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初めての誕生日 ~重大発見~(後編)

 



自分の写真を特等席で見るという苦行に耐えかねてきた頃。


 ふと気が付いたの。




(あれ? スクリーンがない?)




 写真はスクリーンに映し出されているものだと思ってたけど、そうではないらしい。


 よく見れば、所謂プロジェクターのような装置も見当たらない。




(まさかの5Gかしら……?)




 ここは案外ハイテクな世界なのかもしれない。5Gで何ができるのかは知らないけれど。


 水洗トイレやお子様ランチもあるし、、まあ、なきにしもあらずよね。






 ああやっと終わった。次はダンスのようね。よかったわ。




 最初の曲を踊ったパパママと、殿様夫婦が戻ってきた。ナニーたちと交代するみたい。


 早速ダンスの輪に加わって楽しそう。私もその内練習が始まるのかしら。




「お。慶瑚は完食か!偉いぞ」




 お殿様に頭を撫でられた弟君は、とっても嬉しそうにはにかんでいる。


 今日初めて彼の笑顔を見た気がするわ。




 よく見ると二人はそっくり。艶やかなな黒髪に、濃紺の瞳。


 お殿様のはっきりした目元はママと少し似ている。




「母様!たった美味しかったから分けてあげる!」


「もう梨瑚ったら。そんな方法どこで覚えてくるの?」




 お姉ちゃんは大奥風美女にグリンピースやら人参やらを食べてもらっている。


 お礼のためかしら?()()()()()()ハンバーグも残しておいたらしい。やり手ね。




 こちらの二人は栗皮色の髪と黒っぽい瞳。お母堂の方がやや明るいかしら。


 涼し気なたれ目も相まってとても柔らかい雰囲気。


 子どもたちはどちらもくりくりお目目だけど、弟君のたれ目は母親譲りのようね。




 私も残っていたバナナをママにおすそ分けしたら、パパが悲しそうな顔をしたから、代わりにハグしてあげたわ。




「ヴィオラは随分しっかりしているようだ」


「そうなの。何も教えなくてもあっという間に大人になりそうだわ」


「叔母上や他の皆も会いたがっていた」


「私も会わせてあげたいわ。いつかヴィオラを連れて萬智還に行かなくちゃね」


「それにしても、オスカーの再現魔法は見事だった。いっそ連れて帰りたい」


「光栄だね。琳佳と出会うまで使い道はほとんどなかったけど、習得しておいて本当によかったよ」


「兄様は原始魔法専門だものね」


「今日は妻がオスカーの魔法を見ていたから、帰ったら王族総出の鑑賞会ができる」


杏胡(きょうこ)ちゃんは受伝魔法だったわね」


「ええ。範囲は狭いのだけど」


「そうだわ、みんなで集合して瞬間画を記録してもらいましょうよ」


「だったらジョイを呼んで来よう。ついでに両親も」


「まあ!再現魔法の使い手が他にも居るの?」


「しかもまだ若いのよ。才能があるのだからって進学を勧めたのだけど、勉強したくないからってうちでフットマンをしてくれているわ――――」






 大人たちが何やら談笑している間、リコと仲良くなったわ!リコは姉弟の姉の方よ。


 まだうまく言えないけど、しっかり覚えたわ。




 リコはお世話好きのお姉さん。


 私の口を拭ってくれたり、お人形を見せてくれたり、色々話しかけたりしてくれるの!


 訛りがすごいけど、そこもチャーミングよ。




 弟の方はケーゴ。


 初めは顔が強張っていたけど、徐々に笑顔を見せてくれるようになったの。可愛すぎるわ。


 時々リコに話しかけているイントネーションに違和感があるから、最初のご挨拶は練習してきてくれたのかもしれないわね。


 おめでとうの部分でしか判断できていないけれど。




 自分より小さな赤ちゃんに興味津々だけど、人見知りで絡めない感が伝わってくるから、こちらからニコってしたり、手を伸ばしてみたりして距離を縮める作戦を実行しているわ。


 決して子供特有の可愛い反応を愛でたいからではないのよ。








「では皆様準備はよろしいですか」




 集合写真でも撮るのかしら。


 また舞台の上に、今度はリコ達家族やじぃじばぁばも一所に上がって並んだ。


 正面では見覚えのある使用人が何やら指示を出していて、他の参加者たちはこちらに視線を向けている。




 大勢に注目される中での写真撮影なんて少し恥ずかしいけれど、今の私は赤子だから何もわからないわ。ええ。


 せめて後で見返すときのためにキメ顔でいなくちゃね!






 私がイメージトレーニングをしていると




「では皆さまいきますよ~!ハイ3・2・1」




 と何ともゆるい声がかかった。




 反射でキメ顔はうまくできたと思うけれど待って。


 カメラがどこにもない。




 若い使用人は子供()たちの気を引くためにか顔の横で手をひらひらさせているだけで、何も持っていない。


 彼の周りには参加者たちがニコニコしながらこちらを見守っているけれど、他にカメラマンらしき人も見当たらない。


 え。終わったの?


 カメラなんて「スマートなphone」に搭載されているものしか使ったことはないけれど、箱とレンズは少なくとも必要よね?






 私が1人混乱している中ステージ上の人間はわらわらと降りて行き、再び何もない空間に目を向けている。


 すると――――




 画像が浮かんだ。




 ステージ上、何もない筈の宙に先程の光景と思しき写真(?)が映る。


 おおお。と軽いどよめきが起き、使用人が口々に褒められている様子である。




 リコのご母堂がなにやら彼をジッと見つめた後、お殿様と共に握手を交わしている。




「いやあ!実に素晴らしい!流石公爵家だ!」


「恐縮でございます」


「そうだろう。彼は独学でここまで習得したんだけど、彼の父が家に仕えてくれていてラッキーだったよ。本人はその才を活かすつもりがなかったようだから」




 パパとお殿様の会話に耳を澄ませていると




「魔法は使えても、魔法使いとして登録するには座学が必要になりますから……」




 まほう!!!魔法って言った!!




 顔を真っ赤にしてはにかむ使用人と笑う周囲の会話内容はわからない。


 けれど魔法という単語だけはしっかりと理解できた。というか今日何度か聞いた気もする。


 目の前で起きた不思議現象とその単語がリンクしてまた一つ新たな設定を理解した。






 この世界って魔法があるの!?






 驚愕と同時に少しワクワクする反面思う。




 所謂ファンタジー御用達の魔法とはタイプが違う気がするのだけれど、ちゃんとシステムまで考えてるのかしらあのウサギ????


どうやら魔法が使える世界のようです。



※たった→とっても・すごく(梨瑚の台詞「たった美味しかった」より)








というわけで半年以上期間が空いてしまいました。ええ。


更新がない間もお読みくださっていた皆様、大変申し訳ございません。


ここ数か月のアクセス解析を見て驚きました。


「更新されない可能性があります」認定されていたのに読んでくださった方々の存在にとても励まされました。ありがとうございます。






~以下スーパー言い訳タイム~




ギリギリまで卒論が終わらず、就活も後回しにしていた所為で結局就職した会社が潰れるまで放置してしまいました。。。


トレローニー先生の予言は見事外れましたね。悪い方向に。(開き直るな)




社会人舐めてました。休みなんて存在しないのですね。


ですがこれで心置きなくヴィオラの人生を進めることができます。多分。いえ進めます(そして終わらせます)。




しかも前編を投稿して後編まで一区切りついたところでストップしていたと思っていたものがまさかの続き待ち状態で終わっていたとは……!




作者も後編に何を書いていたのかなんとなくしか覚えておらず慌ててプロローグから読み返しました。


皆様もぜひ読み返してあげてください汗




しばらくずいずいと更新していくつもりでございますのでどうか生暖かい目でお許しくださいませ、、、!




お待ちくださったみなさまも、忘れていたみなさまも、ご新規でなんのこっちゃというみなさまも、


お読みいただいて本当にありがとうございます。


気合を入れて精進いたします。。。

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