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15.まずは敵を知ることから、ですわね!

「君は……幽霊だから、眠くならないのか?」

『さぁ?どうでしょうか?』

「は?」

『わたくし、先ほど自分が幽霊になったことに気づいたばかりですもの。まだ夜を迎えたことは一度もありませんわ』

「じゃあどうして言い切れた!?なぁ!?どうして見張っているなんて言い切れたんだ!?」

『眠くなるのなら、昼間に寝てしまえばいいのです!!なので今日の夜からは起きていますわ!!』

「逆に心配になる!!」


 まぁ、酷いですわ。

 ただあちらこちらを見て回りましたけれど、今のところ疲れは一切感じていませんもの。きっと何とかなりますわ。


『それよりも!ご兄弟に毒入りのチョコレートをお渡ししてしまって、よろしかったのですか?』

「あぁ、それは問題ない。元々第二王子派の誰かが仕組んだことだろうからな。今回フォンセは関わっていなかった上に、詳細を伝えていなかったんだろう。今頃真実を知って驚いているんじゃないか?」


 もしくは悔しがっているかもな。なんて。

 そう仰るリヒト様は、どこか人が悪そうな笑みを浮かべておいでですけれど。


『……どうして、ご兄弟同士でそのようなことをなさっているのですか?』

「別に私は何もしていないぞ。誤解を生むような発言はやめてくれ」

『あら、そうなんですの?では一方的に、リヒト様はご兄弟から命を狙われている、と?』

「兄弟と、その母親から、だな。理由なんて、私が第一王妃の息子であり、第一王子だからというだけで十分だろう?」


 つまり。

 どうしても王位が欲しい腹違いの弟と、どうしても息子を国王にしたい母親が。

 リヒト様を亡き者にして、王位継承権第一位に躍り出ようということなのでしょうね。


「父上には私とフォンセしか子がいないからな。私が消えれば、当然跡を継ぐのはフォンセただ一人だ」

『けれど、それにしては余りにも……』


 第一王子であるはずのリヒト様の権力が、なさすぎる気がするのです。

 そもそもどうしてカーマ様が、愚か者であるかのように振舞わなくてはならないのか。そしてどうしてこんなにも、人手が少ないのか。

 疑問に思わない方がおかしいほどの、強すぎる違和感。


「この国は、余りにも腐敗が進み過ぎている。父上が国王になったのも、ご兄弟である兄上方を次々と亡くされたからだ」

『それは……』

「父上の意思ではない。父上を王位に据えて、傀儡(かいらい)にしようと目論んだ貴族たちの仕業だ」

『なんて酷いことを……』


 つまり陛下は、大切な家族を貴族たちの身勝手な欲望によって奪われてしまわれたのだと。

 そうして出来上がった今、今度はリヒト様の存在が邪魔になった、と。そういうことなのでしょうね。

 そして今のお話から推測するに、おそらく首謀者は……。


『ご兄弟のお母様の、そのさらにお父様が怪しいのですね』

「その通りだ。というかむしろ、今の状況を先導しているのがそいつだな」


 これでようやく全ての実権を握れると思った矢先に、自分の娘よりも先に第一王妃が王子を産んでしまった。だから邪魔になった。そんなところなのでしょう。


『これは……先ほどの方を追いかけてみる必要がありそうですわね』

「……何を考えているのか、一応聞いてもいいか?」

『当然です。ずばり、敵情視察!ですわ!』


 まずは敵を知ることから、ですわね!

 知らなければ対策の立てようもありませんし、弱みも握れませんもの!


「いや、別にそんなものは必要――」

『わたくし、見失わない内に追いかけてきますわね!』

「あ!おい!!」


 これでようやくリヒト様のお役に立てそうですわ!!

 張り切って、ごー!!なのですわ!!



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