始まりの始まり
「はい、じゃあ絵しりとりの『り』から!!」
5人いる教室の中で石村香帆の声が響いた。
教室にはきれいに並べられた会議机、パイプ椅子、そしてその前方には大きなホワイトボードが置かれていた。
そのホワイトボードボードの左上にはりんごらしき絵が描かれていた。
「次は佐々木くんね!!」
スポーツ万能、アイドル顔の佐々木拓馬がホワイトボードへ向かうと、誰が見てもゴリラだと言う完璧なゴリラのイラストを書いた。
「次、お前だよ。」
佐々木は俺にそう伝え自分の元いた席へ戻った。
そして、俺はホワイトボードへ向かいラッパを書いた。
誰が見てもラッパ……いや、蛇だな。
俺の絵は超が付くほど下手くそだった。
『これはわかんねぇよ』『何これーーー!』
…「『ら』から始まる蛇みたいなやつって1つしかないだろ。」
そう言い俺は席に戻った。
「じゃあ次は菜月ちゃんね!」
「…え?」
香帆が菜月を指名すると、菜月は戸惑った表情を見せた。
菜月はアイドルとしての仕事もあり、あまり高校に来ておらず、皆と話すのはこれが初めてだった。
「この教室にいる全員が参加者だからね!」
香帆がそう言うと、菜月は渋々ホワイトボードへ向かった。
菜月が描き終えると全員がホワイトボードをまじまじと見た。
『ぱ』から始まる物…
本当に分からない。これかもと思うものすら思いつかない。
教室にいる全員が真剣に考えた。
「えーっと…じゃあ次は詩織ちゃんね!」
ここで詩織の負けが決まった。
菜月は超が付く俺よりも絵がクソ下手くそだった。
帰る間際、香帆が菜月と話していた。
「明日も学校に来るの?」
香帆が菜月に聞いた。
確か…明日は校外学習だったような…
「行くよ!」
菜月は笑顔で答えた。
「高校のグループラインに誘いたいからLINE教えてよ!」
香帆は菜月とLINEを交換していた。
「これからよろしくね!菜月ちゃん!!」
香帆はそう言って教室を出ていった。
その日の内に菜月は高校のグループラインに参加し、俺も菜月のLINEを追加した。