異世界なう
異世界なう。
目が覚めたら、異世界の住人になっていた。
寝る前までは確かに俺は悟志だったのだが、起きたらニトルという名前の別人になっていた。
ニトルって。なんだそのキラキラネームはと思ったが、ここでは悟志のほうがキラキラネームになるのだろうか?
恐るべし、異世界。
夕食のとき、家族に打ち明けてみた。家族といっても親父は出稼ぎ中ということで、母とリアちゃんという妹だけだ。
俺の話を聞き終えた母は一言。
「いいから、黙ってご飯食べてちょうだい」
まったく信じていなかった。
信じないなら、話し始めたところで止めて欲しい。身振り手振りで十分間も説明した労力をどうしてくれる。
食事後に自分(正確にはニトル)の部屋で項垂れていると、リアちゃんがやって来た。なんと、リアちゃんは俺の話を信じたらしい。
「日本ってどんな所?」
キラキラした目で尋ねられ、俺のテンションは爆上がりした。日本代表として、良さを伝えなければ。日本の良さといえばこれを置いて他にあるまい。そう「四季」だ。
いつになく饒舌な俺だったが、夏とは何かを話している途中でリアちゃんは部屋を出ていってしまった。
俺はまた一人になった。
やることもないので今日は寝ることにする。
明日は学校に行かなければならないらしい。
思いつきで作りました。
0.001ミリでも楽しんでもらえたなら嬉しいです。