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36.反王家!?重罪ではないですか!!

「私たちのやり取りのことはいったん置いておいて、だ。話を最初に戻そう」

『最初に、ですか?』

「あぁ。前提そのものから違うかもしれない、と。そう言っただろう?」


 そう言われますと、確かにそういったお話でしたわね。すっかり忘れていましたわ。


「私たちは今まで、アプリストス侯爵が主犯だと考えていた」

『それが別に黒幕がいるかもしれない、と。そういうことですわね』

「そうだ。だがそこまでで終わっているのではなく、さらにその先を考えてみる必要があったんだ」

『さらにその先、ですか?』


 それはアプリストス侯爵が全権を握りたいと思っているのとは別に、黒幕がその地位につきたいと思っているということではなく?


「そもそもにして、目的がアプリストス侯爵と同じなのであれば彼を含め、第二王妃陣営を追い落とすだけでいいはずだ」

『確かに、そうですわね』

「それなのに一番邪魔になるはずの彼らを、むしろ利用している可能性が高い。つまり、黒幕にとっても私が邪魔だということだ」

『……?ですがそれでは、フォンセ様を王位につけることと同義では?』

「そこだ。裏で操りやすい性格とはいえ、アプリストス侯爵ほどの力は誰も持てない。それならば、何が目的なのか、だ」


 甘い蜜を吸いたい貴族は数多おりましたけれども、そういうことではないのですよね?

 けれどフォンセ様を王位につけてしまえば、黒幕の人物は全権を握るのが難しくなるのではないでしょうか?

 そもそも甘い蜜が吸いたいだけならば、わざわざあのような会合を開く必要もありませんもの。


『……あら?確かに変ですわね』


 頑なに自らの手は汚さないように、誰にも悟られないように動いているはずの人物。おそらくはあの、金仮面の君がそうなのでしょう。

 けれどだとすれば、何が目的なのか。


「第一そこまで考えられる人物なのであれば、フォンセが王位に就いた時点で国が崩壊する可能性が高いことにも気付いているはずだ」

『贅沢が過ぎますものね。あれでは民はついてきませんわ』


 おそらくは、税を重くして贅の限りを尽くすのでしょう。

 そうして最後には、民に見放されるか反旗を翻されるか。もしくは、先に民が力尽きてしまうか。


「だが、それこそが狙いなのだとすれば?」

『まさか、国の崩壊を狙っているというのですか?』

「そこまで行かずとも、だ。例えば反王家派なのだとすれば?」

『反王家!?重罪ではないですか!!』


 そもそもこの国は王国ですわ!王国とは、王が治める国のこと。

 であるにもかかわらず、反王家ということは。つまり国の在り方そのものに反対し、今ある国の形を変えてしまおうと考えているということに他なりませんもの。


「そうだ、重罪だ。だが現実はそれに近いとは思わないか?このままでは、民の不満は王家へと向くだろう」

『ジェロシーア様もフォンセ様も、執務を放棄して遊び惚けておられますものね』

「そしてその未来を実現するためには、第一王子である私が邪魔だ、と。そう考えれば一応の辻褄は合う」


 まだまだ疑問は残りますが、確かに現状では一番答えに近い気がしますわね。

 一見飛躍しすぎているように思いますけれど、確かに自らの手を汚さず全てを排除する方法としては納得しますもの。


「トリアが見た会合のトップがアプリストス侯爵ではなかった以上、黒幕がいるという予想は当たっていたことになる」

『アプリストス侯爵は、目立ちたがり屋さんですの?』

「既に王妃がいる国王相手に、自分の娘を嫁がせるような人物だ。そんな場所で自分以外が仕切ることを許すような性格ではないさ」


 まるで当然とでも言いたげに、リヒト様は肩を竦めておられますけれど。

 なるほど。つまり、今後やるべきことは。


『わたくしは、黒幕になりそうな人物を特定いたしますわ!』

「いや、うん。それは私たちというか、むしろカーマの仕事なんだがな?」

『カーマ様では暴けない場所でも、わたくしならば問題ありませんもの!』

「あぁ、うん。そうなんだけど、な。そうなんだけども……」


 まぁまぁ!もしかしてリヒト様、まだわたくしのことを信じて下さらないのですか!?


『見ていてくださいませね、リヒト様!言い逃れ出来ないような証拠を、見つけてきてみせますわ!!』

「それは……カーマが特定した後でも、いいんじゃないか?」


 カーマ様は他にお仕事があるではありませんか!

 ここは別段お仕事のない、ふわふわと浮いているだけのわたくしにお任せ下さいませ!!



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