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第62話 関係性⑤

「ねえ? どんなゲームが好き?」


 二階堂さんが私に尋ねてきた。


「ん〜? ハリオとかパズルゲームですかね?」

「ハリオというとやはりハリオカート? この前の大会すごかったよね」


 二階堂さんのいう大会とはペイベックスVTuber上半期大型コラボイベントのこと。そこでハリカー大会があり、一悶着あり、少し騒ぎになった。


「いえ、そんな結局は星空みはり先輩が優勝しましたし。私は途中で酔ってしまって活躍は出来ませんでした」

「いやいや、イニシャルカーブだっけ? すごかったよ」

「ありがとうございます。ええと、ハリカーも好きですけど、普通にアクションゲームも好きです」

「なるほどね」

「二階堂さんはどういうゲームが?」

「私も同じくアクションゲームかな?」

「そうなんですか」

「違うよ。こいつが好きなのは宮下さんが考えているアクションゲームじゃないから」


 藤村さんが忠告してきた。


「え?」

「前にアニマルアベンジャーズというゲームやったでしょ? ああいう暴走ギャング系が好きなのよ」

「ええ!?」


 お綺麗な人だから上品なパズル系や教養系が好きなのかと思いきや、暴走ギャング系。


「そ、そんなことないよ」

「一回こいつの配信見てみな。やばいからね。まじでサイコパスだから」

「サ、サイコパス?」

「違うよ。あれは演技だからね」


 二階堂さんは慌てて弁明する。

 演技でもサイコパスをやっていたのか。

 一度、星空メテオ先輩の動画を見てみよう。


  ◯


「そういえば今、6期生の猫泉ヤクモと公式チャンネル内でホラゲー回みたいなのやっているんでしょ?」


 と、二階堂さんがヤクモとのコラボについて聞いてきた。


「はい。次でラストです」

「次は『ワラビアナ』だっけ。あれすごく長いらしいよ」

「泊まり込みでやる予定なんです。二階堂さんはやったことあるんですか?」

「ないない。私、ホラゲーは苦手」

「藤村さんは?」

「私も苦手。リリィや卍とかはホラゲー好きだよ」

「卍もですか?」


 これは意外だった。


「うん。卍、曰く『人間関係の方がホラーだ』とか」

「あー。人見知りの卍なら言いそうですね」

「あれ? 卍とも知り合いなの?」

「はい。同じ大学で」

「宮下さんはリアルJDなんだ。くっ、眩しい」


 二階堂さんは眩しそうに顔の前に両手を出す。


「いや、二階堂さんもそんなに歳離れてませんよ。それに美人じゃないですか」

「いい子だ。何か買ってあげたい気分だ」

「私、新しいマイク欲しいな」


 と、藤村さんが答える。


「どさくさにまぎれて要求しないでください」

「アハハッ」

「ホラゲーをプレゼントしますよー」

「やめろよー」

「プレゼントしたら配信してくださいね」

「しないし。絶対やらない」

「お二人でホラゲーするとかは?」

「「それでも嫌っ!」」


 2人はハマってまでホラゲー配信を拒否する。

 そんなに苦手なんだ。


「しかし、ヤクモもホラゲー苦手だったけど、よく毎週ホラゲーなんてやるよね」

「そりゃあ、色々あったからじゃない? 今が頑張りどきでしょ?」

「えーと、色々とはあのネットでのデマですか?」


 藤村さんは少し戸惑うも口を開く。


「初めはね、音切コロンのデマだったんだけど、そこから色々なものがあれやこれやとネットに流れてね」

「全部デマなんでしょ?」

「ところがどっこいなの」


 そこで二階堂さんが人差し指を立てて言う。


「実は一部事実があってさ」

「事実?」

「そう。だから大変。一つ事実があれば、他人はあれもこれも本当なのではと信じちゃうの。さらに特定班が動いてさ。前に星空みはりの大学のデマが流れたときは凄かったよ」

「星空先輩って、大学生なんですか?」

「そうよ。で、ネットで挙がったその大学は関係ないんだけど、特定班がねちっこく捜索してさ、関係ない人を巻き込んじゃったの」

「ひどかったよね」


 藤村さんも隣でうんうんと頷く。


「大変だったんですね」

「そりゃあ、ペーメン内では右に左にとあれこれ大変だったんだよ。宮下さんは知らない?」

「私はその時、明日空ルナさんの件で」


 6期生の件はつい最近知った程度。


「あー。そっちもあったね。そりゃあ知らないか。リークしたのが元6期生ということもあって現6期生達は大変なのよ」

「なんとかならないんですかね?」

「こればっかは時間じゃない?」

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