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第63話 帰宅

 家に帰るとリビングにいる妹の佳奈から、「どうだった?」と聞かれた。


「どうとは?」


 私は聞き返してソファに座る。


「だから、アメージャ先輩とメテオ先輩に会ったんでしょ? 2人とお話ししてどうだった?」

「良い先輩達だったよ。佳奈も来れば良かったじゃん」

「私だって収録がなければ行きたかったよ」


 佳奈はどこか機嫌悪く答える。


「ん? 収録で何かあったの?」

「……まあね」


 佳奈は今日、収録配信でスタジオに行っていた。


「なになに?」

「今日のスタジオ収録は6期生とのコラボだったの」

「そう……なんだ」


 6期生と聞き、身体が内から引き締まる。


「収録は無事に終わったんだけど、控え室で先輩方がいたのよね。その時、ちょっとピリッとしてさ」

「何かあったの?」


 もしかして口論でもあった? もしくは喧嘩?


「逆。むしろ何もないの。でも、あの空気はきついわ。ガン無視ってわけではないのよ。挨拶とかはあるし。ただ関わりを拒絶するようなさ……」


 そう言って佳奈はソファの背もたれに身を預け、顔を天井に向ける。そして溜め息をつく。


「私も今日、6期生の話を聞いたの」

「え?」


 佳奈が天井から私へと顔を向ける。


「アメージャさんもメテオさんもあれは待つだけだねって」

「待つ……時間が解決ってこと?」

「うん。他にどうすることもできないだって」

「だろうね」


  ◯


 私は自室に入って、星空みはり先輩にメッセージを送る。内容は今の6期生の件について。

 すると10分も経たないうちに返信が届いた。


『どうしたの? 6期生についてなんて聞いてくるなんて』

『いえ、6期生が今、立場上窮屈らしくて。なんとかならないかなって』

『ん? オルタは関係なくない?』


 この文面は怒っているのだろうか。6期生の問題を口に出すなと。


『えっと、今、猫泉ヤクモとコラボをしていまして、それで……6期生が大変だと聞いて』

『オルタは普通に接していれば良いんじゃない?』

『普通にですか?』

『うん。オルタは正式なVTuberじゃないんだから気にせず、ヤクモとコラボをしなよ』


 正式なVtuberじゃない……その言い方は突き放された感がある。

 お前は関係ない。関わるなと。


『解決案はないんでしょうか?』

『知らない』


 即答された。


『そうですか。何かすみませんでした』


 これで終わりかと思ったら、星空みはり先輩から返信メッセージを受けた。


『ただ何もないわけではないかな?』

『それはなんですか?』

『コラボしよう。そしたら教えてあげる』


(コラボ……なぜ?)


『分かりました。なんというゲームですか?』

『ザ・ポリスというゲームだよ。街にいる悪者を倒すっていうゲーム。前にメメちゃんもやってたから、詳しくは聞いてみるといいよ。なんだったら、メメちゃんも参加可だよ』


  ◯


「……と、いうことでコラボすることにした」


 佳奈の部屋で私は先程の星空みはり先輩とのやりとりを佳奈に教えた。


「何が『と、いうこと』なのよ。勝手に星空みはり先輩に相談してさ」


 そう言って佳奈は頭を抱える。


「そんなにダメ?」

「まず星空みはり先輩に相談したのが間違い。あの件で1番デマを流された人だよ」

「でも、それって大学の件を除いて、他は誰でもすぐに気づくデマだったんでしょ?」


 それに星空みはり先輩自身はデマの件をあまり気にしていないらしい。その証拠に否定も弁明もせずにスルーしていたとか。


「それでもよ!」


 そして佳奈は大きく溜め息をつき、


「うーん? コラボしようと言ってきてるってことは怒ってないっぽいけど」

「メメも参加してもいいよって言ってたよ」

「パソコン2台必要。だから私は無理」

「そっか。よし。頑張って、解決案を引き出すよ」

「あんまり張り切りすぎないようにね」

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