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18.怪しい人物、発見!

「し、失礼いたしました!ですが、急ぎジェロシーア様にお伝えするようにとフォンセ様から……」

「まぁ!あたくしよりも息子の方が優先されるとでも言いたいのかしら?」

「け、決してそのようなことは!!」

「それならこのパーティーが終わるまで待っていなさい。特別に好きなものを口にすることを許すわ」

「は、はい!ありがとうございます!」


 あらあらまぁまぁ。子が子なら親も親ですのね。本当に、そっくりですわ。自分勝手なところが。

 けれどあの男性からすれば、ある意味助かったのかもしれませんわね。


『それにしても……リヒト様が一人執務室に籠られている間に、弟は執務を放棄、義母はパーティーですか』


 なんとまぁ、酷い母子なのでしょう。

 国王様と第一王妃であるリヒト様のお母様には、まだお会いしたことがありませんけれど。そちらはまともな方がただと信じたいですわ。


『この国、本当に大丈夫なのかしら?』


 これではリヒト様でなくとも、心配になるというもの。

 本当に……


「本当に、第一王子を消せばこの状態を続けられるのか?」


 ……おや?ここでもまた、リヒト様の話題でしょうか?

 といいますか、本日何度目なのでしょう。この会話。


「フォンセ様なら、ご自分の好きなことは全て許容して下さるだろ?」

「だからこそ次の国王に、か。だが執務は誰にやらせる気だ?」

「第一王子を表舞台から消せばいいだけだろう?どこかに監禁でもして、執務はそちらに全て押し付ければいい」


 声のしている方へ歩み……あ、いえ。浮き寄れば。

 怪しい人物、発見!


『いえむしろ、監禁とはどういうおつもりですか!監禁とは!!』


 リヒト様を監禁して、執務だけをさせようということですか!?

 確かに命は奪われておりませんが、それはリヒト様の幸せを全て奪う行為に他ならないではありませんか!!

 第一フォンセ様が国王になってしまえば、この国はどうなるというのです!!


「だがそれをジェロシーア様が許してくださるのかどうか……」

「フォンセ様も、自分が第一王子でなかったことを恨んでおられるではないか」

「とはいえ、他に手はあるか?優秀さは第一王子の方が上なのは確かだろう?」

「フォンセ様は執務をなさらないだけだ。優秀さにおいてどちらが上なのかは、今の段階では分からない」

「むしろ他者を働かせて自分は働かないなど、フォンセ様の方が王族として優秀ではないか!」

「ハハハ!確かにそうだな!」


 楽しそうな笑いが起きていらっしゃいますけれど。皆さん、お酒を召されておいでですね?顔が少し赤くなっておりますよ?

 そうなるほど、どれだけ飲まれているのか。いえむしろ、このガーデンパーティーは一体いつから開かれているのか。

 しかもこれだけ大きな声でお話しされているにもかかわらず、周りも気にしていないのが異様ですわね。


『甘い汁を吸う貴族ばかりが集まっている、と。そういうことなのかしら?』


 さながら虫たちの集まりね。あの子たちも、花の蜜や樹液のような甘い汁が大好きだから。

 でも虫たちの方がよっぽど役に立ちますわね。あの子たちのおかげで、果実は実をつけるのですから。


『リヒト様が王になられるべきという意見には、大いに賛成いたしますわ』


 このままではいずれ、そう遠くない将来この国は腐り落ちてしまう。

 いえむしろ、今既に落ちようとしているのかもしれませんわね。


『民の暮らしは、どうなっているのでしょうか……』


 王族や貴族がこんなにも贅沢な暮らしを続けていては、民は搾取される一方なのでは?

 そうなれば……。


『自分たちも生きてはいけないのだと、なぜ気付かないのでしょうね。彼らは』


 これは早急に優秀な人材を集めて、リヒト様が彼らを追い出さなければ。

 この国に、未来はありませんわね。



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