第11話 昔のこと【???】
大人になると子供の頃には分からなかった大人の事情というものを理解し始める。
いや、事情というものがあったということを知り、理解する。
あの時の大人のセリフ。
あの時の大人の行動。
あの時の一連の出来事とその結末。
今思うとそれはとても危ないことだった。
でも大人達の対応により最悪は回避された。
あの時は子供の私は知らなかった。
意味も分からなかった。
ただ、大人がそうだということには頷くだけだった。
頷いて、蓋をする。
子供には常に新しいことがたくさんある。
だから、それに目を向ければいい。
いや、誘導されたというべきだろう。
でも誘導されても、あの記憶は消えることなく奥に残り続ける。
そしてふと思い出すのだ。
きっかけは色々。
テレビ、友人との会話、親戚と会った時、部屋の掃除で昔の物を見つけた時と様々。
私が思い出したきっかけはVtuberになった時だ。
Vtuberといえばゲーム実況。
そして自分にとってのゲーム経験は如何にと考える。
その瞬間に頭の中を電流が流れ、過去を思い出し、そして大人達の会話、行動、対応が新たな形で思い出される。
「そうだったのか」
あの子はもうゲームをしなくなった。
大人達に私と同じように誘導されたから。
なら、私はどうすべきか。
教えずにいるべきか。
何も知らないなら、それに越したことはない。
けれどある日、あの子がゲームを始めた。
大丈夫だろうか?
昔を思い出したのか?
それともまだ何も知らず、ただゲームを始めたのか?
確認しよう。
もしあの子がまたゲームを始めたのなら、またハリカーで勝負したいな。