャンネル使ってるからね』

「代打はありですか?」

『代打? メメちゃんが? でも、高校生を深夜まで拘束するのは違反のような?』

「メメではなく、美菜……卍が代打のあてがあると言っていたらしく……」

『勝浦先輩が?』

「はい。卍がそう言ってました。誰とは聞いてないんですけど、あてがあるようで」

『分かりました。私の方からも勝浦先輩に聞いてみます』

「はい」

『あっ! そういえば、最近はペーメンの中でもコロナが流行ってるらしいですよ』

「ペーメン内でも?」


 銀羊カロがコロナになったと聞く。佳奈曰く、私はカロにコロナにうつされたのではと。


『つい先程SNSでサラサさん、アメージャさん、メテオさん、ミカゲさんもコロナに感染したと報告していました』


 アメージャさんとメテオさんは知っていたがまさかこんなにペーメン内で感染者がいたとは。


「それは大変ですね」

『ええ。ですので感染には気をつけてないといけません。あっ、マネージャーには相談しました?』

「あっ!? ……まだです」

『駄目ですよ。マネージャーに伝えないと』

「そうですね。この後、お伝えします」

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