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プロローグ
「あそこのマンションで自殺があったんだってぇ」
今風女子の声が耳に入る。
自殺、一体どれほどの人が自ら命を絶つことを本気で考え、何を思って死んでいくのか。
「えーー、やだぁ」
食い気味に反応する相方女子の声まで聞こえてきた。
「自殺か…」
1人小声でつぶやく。
人の死に方にあれこれ言いたくはないが、はたして死んで終わりなのだろうか、残された人や家族はどう過ごしていくのだろうか。
しかし、このストレス社会の日本において自殺は避けようのない一種の事故なのだろう。
そう心に言い聞かせ、俺はその場を後にした。