作戦開始
連続投稿です。航空機のスペックは情報が多いので記載しません。
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作戦実行20分前、夜、飛行場内輸送機前にて
エンジンを始動させた輸送機が爆音を鳴らす中、荷物の積込みが行われていた。
「閣下!大将閣下!」
輸送機に積み込みをしていた兵士が鳥海を呼んだ。
「どうした」
「これだけで全部ですか?」
そう言って輸送機の中に入るよう勧めてきた。中は半分も入ってはいなかったが、
「ああ、全部だ」
資料の通りに入っているのだ。
輸送機C-130Jの中には折りたたまれた12人乗りのゴムボート、それにつけるエンジンが入っており、ボートの中に全員分の武器が入っているが、空挺装備らしきものは何一つ入っていなかった。
中身の確認を終えた頃に比叡がやって来た。
「閣下、アルファ小隊を集合させて下さい、最終確認をいたします」
「参謀長、ここでか?」
「ええ、時間が惜しいので」
「分かった。アルファ小隊集合!」
拳銃を腰につけ、ゴーグルを首から下けながら全員が集合した。
全員ゲリラに服装を似せているため軍事施設の中にいると少し異様な光景に思える。
「最後に作戦を確認します。敵の石油プラントに潜入。石油タンクの爆破、裏の組織の情報を入手し撤収。潜入方法は石油プラントの5,000メートル手前に空挺しゴムボートで強襲上陸後作戦を開始、脱出後第一空母打撃群で回収致します。」
空母打撃群、編成は強襲揚陸空母1隻、イージス艦2隻、潜水艦1隻の陸海空全てに対応できる空母を所有する現代海軍の基本的な部隊だ。
そう言われると、自身の所属も海軍である摩耶が思ったことを口に出した。
「第一、ということは『ジャガーノート』のってことだな」
「はっ、その通りです」
『ジャガーノート』は、陸軍、海軍、空軍、海兵隊にそれぞれ約3,800名ずつおり、合計15,200名いる。――因みにアルファ小隊はその上の立場にいて、大将たる大井鳥海は『ジャガーノート』の最高指揮官である――
「了解した。では、始めようか」
鳥海が発した一言を皮切りに一気に辺りが騒がしくなった。
全員が乗り込み、離陸の準備が着々と進められている機内では、
「別にゴムボートに武器収納する必要無かったよな」
と、鳥海がぼやきながら全員分の武器を引っ張り出していたり
「久々の空挺……やっぱ慣れないっスねぇ」
「慣れるもんじゃないよあんな衝突直前まで自由落下している空挺なんてあたしも怖いんだから」
「姐さんも怖いものがあったんスね。少し安心したっス」
「そりゃあ、あたしだってか弱い乙女なんだから怖いものくらいあるさ」
隣で聞いていた秀明が吹き出した。
「ブッ、姐さんが乙女って、冗談が過ぎますよ」
「あ?何か文句でもあんのかい?」
「い、いえ、何でもありません中将殿!」
摩耶に睨まれていたり、
「ねえハルちゃん」
「なあに?弥生ちゃん」
「ブッキー生きてるかな」
「ブッキー?ああ、吹雪ちゃんの事ね。大丈夫よ、きっと、だって私達と同じアルファ小隊の仲間じゃない」
「そうだよね!同じ仲間だもんね!絶対に助けようね!」
「うん、そうね、絶対に」
ここにいない仲間を心配したり、
「お前ら全員自分の武器もう持っとけ。持って降りた方が落ちないから」
鳥海が全員に武器を配って回っていたりしていた時、機内無線が鳴った。
『閣下!離陸準備が整いました!離陸致します』
「了解した。席に着け」
参謀長が無線機を手に一言、
『ご武運を』
窓の外を覗けば整備士や参謀長が敬礼をしていた。
やがて大地を揺さぶるような轟音を立てて輸送機はゆっくりとその体を持ち上げていった。
降下地点、降下2分前
『機内減圧開始、高度23,000ft』
全員がゴーグルをつけ、鳥海が折りたたまれたゴムボートを持ち、秀明が小型エンジンをわきに抱えたのを確認し、鳥海が機長に報告した。
「総員空挺準備、良し」
20秒ほど機内から空気が抜ける音が聞こえていた。
『......減圧完了、ハッチ展開......完了、降下よーいよーいよーい、降下!降下!降下!』
鳴り響くブザーに押されるように6人は大空に身を投げ出した。
空気抵抗を肌で感じながら鳥海は腕時計の計器を注視していた。
(高度22,000、20,000、17,000、13,000、8,000、2,000、今だ)
直前まで自由落下を続けていた身体が不意に速度を落としながら緩やかに降下を続けた。
鳥海は心の中でカウントを開始した。
(5、4、3、2、1、今)
ぽしゃん、と軽い音を立ててボートが着水。直後ものすごい勢いでボートが膨らんだ。それに伴い6人は互いを引っ張り合い位置を調整しながらボートの上に降りた。
「あー怖かった!本当に毎度毎度怖いったらありゃしない!」
摩耶が悪態をつきながらゴーグルを外した。
「本当にすげぇよな、カイのその能力」
秀明が関心したように頷きながらエンジンを鳥海に渡した。
「こっちは毎回ヒヤヒヤしながら降りてますけど、落下傘が無い分見つかりにくいのは有り難いっスね」
隆盛が苦笑しながらもどこか楽しそうな雰囲気で話した。
「楽しかったね!もう1回やろ!」
「今度機会があったらやろうね。弥生ちゃん」
などと榛名と弥生は呑気に話をしている。
「準備出来たな?行くぞ」
鳥海はボートの後部に付けたエンジンを始動させ、まだ霧がかっている中薄らと見える砂浜に向かってボートを走らせたのだ。
早朝、上陸地点
浜辺に着いたゴムボートを摩耶、弥生、秀明、隆盛の4人が側面についているロープを引っ張り、鳥海、榛名は少し離れたところで銃を構えて辺りを見回している。
大きめの岩を鳥海が見つけ、そこを銃で指しながら指示を出した。
「そこの岩場に隠そう」
現在は上陸地点の安全を確保しつつゴムボートを隠している。帰る前に見つかっては困るからだ。
周りを警戒しながら岩場まで移動し、手早くボートを隠した。これですぐには見つからないだろう。
数分後、石油プラント手前
石油プラントは全周を高さ3メートル、幅50センチの鉄筋コンクリートの壁によって覆われている。出入口は2か所あるが、やはりというか警備は厳重だ。
その壁を見上げながら秀明は率直な感想を述べた。
「でけぇな、やっぱり」
「そりゃあ、この近辺で1番でかいからな。さて、作戦実行だ。弥生」
弥生は待ってましたと言わんばかりに手を挙げながら、
「はーい、皆準備はいい?」
そう言うと石油プラントを囲む巨大な壁の一部が見えなくなった。
彼女の能力は『姿を消す』、今のように壁や床、人の姿までも消すことができる。潜入にはもってこいの能力だ。
壁に空いた空間を抜けると弥生は壁を塞ぎ、6人は辺りを見渡した。ここは少し丘のような形をしており下が見やすい、眼下には大都市の市場の様に広く、点々と人がいた。しかし全員がAK-47を持っているためゲリラであることが窺える。
辺りを一通り見まわした後、輪になってお互い目を合わせて準備ができたのを確認してから鳥海が一言、
「作戦は予定通りに」
6人は銃を構え展開、事前に計画された予定に基づき摩耶と弥生は敵に紛れて爆弾の設置、秀明と隆盛は事前に入手した情報をもとに施設に潜入、鳥海と榛名は人質の捜索だ。
3グループは各々の仕事にとりかかった。




