異変の終息
二週間も開けてしまって申し訳ありませんが、特にこの時期忙しいので許してください来週はちゃんと投稿しますから。
というより、いつになったら第一章の再編集が終わるのだろうか……
「同志、どうやってここに!」
突然、残骸の現れた赤の銀華に全員が驚く。しかし前衛にいたほとんどの兵士はどうしてここに来れたのかというものより彼女の持っている拳銃に注目していた。
「その銃は、マスターの」
ミアが恐る恐る聞く。彼が、いや、軍人が自らの最後の砦である拳銃を手放したということが何を意味しているのか彼女は考えたくはなかった。
しかし、ローザはそんな彼女の考えを払拭するように大きく頷いた。
「彼から、託されました」
「託された、と言いますと」
「彼はこの先で相当の重症を負っています。私の妹が手当てをしていますが……現状では満足に動くことも出来ません」
「またアイツ無茶しやがったのかよ。まったく……部隊長の自覚を持ってくれ……」
秀明が天を仰ぐ。彼は心配より呆れが先に来てしまったようだ。まあ当然だがそんなこと言っても無理なことは無理なのでその声が彼に届くことはない。
「ですがそのお陰で私達は彼を発見出来ました。遅ければ命はなかったかも知れません」
「マジかよ……」
今度は隆盛が驚く。彼が何をしたのか容易に想像がついたのだろう。そしてその大変さはたった今、嫌というほどくらったのだ。
「とにかく、彼を救出しなければなりません。敵はなにも機械や亡霊だけではありません」
「やっぱり、人間が関与しているんだね」
後ろから深刻な顔をした摩耶達がやってくる。彼女達は自分の銃を手に持っていた。
「予想はついていたけど、かなり難解な状況ね。摩耶、考えはあるの?」
「あるけど、その前に」
「いやあ、皆さんに多大なる迷惑をおかけして申し訳ない!大変遅れましたが小官の能力はやっと正常に作動致します。さあ皆さん武器をお取りください!」
見ると宗一郎が木偶人形を従えて自慢気に立っている。しかしそんな登場とは打って変わって武器を受け取る側は気にも留めない。
「本当に遅いよ」
「いやあ、申し訳ない」
はっはっはと大声で笑う青年に摩耶が呆れより彼の能力が戻ったことへの安堵がこもったような、冗談を言うように答える。
各々が自分の武器を手に取る。いかに訓練によってどのような銃も扱えるようになっているとはいえ、やはり自分の馴染んだ武器を手にすると安心するのだろう。
「さて、カイを迎えに行くか」
ご自慢のRPK-74を持った秀明が全員が武器を持っていることを確認して早速向かおうとする。
「もちろん、すぐに向かいましょう。えっと、カウロフ……中将閣下」
榛名が彼女の名前と階級章を気にしながら話を始めようとしたが、赤の銀華は少し微笑んで場を和ませる。
「いいえ、どうぞローザと呼んでください。ここは軍組織であって正規軍の軍隊ではないのでしょう?貴女達も階級で呼び合わないように」
逆に階級で呼んだほうが失礼だということに気づいた榛名は慌てて訂正する。
「あ、えっと、その、ローザさん」
「はい。なにかしら?」
「私は、霧島榛名といいます。この部隊の衛生科を担当しています。それで、彼の、カイくんの容体を確認したいですが……」
「ええ。ここで立っていても仕方がないので、歩きながら説明します。と言っても素人が見た程度の情報しかありませんが」
そんなことを話しつつ、彼らが輸送機の残骸を潜り抜けたあと、ふと後ろを振り返ったマルカの目に途轍もない光景が映し出されていた。
「えっ……?」
足を止めた彼女を気にした全員が振り返るとそこには、野戦服に身を包みオリーブドラブの鉄帽を被り、AKシリーズで武装を整えた軍人が大量に立っていた。中には数人軍帽を被っている将校の姿も見える。
「同志達、どうやってここに!?」
ローザが声を上げる。彼らは全員が右胸に赤い星を着けているため赤軍人達なのは分かった。しかし今の今まで姿が全く見えなかった彼らがいきなり現れたのだから驚くのも無理はない。
「同志中将!我々はここに突入後、何もない廊下や部屋を探し回りここを集結地点としておりましたが、ある時突然遠方で爆発が起き、また目の前の連絡橋は一瞬のうちに崩落しました!しかし幸いなことに死傷者は一人もおりません!」
前にいた少年将校が大声で報告を行う。彼の後方では前の見えない軍人達が何事かとひそめきあっている。
「了解した。良くぞ無事でいてくれた。しかし残念なことが一つだけある。我々の敵は人形のみではなかった。後ろで糸を操る人間がこの戦場のどこかにいる!全員一旦滑走路まで退避し、各々の武装や健康状態、各種兵器の有無を確認しろ」
「了解致しました!それでは同志はどうなさるのですか!」
「私は客人を救助しに向かう。それまでこの施設を外側から包囲してくれ」
「パニャートナ!」
そう言うと彼らは踵を返して足早に去っていった。しかし味方がこの世界に帰ってきたとなれば当然他にも帰っているものがいるはずだ。
前を向いていた男達が銃を向ける。その殺気に気が付いた時にはもう遅かった。秀明の独り言のような言葉だけが響く。
「なんなんだ、お前らは……」
そう、つまり、すでに彼らの行く先は大量の軍人によって封鎖されたしまったのだ。そして彼らの最前線にはライオットシールドを構えた兵士達が構えた。
「FSB……」
静かに、最終戦が始まろうとしていた。




