救出作戦
最近続きの捻出にちょっと時間がかかるようになってきたので投稿間隔が1週間に1回ほどになりますが気長に待っていただけるとありがたいです。
コメント、評価を頂ければ創作の励みになります。よろしくお願いいたします。
作戦実行から5分後、施設入り口
隆盛と秀明は施設の手前20mまでやってきたがやはり入り口には2人の警備がいた為、咄嗟に近くの物陰に隠れた。
この世界で男性兵士は珍しいのだ。一般兵に紛れ込むなんて事は出来ない。
「やっぱり、厳重っスね」
辺りを見回しながら隆盛は静かに話しかけた。
「そうだな、こりゃあ絶対何かあんだろうな」
入り口を見張っていた秀明は兵士達の動きを細かく見ていた。彼女達はある一定のタイミングで辺りを動き回っていたり、中から――交代なのだろうか――少女が飲み物を持って出てきたりしていた。
「1、2、3……タカ、30秒後に突っ走って2人を銃床で叩くぞ」
「了解っス」
そう言って秀明は腕時計の秒針を読み始めた。
「……27、28、29、今だ!」
2人は一斉に走り出し、どうせ敵なんか来ないと思って適当に監視をしているふりをしていた門番は後ろからの衝撃に驚く間もなく気絶した。
「ふぅ、何とかなったな」
「そうっスね」
そう言いながら2人は門番を物陰に隠し、中にいる交代をどう処理するか考えていた。
「どうするんスか?後1人っスけど」
「俺に考えがある。タカ、ここで見張っていてくれ」
「了解っス」
そう言うと秀明は入り口から普通に入っていった。
数分後、秀明がドアの中から手招きしたので隆盛が入って行くと、
「どうしたんスか、これ」
息を荒くして座っている少女がいた。さっきの交代だ。
「まぁ、なんだ、あれだよあれ、鳥海には教えちゃ不味いやつだ」
バツが悪そうに話す秀明を見て隆盛は察した。
「姐さんに殺されるやつっスね」
言われてからそのことに気づいた秀明は少し動揺しながら移動しようと声をかけた。
「あ、ああ、そうだな、行こうか」
気づかなかったのかと思いながら隆盛は続いた。
「そうっスね」
だいぶ居た堪れない気分になった2人はそそくさと中に入っていった――
作戦実行から10分後、捕虜収容区間内
敵を警戒しながらここまでやってきた鳥海と榛名だが、誰にも会わずに辿り着く事ができた。
「1、2、3、4、5人いるね」
榛名が人質を数えながら言った。
「5人なら大丈夫だろう。檻から出したいが、ここで拳銃を撃つ訳にもいかないよな。撃ったら絶対敵来るし」
檻を開けるのを面倒くさがりながら近付くと、水色の何かが鳥海目掛けてすっ飛んできた。
榛名が慌てて銃口を向けた先には……
「やっほーカイちん、久しぶりだねぇ!元気だった?ねえねえもしかしてボクを助けに来てくれたの!?嬉しいなぁ!あ、ハルちんも久しぶり!元気だった?ハルちんもボクを助けに来てくれたんだ!ありがと!」
いきなり突っ込んで来たうえ高速でしゃべりだしたのは『長門吹雪』その人だった。身長は弥生よりかは高いが榛名より低い。水色の長い髪で一部が跳ねて猫耳のようになっていて、目は山吹色をしている。
この猫のような少女はアルファ小隊の遊撃担当だ。
鳥海は驚きと戸惑いで動けなくなり、榛名は吹雪の登場に驚きつつも仲間の心配をした。
「吹雪ちゃん大丈夫!?怪我してない?酷い目に遭わされたりされてない!?」
「だいじょうぶ!」
吹雪を心配したが目立った外傷はなく、むしろ元気そのものだった。
数十秒後、やっとまともに思考をし始めた鳥海はまず吹雪の両肩を掴んで向かい合った。
いきなり肩を掴まれて吹雪の猫耳が一瞬跳ねたが、鳥海を見ると
「どうしたのカイちんいきなり?ボクと会えたのがそんなに嬉しい?」
彼は深く頭を下げ、
「ごめん……」
ただ一言、そう言った。それしか言葉が出なかった。
「大丈夫だよ、ボクを誰だと思ってるんだい?アルファ小隊の仲間だよ。ボクが簡単にやられる訳ないじゃん。能力もあるんだし」
吹雪の能力は『相手を欺く』ものだ。対象にされた相手は幻覚を見る事になる。そうやって味方だと思わせたんだろう。
慰めのつもりで言った筈が鳥海はかえって責任を感じてしまい、
「本当にごめん……ごめんな、ごめんな」
と生きている感触を確かめるように強く抱きしめた。――吹雪は結構痛そうだったが――
暫くの間嬉しそうに抱きしめられていた吹雪だが、不意に背筋が凍るような視線を感じて、
「い、いいよいいよ、それにほら、カイちんが抱き着くのはボクじゃなくてハルちんでしょ?ほら、だから大丈夫だよ。それより、武器くれない?あの時武器壊しちゃって丸腰なんだよね」
榛名が赤面しながら焦っているが、落ち着きを取り戻した鳥海は、
「あ、ああ、分かった」
そう言って吹雪に狙撃銃と拳銃を渡した。
「ありがとう!それじゃあボクは狙撃ポイントを探してくるよ」
「頼んだ」
そう言い残して吹雪はどこかに行ってしまった。
「あ、ああ、あああの、あの、あのね、カイくん」
榛名が赤面しながら近づいてきた。
「どうした?ハル」
「あの、だ、だ、抱き着きたかったら、いつでも言ってね!?」
最後の方が上擦って変な声になってしまった。
「ああ、その時はお願いするよ。さっきは取り乱して悪かったな。さて、仕事をしよう」
「う、うん、そうだねっ」
そうして2人は檻を一つずつ開けては人質を救出していった。




